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Apple MusicやSpotifyなどが人種差別や同性愛嫌悪の内容を含む楽曲の配信を停止する措置を実施
英BBCによると、Spotify、Apple Music、YouTube Music、Deezerなどの音楽ストリーミングサービスが、人種差別や同性愛嫌悪の内容を含む楽曲の配信を停止する措置を実施しました。
英国政府が先日、デジタル・文化・メディア・スポーツ省が、Apple Musicをはじめとする主要な音楽ストリーミングサービスの収益がミュージシャンらにどのように分配されているかについての調査を行ないましたが、これに合わせ、BBCがそうしたサービスで差別的なコンテンツが配信されていないかどうかを調査したところ、すべてのサービスに差別的なコンテンツが含まれていることがわかったと報告しました。問題とされるコンテンツには、ヒトラーの演説を引用するなどナチズムに影響を受けていたり、白人至上主義やホロコーストを称賛するものであったり、有色人種や同性愛者へのヘイトが含まれています。
Apple MusicやSpotify、DeezerまたはYouTube Musicといったサービスは、こうしたコンテンツを削除する措置を講じはじめました。
BBCの指摘に対し、AppleはすでにApple Musicで問題となった楽曲の大半を停止したとコメント、「こういったコンテンツを送信する配信者や権利保有者を禁止する強固な編集ガイドライン」を今後も徹底していくと述べました。また、SpotifyやYouTube Musicも明確なポリシー違反であることを認めました。
ただし、BBCによると、特別な検索能力がなくても簡単に、問題含みの楽曲が少なくとも20曲以上見つかったそうです。Engadgetの記事では「現状、自動化されたコンテンツフィルタリングには明らかな限界があるようです」と指摘されています。
昨年末には動画共有アプリ「TikTok」が、障がいを持つ人やレズビアン、ゲイ、ノンバイナリーの人、太った人などによるムービー投稿のリーチを制限する「特別ユーザー」のリストに入れ、国外の人には見えないようにしていたということが明らかになっています。
今年6月には、人種差別的なヘイトスピーチなど問題のあるコンテンツを放置してきたとして、Facebookがファイザー、リーバイス、ノースフェイス、パタゴニアなどの有名企業をはじめ約1千社の企業から広告のボイコットを受けました。
インターネット上でサービス提供は今や巨大な産業となっていますが、そうした企業は、今後もどんどん増えていくコンテンツや広告の中からいかにヘイトやデマ、差別的コンテンツをなくしていくかということに取り組まなくてはいけない、その取組みが待ったなしだと言われる時代に差しかかっているのではないでしょうか。
一方、創業時から多様なオーディエンスにリーチする広告サービスを提供し、広告主の支出額が今年3月から6月にかけて400%も増加し、大きく成長している企業もあります。「Brand Advance」のクリス・ケナCEOは、「ダイバーシティは、いまや商業的に不可欠だ」と語ります。
「私は生まれたときから黒人だ。LGBTQ+の人たちもそうだ。しかし、そのこととと企業にとって良いカスタマーに値するかは別問題のはずなのに、なぜテストされなければならないのか」
「多くのメディアで『黒人』や『人種』、『イスラム』といったキーワードがブロックされるケースが見られる。最もブロックされているのが『ゲイ』と『レズビアン』だ。これは業界の誰もが知っている」
「ブラックメディアやLGBTメディア、障がい者向けメディアについて、これまで考慮してこなかった企業でも、コンテキストに沿ったクリエイティブによって多くのオーディエンスにリーチできる可能性がある。これは企業にとっても盛り込むべき計画であり、新たな時代の幕開けと言えるのではないか」
参考記事:
Apple MusicやSpotifyら、差別的内容含む楽曲に配信停止措置。BBC調査きっかけ(Engadget)
https://japanese.engadget.com/apple-music-spotify-pull-racist-music-233008677.html
英BBC、Apple MusicやSpotifyなどで差別的なコンテンツの配信を確認(iPhone Mania)
https://iphone-mania.jp/news-323912/
動画共有アプリ「TikTok」が障がいを持つ人やレズビアン・ゲイによる投稿のリーチを制限していた(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20191204-tiktok-people-with-disabilities/
FB、止まらぬ広告引き揚げ ボイコットは約1千社に(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASN7964VDN78UHBI01B.html
ダイバーシティは、いまや商業的に不可欠だ(DIGIDAY)
https://digiday.jp/brands/diversity-commercial-imperative-brand-advance-ceo-chris-kenna/