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世田谷区が災害弔慰金の支給対象に同性パートナーも含めるよう検討する意向を発表
東京都世田谷区は9月18日、自然災害で亡くなった住民の遺族に支給する「災害弔慰金」の対象に同性パートナーも加える方向で検討する考えを示しました。区議会定例会で上川あや区議(レインボー世田谷)が質問し、区側が答えたものです。国の制度では、支給対象が配偶者や子、父母らに限られ、同性パートナーは含まれないため、区は独自の制度の創設も含めて検討するそうです。
災害弔慰金は、災害が原因で死亡したと認定された人の遺族に、500万円を上限に弔慰金を支給する制度です。実施主体は市区町村で、都道府県と市区町村が4分の1ずつ、残りを国が負担します。災害から一定期間が経った後に死亡した場合でも、避難生活での疲労やストレスが原因であるという因果関係が認定されれば、その遺族も支給対象になります。
制度では、事実婚関係にある異性パートナーは対象に含まれますが、同性パートナーは対象外とされてきました。上川区議はこうした状況が差別的であるとして、世田谷区が性的指向による差別を禁じた条例を施行していることを踏まえ、改善を求めました。
区議会で、工藤誠危機管理室長は「同性パートナーであること、生計を一つにしていたことの確認など課題があるが、それらを整理し支給制度を検討していく」と話しました。また、制度改正を国や都へ要望していくそうです。
先日の台風の影響により、千葉県で甚大な被害が出ていますが(まだ全容も明らかになっていませんが)、どの地域にお住まいの方であっても、今後、いつ災害で亡くなるとも限らないわけで、そうしたときに、このような制度があるのにパートナーが同性だから利用できませんと門前払いをくらい、泣き寝入りを余儀なくされるという悲劇が起こらないよう、制度をあらかじめ見直し、対処しようとする世田谷のみなさんの心配りに、頭が下がります。
世田谷区は、同性パートナーシップ証明制度を(要綱で定める「世田谷方式」で)最初に施行した自治体であり、区の職員の互助会で同性パートナーにも結婚祝い金を支給するようにしたのも全国で初めてですし、今回の災害弔慰金の件もそうです。そこには常に、上川あや区議の尽力がありました。
参考記事:
同性パートナー追加 検討へ 世田谷区「災害弔慰金」の支給対象(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201909/CK2019091902000126.html