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『きのう何食べた?』がコンフィデンスアワード・ドラマ賞の作品賞・主演男優賞を受賞
有識者と視聴者が共に支持する質の高いドラマを表彰する「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」が、2019年4月クール放送の主なドラマを対象に行った第16回の結果を発表し、『きのう何食べた?』 が作品賞・主演男優賞を受賞したほか、『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』が新人賞、助演女優賞、脚本賞を受賞、7部門中5部門をゲイドラマが占める結果になりました。
テレビ東京系のドラマ24『きのう何食べた?』は、最も質の高い作品として作品賞に選ばれました。
週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』のドラマ満足度調査「オリコン ドラマバリュー」では、100Pt満点中初回86Ptでスタートし、2話目以降は90Pt台をキープ。最終回では、自己最高の97Ptを記録し、初めから終わりまで一貫して高い満足度を得ていたそうです。
また、エンタメ市場を盛り上げた点も、評価されました。ドラマに登場する料理のレシピを紹介した『公式ガイド&レシピ きのう何食べた?~シロさんの簡単レシピ~』(講談社)は、発売前から予約が殺到し、7/29付時点で累積売上12.5 万部を記録、放送期間中には渋谷のGALLERY X BY PARCO SHIBUYAでドラマの世界観を再現した展覧会が開催され、連日大盛況となりました。
そして、シロさんとケンジを演じた西島秀俊さん&内野聖陽さんが、主演男優賞をW受賞しました。
それから、ゲイの高校生の苦悩を描いたNHK総合のよるドラ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』も高評価を集め、主人公の安藤純を演じた金子大地さんが新人賞に、BLにハマる腐女子の女子高生・三浦紗枝役の藤野涼子さんが助演女優賞に輝きました。そして浅原ナオト氏の原作を脚色した三浦直之氏が脚本賞を受賞しました。
主演女優賞と助演男優賞は『わたし、定時で帰ります。』の吉高由里子さんと向井理さんに贈られましたが、全7部門のうち5部門をゲイドラマが占めるという(おそらく史上初の)結果となりました。スゴいことですね。
ORICON NEWSでは、「今回、受賞した3作は、ともに現代社会の多様化にスポットを当てたもの。しかし、本質の部分では、「幸せって何か」「普通って何か」といった、誰にとっても身近で普遍的なテーマを描いている。4月期は平成から令和へ時代をまたぐクールとなったことも重なり、多くの人が漠然と抱える問いや悩みに寄り添う作品が、視聴者の心をより捉えていたのかもしれない」と評されています。
つい最近まで日本のドラマにおけるゲイの扱いは、ショーパブにいる人か、ちょっとくたびれたおじさんが中途半端なメイク&安い女装の「ゲイバーのママ」として登場して主役のストレートの人たちを盛り立てる都合のいい脇役、あるいはなよなよしてる(学校でいじめられたりする)悩める美少年、みたいな、偏見に基づくステレオタイプな役柄がほとんどでした。昨年、『弟の夫』『隣の家族は青く見える』『おっさんずラブ』が一気に放送され、女装もしていないしオネエでもないリアルなゲイが正面から描かれ(『おっさんずラブ』がリアルかどうかはさておき)、ようやくスタートラインに立つことができた感がありました。そして世間のLGBTドラマブームに乗って、この4月クールは、全国で4つものゲイを主人公としたドラマが放送されるに至りました。
そのなかでも特に、原作が最高に素晴らしい『きのう何食べた?』が、ナイスタイミングで、いい感じのキャスティングで実写化され、ゲイのファンも世間のファンの方たちも納得のドラマとして成功、潜在的にみんなが求めていた「こういうドラマが観たかった」というところにうまくハマったといえます(ゲイマーケティングの成功とは、こういうことを指すのでしょう)。料理のシーンに代表されるような日々の何気ない生活の描写だけでなく、要所要所で、例えばシロさんがお正月にケンジを実家に連れて帰る決心をしたとき、「自分は決して”かわいそう”ではないし、幸せに暮らしてるんだよということを、親に知ってもらいたかった」と語り、涙を誘いましたが、そういうところが視聴者の共感を呼んだのではないでしょうか。
参考記事:
作品賞は『きのう何食べた?』 社会の多様化描く3作が受賞した『第16回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』(ORICON NEWS)
https://www.oricon.co.jp/news/2141445/full/