NEWS

『クィア・アイ』のジョナサン・ヴァン・ネスがHIV陽性をカミングアウト

 大人気番組『クィア・アイ』の「ファブ5」の中で美容を担当する(グルーミングのエキスパートである)ジョナサン・ヴァン・ネスが9月21日、『ニューヨーク・タイムズ』紙でHIV陽性であること、性暴力被害や薬物依存の過去などを公表しました。 
 
 ジョナサンがHIV陽性であるという告知を受けたのは25歳の時。美容師として働き、お客さんにヘアカラーを施している最中に気を失い、インフルエンザのような症状になったことをきっかけに、性感染症の治療などに携わるプランド・ペアレントフッドで検査を受けたところ、HIV陽性であることがわかったといいます。
 ジョナサンがHIVに感染するまでの道のりを語るには、それ以前の過去のトラウマや依存症を振り返る必要がありました。
「若い頃に性暴力を受けた多くの人は、いろんな形のトラウマを抱えている」
 LGBTQ+に理解のある家庭で幼いころからゲイであることを自認して育ったというジョナサンは、少年時代に同じ教会に通っていた年上の男性から性暴力を受けたこと、ゲイであるがゆえに学校でいじめを受けていたことを告白しました。
 この経験がジョナサンの性生活を狂わせ、高校3年生を飛び級して進学した大学時代には、母親からの仕送りのお金でコカインに手を出したことで、お金が足りなくなるとセックスでお金を稼ぐ生活を繰り返し、セックス依存と薬物依存になってしまったそうです。
 19歳で大学を退学し、ジョナサンは美容の道に進むことにしました。自分のキャリアが順調に前に進んだ半面、セックスと薬物の依存症は悪化し、ついには2回もリハビリ施設に入所するほど、ボロボロの状態にあったといいます。
 ジョナサンがHIV陽性であることが発覚したのは、そんな日々を送っている時でした。
 これをきっかけに、ジョナサンは依存症を乗り越え、ロサンゼルスに新たな拠点を移しました。
 LAのサロンでコメディアンのエリン・ギブソンと出会い、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の大ファンだったジョナサンは、ネット上で同ドラマのパロディ番組『ゲイ・オブ・スローンズ』のホストを務めるようになったことで、エンタメの世界に入っていきました。そして、大ブレイクしたNetflixのリブート番組『クィア・アイ』のメインキャストのオーディションを勝ち取り、人気セレブの仲間入りを果たすのです。
 
 ジョナサン・ヴァン・ネスはファブ5の5人の中でも最も物腰がやわらかく、フェミニンな服を着たり(6月にはXジェンダーであることをカムアウト)、明るくキュートなキャラクターで、『クィア・アイ』では相談者に自分らしくいることの素晴らしさを訴え続け、世界中のたくさんのファンたちに愛されてきました。
 そんなジョナサンが、このタイミングでHIV陽性であることを公表することを決意した理由は何でしょうか?
「『クィア・アイ』が世に出た時は、自分が抱えていることを話すべきか悩んでいた」と語るジョナサンは、現在のトランプ政権によって様々な差別があらわになり、LGBTQ+コミュニティでも危機感が漂っているのを肌で感じとっていました。HIVを持っていない人と変わることなく健康に暮らすジョナサンは、「美しいHIV陽性者のコミュニティのメンバー」として、HIV陽性者への理解と気づきを促すために、カミングアウトを決意したんだそうです。
 
 9月24日発売のジョナサンの自叙伝『Over The Top(原題)』の中で、このような過去の壮絶な経験が赤裸々に綴られ、そうした経験を乗り越えて、自分を愛せるようになるまでの再生の物語が綴られているそうです。それは、エルトン・ジョンの映画『ロケットマン』と同様に、生きづらさを感じている人々の希望となり、「どんなにどん底にいても立ち直ることはできる」と勇気づけるメッセージになることでしょう。

  
  
参考記事:
ジョナサン・ヴァン・ネスが「HIV陽性」を告白、幼い頃に受けた性被害や薬物依存症も明かす(フロントロウ編集部)
https://front-row.jp/_ct/17304755
Netflix「クィア・アイ」のメンバーであるジョナサン・ヴァン・ネスがHIV陽性であることを告白! その心境を語る(TV Groove)
https://www.tvgroove.com/?p=19589

ジョブレインボー
レインボーグッズ