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茅ヶ崎市、東かがわ市が同性パートナーシップ証明制度導入へ、高知市はLGBT支援宣言

 神奈川県茅ヶ崎市が来年4月から、同性パートナーシップ証明制度を導入することを発表しました。
 11月19日、茅ヶ崎市役所で開かれた市議会議員対象の全員協議会で、市が「(仮称)茅ヶ崎市パートナーシップ宣誓制度」の素案を公表しました。継続的な共同生活を行おうとする二人が、市に対してパートナーであることを宣誓すると、証明書が授与されるというものです。
 法的に結婚が認められていない戸籍上同性のカップルをはじめ、戸籍上の夫または妻となることを選ばない異性カップル、その他さまざまな理由で事実婚を選ぶカップルなど、多様なパートナーシップのあり方を市として応援するのが目的だそう。素案は人権擁護委員会、男女共同参画推進プラン協議会の意見聴取などを経て決定されるそうです。
 神奈川県では8市町がすでに同性パートナーシップ証明制度を開始しています。県は、市町村が発行するパートナーシップ証明書があれば、該当市町村内の県営住宅に入居できるとしており、茅ヶ崎市でも制度の必要性は高まっていたといいます。茅ヶ崎市内の県営住宅だけでなく、市営住宅にも入居できるようになり、さらに、住所を移しても相互利用を可能とする市町間の協定(現在、横須賀市・鎌倉市・逗子市・葉山町で締結されています)も検討していくそうです。
 茅ヶ崎市ではこれまで、LGBTについての学習会や、映画「私はワタシ~overtherainbow~」上映会などを実施して市民への啓発を図ってきました。2018年には「LGBTをはじめ性的少数者に対する包括的な施策の推進に関する陳情」が提出され、市議会で採択されました。市の担当者は「今後もさまざまな媒体や催しを通して、多様性を認め、尊重し合う社会の重要性を伝えていければ」と話しています。


 香川県の東かがわ市は、LGBTQへの支援として来年1月から同性パートナーシップ証明制度を導入することを決めました。同性カップルなどの関係性をパートナーとして公に認める制度で、来年1月から宣誓の受付を始めるそうです。宣誓し、証明書を受け取れば、市営住宅への入居の申込みや病院での面会などの際に、家族として認められるようになるそうです。
 市は「全ての市民が自分らしく生きることを支援すると同時に、LGBTや多様性への理解を広げるきっかけになれば」としています。
 香川県内の自治体では、三豊市、高松市に続き3例目となります。

  
 また、高知市では24日、性の多様性を認め合う寛容な社会づくりを目指す「高知市にじいろのまち宣言」が発せられました。同性パートナーシップ証明制度を来年2月から導入するほか、市職員向けのハンドブックを作成し、職員研修も実施するほか、市民への啓発活動なども行ない、差別や偏見のないまちづくりを進めるそうです。
 この日、制度導入を要望してきたNPO「レインボー高知」の方たちなども招いて市役所でセレモニーが開かれ、岡崎誠也市長が「誰もが自分らしく安心して暮らせる、そんなにじいろのまちを目指す」と宣言しました。「人と人をつなぐ架橋」をイメージしたレインボーカラーのはりまや橋を描いたシンボルマークもお披露目されました。
 その後、「レインボー高知」のメンバーと話し合いが行なわれました。医師でもある宮本寛副代表は「(高知市の宣言は)とてもうれしかった。今回の宣言をきっかけに、性的マイノリティが高知にもいるということを知ってもらいたい」「趣味や嗜好の問題と考えられるなど、誤解も多い。持って生まれたものだと理解が広がってほしい。高知市が先頭を切ってくれたのは大きい」と語りました。同性パートナーと長年暮らす女性メンバーは「やっと私たちに目を向けてもらえたのかなと思う。役場の窓口や企業など、生活に密着した部分でも変わっていってくれたら」と語りました。

 
 それから、今年2月、岡山市と同時に同性パートナーシップ証明制度を導入し、相互利用も可能にすると発表した広島市が、2021年1月4日から導入することを明らかにしました(岡山市はすでに7月から導入されています)。市の宣誓書に署名して提出すると、証明書の交付を受けることができるもので、証明書を提示することで市営住宅への入居や、パートナーが亡くなった際にパートナーの詳細な個人情報の請求が可能になるなど、一部の行政サービスが受けられるようになります。
 市の担当者は「導入によって、性的マイノリティに対する社会的理解を促進し、安心感を持って自分らしく生活できる社会を実現していきたい」としています。
 同制度が実現するのは広島県内の自治体で初めてです。
 支援団体「ここいろhiroshima」の共同代表高畑桜さんは「生活に不都合を感じている人たちの悩みが解消されるのは喜ばしい。将来的に認められる一つのステップになれば」と語りました。
 

