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婚姻平等の実現を求める第2回院内集会が開催され、約28,000人もの方々が視聴しました

 11月26日(木)13:00-15:00、国会議員の方々に結婚の平等の早期実現を求めるための2回目の院内集会が開催され、YouTubeライブで配信されました。平日であるにもかかわらず、約28,000人もの方々が視聴し、同性婚実現への熱い思いを感じさせました。


 「第2回マリフォー国会 #同性婚 を伝えよう(院内集会)」は、一般社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」共同代表の寺原真希子さんのご挨拶でスタートしました。

 会場には与野党問わず大勢の国会議員の方がいらしていて、先に帰られる人から順に、「1日も早く(差別を)解消したい」「ニューヨークで弁護士として婚姻平等の活動に参加していた」「幸福追求権として当然に認められること」「当然裁判で勝つと思う」「愛する人と結婚することが制度上できないのはおかしい」「私も当事者として、当たり前の権利が自分にはないということを痛切に感じている」「ぜひ菅総理に賛成していただきたい」「原告の皆さんに敬意を表します」「心が熱くなる思い。判決が出る日はお祝いの日だと確信している」「障壁をなくすのが政治の役割」といった熱いスピーチをしてくれました。

 最も裁判が速く進んでいる北海道弁護団からの報告として、須田布美子弁護士が札幌地裁での動きを解説しました。
 札幌地裁の裁判は、裁判長の的確な指揮や、比較的コロナ禍の影響が少なかったことから、スピーディな進行となっており、すでに結審し、来年3月に判決が出る予定。3組の原告カップルが、それぞれに「私たちを結婚させください」と訴えた。国の求釈明に答えながら、双方が主張と立証を尽くした。3月の判決が勝訴であっても敗訴であっても、国会にバトンが渡される。といった内容で、これまでの経緯やポイント、意義がたいへんよくわかるお話でした。
 
 会場には何人もの原告の方たちも来られていて、それぞれの胸中を語りました。

◎九州訴訟の原告、こうぞうさん
「2002年に出会ったゆうたというパートナーと猫と一緒に暮らしています。私たちは関係性をオープンにしていて、街中でも手をつなぐこともありましたが、明らかに男女のカップルとは異なる視線を浴び、常に身を守ることを意識していました。少しも後ろめたいことではなく、昔からどこにでもいるのに、LGBTQが異質だと思わせるのは、社会に問題があるから、同性カップルの権利保障の制度がない国だからです。私たちは特別扱いを求めているのではなく、結婚という当たり前のことを求めているだけです。これから先、何があるか…年を重ねるごとに不安が増して行きます。高齢の親が存命の間に、結婚し、親に見せてあげたいです。国会議員の皆さん、力を貸してください」

◎九州訴訟の原告、こうすけさんまさひろさん
「私は30年も性的指向を明かさずに生活し、ひた隠しにしていました。活動などは自分に関係ないことだと思っていました。 しかし今、ここにこうして立っています。それは、パートナーと結婚したいからです。去年のこの場で、ある議員さんに「当事者が困っているという声が届いていない」と言われました。ですから、当事者としての経験を語りたいと思います。父が病に倒れ、亡くなりましたが、私は本当の自分を知ってほしいと、病床の父にカミングアウトしました。その後の遺産相続の場で、息子だから、配偶者だからと冷たく遺産が分配される様に、自分が死んだら、彼に何を遺せるのか、と思いました。法律が変わらなければ、私たちはただの他人です。死ぬときは、まさひろさんにそばにいてほしいし、遺したい。なぜ結婚できないのか。どこで誰が拒んでいるのか。私たちには幸せになる権利があります。同性婚を認めても国は滅びません。ただ幸せな人が増えるだけです」

