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ニュージーランドで初めてオープンリー・ゲイの副首相が誕生しました
ニュージーランド国会でLGBTQ議員の占める割合が10%となり、世界一にというニュースでお伝えしたように、アーダーン首相率いる与党・労働党が圧勝し、オープンリーLGBTQの議員が12人も当選し、国会の10%を占めることになりましたが、アーダーン首相は内閣刷新にあたり、オープンリー・ゲイのグラント・ロバートソン財務相を副首相に起用しました。ニュージーランドで同性愛者の人物が副首相に就任するのは初めてのことです。
アーダーン陣営の選挙参謀を務めたロバートソン氏は、第1期アーダーン内閣で務めた財務相の職にもとどまるほか、新たにインフラ相も兼任します。
また、アーダーン首相は外相に、先住民マオリで顎に伝統の入れ墨「モコ・カウアエ」を施したナナイア・マフタ氏を起用しました。女性が外相を務めるのも初めてだそうです。20人の閣僚の中にはマフタ氏以外にも、女性やマオリの血を引く議員が多数登用され、多様性に富んだ新内閣となっています。
アーダーン首相は、任命はあくまでも功績と才能に基づいたもので、結果的に多様性が実現したとし、「私たちはこれを、国として誇るべきだと思います」と語りました。
オープンリー・ゲイのロバートソン氏がこうした役職を担うことの意義について問われたアーダーン氏は、「ロバートソン氏の起用は指導力を評価した結果であり、性的指向に基づくものではありません」と答えました。「ニュージーランドの素晴らしい点の一つは、こうした質問があまり重要でない場が多いということです」
世界を見渡してみると、オープンリーLGBTQとして首相、副首相、閣僚を務めた人々は、決して珍しくありません。
イギリスでは1997年、オープンリー・ゲイのクリストファー・ロバート・スミス(クリス・スミス、フィンズベリーのスミス男爵)氏が文化・メディア・スポーツ省閣内相としてブレア内閣に入閣しました(なお、同氏は1984年に英国初のカミングアウトした国会議員となり、2005年にはHIV陽性であることもカムアウトしています)
イギリスではまた、オープンリー・ゲイのピーター・マンデルソン氏が1998年、ブレア内閣で貿易・産業大臣に就任しています(その後も北アイルランド大臣、ビジネス・企業・規制改革大臣、筆頭国務大臣兼ビジネス・イノベーション・技能大臣を務めています)
ドイツでは2009年、オープンリー・ゲイのギド・ヴェスターヴェレ氏が第2次メルケル内閣に副首相兼外相として入閣しました。
フランスでも2009年、オープンリー・バイセクシュアルのフレデリック・ミッテラン氏が文化相としてフィヨン内閣に入閣しました。
アイスランドでは2009年、オープンリー・レズビアンのヨハンナ・シグルザルドッティル氏が世界初のLGBTQの首相となりました。ヨハンナ・シグルザルドッティル首相は2010年に結婚し、世界初の同性結婚した国家首脳となりました。
ベルギーでは2011年、エリオ・ディルポ氏が世界初のオープンリー・ゲイの首相となりました。
ルクセンブルクでは2013年、グザヴィエ・ベッテル氏が首相となり、同時にエティエンヌ・シュナイダー氏が副首相に就任し、世界で初めて首相および副首相がオープンリーゲイの政治家で占められる国となりました。
アイルランドでは2015年、保健相を務めていたレオ・バラッカー氏が閣僚として初めてゲイであることをカムアウトし、2017年には同国で初のゲイの首相となりました。
台湾では2016年、オードリー・タン(唐鳳)氏がIT大臣に就任し、世界で初めてのトランスジェンダーの閣僚が誕生しました。
セルビアでは2017年、オープンリー・レズビアンのアナ・ブルナビッチ氏が首相に任命され、東欧初の同性愛者の首相となりました。
スペインでは2018年、オープンリー・ゲイのLGBTQのフェルナンド・グランデ=マルラスカ氏が内務大臣に就任しました。
ベルギーでは今年10月、トランス女性のペトラ・デ・ステル氏が副首相に任命されました。
そしてニュージーランドでは、2017年にグラント・ロバートソンが財務相およびスポーツ・レクリエーション相に就任し、今回、初の同性愛者の副首相となりました。
参考記事:
NZ外相に先住民マフタ氏 アーダーン首相が2期目布陣(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020110200606
NZ新内閣 副首相に初の同性愛者、外相は顔に入れ墨のマオリ女性(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3313353?pid=22795525