 仙台では15日、同性パートナーシップ証明制度などをテーマとして、市民団体「にじいろCANVAS」がインターネットラジオの公開放送を行ないました。約30人が参加し、ツイキャスでのべ約280人が視聴したそうです。
 「にじいろCANVAS」共同代表の小浜耕治さんは「公的に認められた関係は周囲に説明しやすく(多様な性への)社会的認知の向上につながる。仙台でも市民の声で実現させたい」と語りました。仙台市では、政策提言に取り組む市民団体が10月、市議会に制度創設を求める陳情書を提出しています。
 レズビアンであることをカミングアウトしている盛岡市議の加藤麻衣さんも中継で「東北全体が一緒になって進めることが大事。盛岡市も続きたい」と語りました。東北地方では、12月に青森県弘前市で制度がスタートします。

 
 それから、東京都府中市は24日、同性カップルが市営住宅に入居できるようにする条例改正案を発表しました。入居者の資格である「親族」について「事実上親族と同様の事情にある者として規則で定める者」との文言を加えるそうです。12月の市議会で可決されれば、2021年4月に施行されます。2019年4月に同性パートナーシップ証明制度を始めたことを踏まえたものです。

 東京都といえば、全国でも最もLGBTQに縁の深い(二丁目の恩恵を受けている)はずの新宿区が未だに同性パートナーシップ証明制度を認めていないということから、昨年末に有志区民が動きはじめ、今年初めに「第1回新宿区lgbt区民ミーティングー新宿区にもパートナーシップ制度を!」というイベントが開催され、また、11月1日には新宿区議会議員に向けた学習会が開催され、ぷれいす東京の生島さんや二丁目で「足湯カフェどん浴」などを経営する長村さと子さん、同性婚に詳しい(自治体にパートナーシップ制度を求める会の世話人でもある)鈴木賢明治大教授らが登壇しました(トランスジェンダーのよだかれん区議がレポートしています)
 
 
 全国で着実に、少しずつ、同性カップルのパートナーシップを承認し、公営住宅への入居や病院での家族としての扱いなどを認める動きが広がりを見せています。広島市の「家族を介護する人が受け取る慰労金の対象となる」というのは新しく、また素晴らしいと思いました(犯罪被害遺族給付金の支給を認めない愛知県とは大違いです)。先日お伝えした群馬県では、新婚夫婦や結婚予定者に発行している「ぐんま結婚応援パスポート」を同性カップルにも配布されるようになるという話もありましたが、自治体がカップルや夫婦、家族を支援するために独自に行なっている制度はいろいろあるので、今後もそうした制度が同性カップルにも適用されるようになりましたというニュースが届くことを楽しみにしましょう。
 

参考記事:
「パートナー制度」導入へ 性的少数者など市が応援(タウンニュース)
https://www.townnews.co.jp/0603/2020/11/27/552883.html
東かがわ市パートナーシップ宣誓制度導入へ(西日本放送)
http://www.rnc.co.jp/nnn/news111h2r7bgiby971ygps.html#:~:text=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E5%AE%A3%E8%AA%93%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AF%E5%90%8C%E6%80%A7,%E3%81%AB%E7%B6%9A%E3%81%8D%EF%BC%93%E7%95%AA%E7%9B%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
多様性、認め合うまちに 高知市、パートナーシップ導入へ宣言式 NPO団体、喜びの一歩(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20201125/ddl/k39/040/422000c
高知市が「にじいろのまち宣言」 多様な性尊重 市民啓発へ(高知新聞)
https://www.kochinews.co.jp/article/416435/
LGBTカップル、高知市も公認へ(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66584500U0A121C2LA0000
県内初のパートナーシップ制度へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20201124/4000009762.html
パートナー制度、来年1月導入へ 広島市(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20201123/ddl/k34/040/287000c
多様な性の認知向上を 仙台の市民団体がネットラジオで公開放送 パートナー制度議論(河北新報)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202011/20201124_13024.html
東京都府中市、市営住宅にLGBTカップル入居可能に(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66579770U0A121C2L83000

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