◎東京訴訟の原告、大江千束さん
「固い決意をもって原告に臨みました。心に炎を灯して。28年間、人生の半分をパートナーと共に生きてきました。心の中の炎が、時に燃え盛り、時に風前の灯となることがあります。それはなぜか。例えば、公人の方の心ない発言。コロナ禍の不測の事態に際して当事者が経験している生きづらさ。私は10年、対人支援の仕事をしていて、リアルな相談を受けます。自分の会社で同性パートナーにも福利厚生を適用するという話が進んでいたのに、コロナで吹っ飛んだといいます。LGBTQのことは後回しなのです。そうしたことがいろんなところで起こっています。確かにコロナ禍は生き死ににかかわる問題ですが、そういう時こそ、誰もが尊厳をもって安心して支えあって生きていけることが大事だと、痛切に感じています。しかし今日、このような集会が開かれたことに、とても勇気をいただきました。炎が燃え盛る気持ちです。ありがとうございます」

 寺原さんから「婚姻の平等が日本社会にもたらす経済インパクトレポート」や「Business for Marriage Equality」についての説明がありました。

 続いて、EY Japan COOの貴田守亮さんから、役員として、また当事者として、お話がありました。
「50年前に日本で生まれましたが、家族で渡米し、米国で公認会計士となりました。5年前、夫と一緒に日本に来てEY Japanで働いています。EYの10個の戦略のうちの2つは多様性です。顧客、市場の変化、イノベーションの促進、企業ブランドの向上、社員の職の定着といった課題は企業の死活問題で、D&Iは生き残っていくための戦略だと考えています。 
 LGBTについて、海外で、カミングアウトしている社員のエンゲージメント指数がそうでない社員と比べて5~10%高いというデータがあります。直近の米国の調査では、20%くらいの人が性的マイノリティと自認しています。特にミレニアル世代でとても多い。これは看過できない動きです。
 日本でも性的マイノリティと申告できる人口は増えています。3つの問題があります。1つは人材の流出、2つは高度人材の招致における障壁、3つは制度設計・改革の困難です。 
1.EY Japanの9000人のメンバーの中で、LGBTQが何人も、結婚したい、子をもうけたいと言って海外に流出しています。私はぜひ、そういう方たちに日本に残っていただきたい
2.香港に10年住んでいる欧米人の方で、アジア太平洋地域の中で転籍先を考えている方がいて、私に相談がありました。日本を考えたいが、今は同性パートナーと移住することが難しいという壁にぶつかりました。本当は呼びたいのに…
3.地域再生ということが叫ばれていて、地方でも活躍し続けられるようにというプロジェクトがありますが、自治体によってパートナー制度があったりなかったりするという実態があります。地方に帰りたくても、制度の有無で変わってしまう。キャリアアップに関しても、企業によってパートナーシップの制度があったりなかったりするため、限度がある。やはり国全体で取りかかってほしい 
 ここからは、個人の話です。海外でずっと日系企業をサポートして、日本と深い関わりを持ってきましたが、日本で働くことは考えていませんでした。家族を幸せにするというイメージができないからです。2016年、日本への異動を提案されましたが、夫に配偶者ビザが支給されないため、悩みました。夫はキャリアのために我慢すると言ってくれて、二人で日本にきました。夫は日本語を勉強して、仕事をしていますが、もし仕事がなくなると、国外退去となってしまいます。 
 日本ももっとオープンな社会になると、LGBTQ人口も20%とかになっていくでしょう。今すぐ制度設計に着手しないと、海外に流出し続けることになります。企業の役員として危機感を覚えます。
 若い世代が自殺を考えるようなことがあってほしくないです。国を挙げて支援していただきたいと思います」
 
 それから、11月22日(いいふうふの日)の動画が上映されました。司会の方は「この映像はフィクションですが、これがいつかリアルになるよう、お願いします」と語りました。

◎関西訴訟の原告、田中昭全さん&川田有希さん
「2019年2月、三豊市で婚姻届を出して、不受理となり、結婚できませんでした。正直、婚姻届には思い入れはなかったけど、婚姻届を書いている時、友人に保証人になってもらったり、戸籍謄本を取り寄せたり、ということをしているうちに、なんだかうれしくなりました。市役所としては、不受理にせざるをえなかったわけですが、職員の方がその場で「市としてパートナーシップ制度を作る」と言ってくださって、早くも今年1月に実現しました。市長さんとも面談しましたが、「当事者がいるんだから当たり前だ」と言ってくださいました。私たちはオープンにしているので地元のテレビなどにも出るのですが、そうすると、友達が「おめでとう」と言ってくれる。彼ら一人ひとりに、感謝とともに「法的効力はないんですよ」といちいち説明するのは、複雑な気持ちです。古いお家を買って、改築して、終のすみかと思って住んでいますが、名義は自分になっています。私は彼より8歳年上なので、たぶん先に…そうすると、彼に家を配偶者として残せない。大問題です。三豊市のようなスピード感をもって、ぜひ国会で審議していただきたいです」

