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日本で同性婚が実現した場合の経済への影響を分析した初のレポートが発表されました
11月9日、日本で婚姻の平等(同性婚の法制化)が実現した場合の経済への影響を分析した初の包括的なレポートが発表されました。
このレポートは、世界をリードするグローバル企業で構成される団体「Open For Business」が作成した「婚姻の平等が日本社会にもたらす経済インパクトレポート」に基づき、一般社団法人「Marriage For All Japan —結婚の自由をすべての人に」(以下MFAJ)が日本語版の解説資料を作成したものです。
「Open For Business」は、アクセンチュア、アメリカンエクスプレス、AT&T、バークレーズ…といった数十社の主要なグローバル企業が参加する団体で、「世界の多くの地域で、LGBTQ+のインクルージョン(包摂)に対するバックラッシュが増大していることに対する世界的な企業によるレスポンスです。2015年にクリントン・グローバル・イニシアチブ国際会議で創設されました。この連合は、LGBTQ+のインクルージョンをめぐってすでに世界的な影響を与えています」(公式サイトより)
MFAJのプレスリリースによると、「Open For Business」は、LGBTQ+に対する差別・偏見に対する適切な施策(公的な施策および民間企業による施策)が行なわれていないことが経済発展・企業成長を妨げるとの認識に基づき、企業の視点からLGBTQ+施策が推進されるよう働きかけを行なっている、とのことです。
世界に目を向けると、これまでに28ヵ国で婚姻の平等(同性婚の法制化)が実現されており、G7の中で同性カップルの法的保障がないのは日本だけです。2020年に発表されたOECDの報告書でも、LGBTQに関する法制度の整備において日本は35ヵ国中34位とされ、遅れが指摘されている状況です。1人あたりGDPも、OECDの同性婚承認諸国に比べて日本はマイナス25%と低い水準です。
このような現状に鑑み、「Open For Business」は、LGBTQに関する法制度の整備を含む各国の様々なデータに基づき、婚姻の平等(同性婚の法制化)がもたらす日本社会や企業への経済的インパクトに関する英文レポートを公表します(※1)。レポート内では、同性婚の実現が経済の長期的・持続的発展のための重要な施策であることが示されています。MFAJは、このレポートをより多くの人に伝えることで、日本において同性婚実現のための取組みが民間でも国レベルでも進展することを促すべく、日本語版解説資料を作成しました。
※1 Open For Businessによる「婚姻の平等が日本社会にもたらす経済インパクトレポート」(英語版)は近日中に公開される予定です。なお、「Open For Business」が婚姻の平等に関する各国レポートを作成するのは、台湾、チェコスロバキアに続き、日本が3例目だそうです。
昨日の「work with Pride」でも、MFAJの寺原真希子共同代表が解説していましたが、このレポートのポイントを抜粋してお伝えすると、以下のようになります。
【婚姻の平等と経済効果に関する3つの視点】
(1) 企業人材戦略への好影響
高度なスキルをもつ人材は、LGBTQ+に対してよりオープンで受容的な環境で暮らし、働きたいと考えています。婚姻の平等を実現することは、日本がとても開かれた社会であるというメッセージを世界に向けて発信することを意味します。
(2) GDP経済成長への好影響
社会や職場でLGBTQ+に対する差別的な対応が存在することは、個々人のパフォーマンスを低下させ、結果的に国全体(GDP)へ負の影響をもたらしかねません。婚姻の平等に象徴されるLGBTQ+インクルージョンは、これからますます人口が減少していく日本社会において、経済成長にもつながると期待されます。
(3) 企業業績への好影響
日本が法制度として婚姻の平等を実現することは、これまで日本の企業が独自に行なってきた福利厚生などの事務的な負担を軽減することにも繋がります。LGBTQ+インクルーシブな企業は、均質的な状態を回避することにつながり、イノベーションの実現や高い株価パフォーマンスを発揮している傾向があります。
日本版経済効果レポートはこちらからご覧いただけます。
参考記事:
日本初の同性婚の経済レポート 世界主要グローバル企業で構成される団体「Open For Business」が発表した「婚姻の平等が日本社会にもたらす経済インパクトレポート」の日本語解説版を発表(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000054117.html