NEWS
「LGBT差別は存在しない」発言の春日部市議の問題を、ワイドショーがきちんと批判してくれました
TBS系の朝のワイドショー「グッとラック!」で「LGBT差別は存在しない」発言の春日部市議の問題が取り上げられ、コメンテーターのみなさんがきちんと批判(LGBTを擁護)してくださいました。
今度は春日部市議。「市にLGBT差別などない」「狙いは憲法違反の同性婚」などと発言のニュースでお伝えしていた通り、足立区の白石区議に続き、埼玉県春日部市議会の井上英治市議が9月18日の春日部市議会でLGBT差別禁止や同性パートナーシップ証明制度導入を求める請願が出されたことへの反対意見として「LGBT差別は存在しない」「子どもたちにレズビアンやゲイを教える必要は全くない」「狙いは憲法違反の同性婚」などと述べたことで問題視され、レインボーさいたまの会が10月26日、抗議声明を発表しました。
報道後、議会宛てに抗議のメールや電話が寄せられたこともあり、10月30日、春日部市議会の佐藤一議長は「不快な思いをされた方々に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。「性の多様化に対する諸問題の解決に自治体としてしっかりと対応していくことが求められている。差別のない、人権を尊重する市政の実現に引き続き努める」
新聞報道にもあったように、11月11日、井上市議は市役所内で報道陣の取材に応じました(映像を撮ることは不許可でした)。市議は、記者とのやり取りのなかで「実際に春日部市でそんな差別があったのなら、いつどこでだれが被害にあったのか提出しろ」と主張し、記者からLGBTの6割が小学校から高校までの間にいじめにあっているというデータがあると指摘すると、「一般論ではなく、春日部市のことを話している。議論にならない」と述べ、「私を批判するのは自由だが言論の自由を認めるべきだ。議会は反社会的でない意見ならば自由に賛否を述べる場だ。謝罪の必要はないし、発言の撤回もしない」として50分の会見を終えました。
この会見について、「レインボーさいたまの会」の鈴木翔子共同代表は「当事者から怒りや悲しみの声が届いている。相談窓口に届けがない、イコール、差別がないと受け止められるのは遺憾。当事者の困難を理解してほしい」と、加藤岳共同代表は「議員の資質が疑われる発言で、議員辞職を求めたい。市や市議会の姿勢も問われている」と批判しました。
なお、春日部市は、「相談の有無にかかわらず性的少数者は社会の中で困難を感じていると認識している」とし、市民への啓発を引き続き進めるとしています。
この新聞報道に対してTwitterでは、
「パートナー認証制度で春日部市の井上英治市議が「子どもたちにレズビアンやゲイを教える必要は全くない」と述べたそうです。発言自体が人権侵害なので、ご本人がLGBTQについてしっかりと学ばれたのち、発言を撤回されることを強く求めます」
「昨日の子どものような存在を知った時、身近にそういう人がいたときに自分自身をどう見つめるのだろうか。陰謀論唱える前に、十二分にあり得る自分ごととして、真剣に考えてほしい」
「言論の自由とは権力を批判する自由のこと。議員という権力者がマイノリティを罵ることは、自由には含まれない。最近言論の自由の使い方が分かってない輩の何と多いことか」
といった声が上がりました。
12日放送の「グッとラック!」でもこの問題を取り上げ、市議の記者会見と鈴木さんの声が紹介されました。
キャスターの立川志らくさんは、「窓口に届かないイコール差別はないというが、そんなバカなことはない。いじめられて言えずにいる子もいる。子どもの時に教えられなかったから、あなたみたいな人ができあがっちゃったと言いたい。春日部市の人は恥ずかしい思いをしていると思う」とコメント。
メインコメンテーターのロンブー田村淳さんは、「イジメの報告ゼロを美談にしてほしくない。差別やいじめをオープンにして、どう解決したかを伝えることが政治の役割」と指摘しました。
さらに、フリーアナウンサーの中村仁美さんは、「自分の子どもがもしも当事者だった場合、自分を恥じてほしくないので今から話し合っている。子どもたちには春日部に住んでほしくないと思う」と語りました。
弁護士の高橋知典さんは、「同性婚ができないことがすでに人生の自由を奪っており、差別に当たる。現状をどうして無視できるのか、不思議」と語りました。
東大卒クイズ王の伊沢拓司さんも「不勉強だと思う。社会全体の偏見が加害者になっている」とコメントしました。
何でも面白おかしくネタとして消費したりするワイドショーもあるなかで、「グッとラック!」は、きちんと発言の問題点を指摘し、LGBTを差別から守ろうとする姿勢を貫いたところが立派です。有り難いことです。
足立区、春日部市…と、次々に公人による人権侵害(当事者が傷ついてしまうような発言)が起こっても、野放しにされたり、あきらめムードになってしまうのではなく、メディアでこのようにフェアに取り上げられ、差別を食い止めるのは、非常に重要なことです。世論がLGBT支援の方向に盛り上がっていくことを期待します。
参考記事:
「美輪明宏、マツコも活躍しているから日本人は寛容」...LGBT差別は存在しない発言の春日部市議が会見で「謝罪はしない!」と逆ギレ(J-CASTニュース)
https://www.j-cast.com/tv/2020/11/12398691.html
春日部市議の発言に議長が謝罪 性的少数者巡り、批判受け(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/afe015824e65bf2e4c30101e2dda3756d30a2623
パートナー認証制度で春日部市議「差別は存在しない」(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASNCC73FJNCCUTNB00K.html
「LGBT差別は存在しない」問題発言の春日部市議 謝罪も撤回もせず(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/67830/
「同性婚など憲法違反の実現が狙い」と春日部市議…性的少数者団体、謝罪求めるも市議応じず 議長はおわび(埼玉新聞)
https://www.47news.jp/localnews/5484686.html