◎東京訴訟の原告、小野春さん、西川麻実さん
「二人で、3人の子どもたちを育ててきました。結婚が認められないことで、格下の家族だと思われないようにしたいです。子どもたちは私たちを「かっこいい! 僕たちは運命共同体だね」と言ってくれています。その家庭で育つ子どもも一緒に闘っているということを知っていただきたいです。今日も「マリフォー国会頑張れ!」と送り出してくれました。たくさんの、こういう家族がいます。見えないものにしないでください。みんなでご飯を食べたり、みなさんと同じように暮らしているのです。4年前、私はがんを宣告され、今も治療しています。一生つきあっていかなくてはならず、どうしても死のことを考えます。私が死んだあと、パートナーと子どもたちが家族として扱われることを望みます。昨年、青森からステージ4の友人が来て、語っていました。胸がつぶれそうになります(しばらく涙をこらえる。結婚を1日も早く実現してください」 

◎北海道訴訟の原告の女性カップル
「私たちはマイホームを購入しましたが、直面したのはペアローンのこと。自治体のパートナーシップ証明だけではダメで、公正証書が必要でした。結婚ができないため、相続ができるようにするためには大変。先日、自動車事故に遭ったのですが、警察に同性パートナーの説明をすることの大変さを思い知りました。ひとこと「配偶者です」で済むようになってほしい。果たしてパートナーに連絡が行くのか、病院で家族として扱ってもらえるのか。現状は病院によってまちまちで、ムラがあります。運次第です。パートナーがもし新型コロナウイルスに感染したら、会社に濃厚接触者の報告をしなければなりませんが、それはカミングアウトを強要されることにつながります。同性でも法律上の結婚を一刻も早く認めてください。議員のみなさんの力が必要です」

 今年5月に「医療・救急―大切な人と一緒にいられるように~新型コロナウイルスアンケート報告会」で紹介された、緊急アンケートの結果が紹介されました。

 会場に来られなかったものの、メッセージをくれた議員さんのお名前とメッセージが紹介されました。昨年は31のメッセージでしたが、今年は55に増えたそうです(与党の議員さんが多くなったそうです)

 最後に、中川重徳弁護士が閉会の挨拶をしました。
「法律上、性的指向や性自認にかかわらず、個人として尊重されるようになること、一緒に暮らしていること、家族として認められることは、当事者のみなさんが長く待ち望んできたことです。今日のこの場を、うれしく思います。今日、約28,000人の方が視聴してくださった。与党も含めて、全会派からの賛同が得られています。確信を持ちましょう。行動して、お話を続けていくことで、変わっていきます。この問題は待ったなしであると、各政党に出したいと思います。ぜひ超党派で進めてほしい。検討を始めてほしい。私たちは直接、原告の声を聞く場を設けてほしいという要望の用意もしています。力を合わせて、頑張りましょう」

 YouTubeで配信を見ていて、視聴者数がどんどん増えていくことに驚きました。(もちろん視聴している方の姿は見えないのですが)平日の昼間に、万難を排して28,000人もの方が「日本でも結婚の平等を」との思いで見守っているという事実に、胸が熱くなる思いがしました。
 貴田さんのお話も素晴らしかったですし、原告の方たちのお話も本当に胸を打つものがありました。政治家の方たちのスピーチも、前回よりも「すぐやろう」「早く実現させよう」的な勢いや熱さを感じさせました。来年3月の札幌地裁の判決はきっと勝訴となると確信でき、そして、国会や政府も、今後、結婚の平等を認める方向に動いていくのではないかという希望が持てるような会でした。一人ひとりの力は大きくないかもしれませんが、こうして大勢のアライの弁護士の方などの尽力で、世の中が動いていくこと、本当に心強いです。感謝しかありません。

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