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鹿児島市議会運営委員会で差別発言への批判が相次ぎ、鹿児島県弁護士会もLGBT支援の声明を発表しました
鹿児島市議が「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと発言し、波紋を呼んでいた事件の続報をお伝えします。
9月11日、同性パートナーシップ証明制度の導入をめぐって鹿児島市議会で、上田勇作市議(76歳、「自民みらい」会派)が「ニーズがほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと述べ、議会の中でも発言の撤回を求める声が上がり、一時議会が中断する場面がありました。
その後、発言の撤回と謝罪・LGBTへの正しい知識の習得を求める署名運動が起こり、数日間で1万人超の署名が集まり、25日に自民みらい会派に手渡されました。
そして26日、議会運営委員会で各会派が初めて意見を求められ、社民党の大森市議が「この程度の人権に対する意識で鹿児島市議会の本会議場で論議することは市議会の品位を損ねかねない。私たちも含めてさらなる学習、研修を重ねていくことが必要」と指摘し、同じ自民党の別の会派の自民党新政会の奥山市議からも「自民党がLGBTの問題について消極的であるかのような印象を持たれていることについて極めて遺憾である。当事者のおかれた立場や気持ちに寄り添う配慮があってしかるべきではないかと思う」など、厳しい声が相次ぎました。
こうした指摘を受けて自民みらいの議員は「当事者等を意図せず傷つけたことがあったとするなら申し訳なく思う」などと述べ、議会運営委員長に発言の一部を取り消す申し入れを行いました。しかし、取り消したのは「多様性や寛容を求める人々が異なる意見に非寛容な態度をとることは、厳にいさめなければなりません」というくだりのみで、肝心の差別発言は撤回されませんでした…。
そんななか、鹿児島県弁護士会の笹川会長が、「本発言は、LGBTに対する偏見や無理解を後押しし、LGBTの人権を否定するものであり、きわめて不適切である。また、本発言は、LGBTがマイノリティであり、性別違和のない異性愛者に比し数が少ないという前提や、差別や偏見にさらされることの多いLGBTの置かれた状況を度外視し、同性パートナーシップ制度のニーズがほとんどないと断じるなど、LGBTの存在やその人権を軽んじるものである。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するため、本質疑におけるLGBTに対する不適切な発言について強く抗議すると共に、鹿児島市議会に対し、性別、性自認及び性的指向の如何にかかわらず、誰もが自分らしく生きることができる社会の実現に向けた協力を求めるものである」という声明を発表しました(全文はこちら)。鹿児島県弁護士会の会長を務める方が、アライとしてこのように力強い声明を発表したことは、多くの当事者を勇気づけるものです。希望が持てます。
まだまだこの件は、収束を見ておらず、発言の撤回と謝罪を求めて運動が続いていくことでしょう。全国で多くのLGBTが応援しています。引き続き、見守っていきたいと思います。
参考記事:
LGBT問題巡り鹿児島市議会が議運 議論は平行線(鹿児島テレビ)
https://kts-tv.net/news/1706/
鹿児島市議会 LGBT質疑問題を議会運営委員会で協議(南日本放送)
https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2019092400038360
LGBT発言 一部取り消しへ(NHK 鹿児島 NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20190926/5050008129.html?fbclid=IwAR0jNBE8Nuav_mgDhaSwJ95Vuotjf_MKYrIlzhzNYg2bZVBwZde9vJVNoEs
「同性パートナー制度はニーズがない」発言の会派に、LGBT支援団体が抗議署名を提出。議員発言の一部を取り消しへ(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/kagoshima-lgbt-support-petition_jp_5d8c547ae4b0019647a30473?fbclid=IwAR39bs0wYEEIA4AW6SBnwnJblD--xFAAtNABDa29nw51jOY0wwrpO74FCuU