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パートナーが同性である東京都職員が福利厚生の平等を求めて都に措置を要求
8月19日、東京都が慶弔休暇や結婚祝い金などの職員向け福利厚生制度を適用しないのは不当な差別だとして、同性パートナーがいる都職員ら2人が都人事委員会に改善を求めました。性的マイノリティの職員が、性的指向に基づく差別の是正を求めて措置要求※をしたのは、今回が初めてとみられます。
※措置要求は、団体交渉権などの労働基本権が制約されている地方公務員に認められた制度で、勤務条件などで不当な扱いを受けた際、適正な措置をとるよう人事委員会などに求めることができるものです。人事委は要求に正当な理由があると判断すれば、首長や教育委員会などに改善勧告を出します。
今回措置要求を行ったのは、都立学校に勤めるゲイの男性教員Sさんと、外郭団体に勤務するFtX(自認する性別が典型的な男女に当てはまらない)のTさん。Sさんは、9歳年上の男性パートナーと27年間生活を共にし、世田谷区で「パートナーシップ宣誓」(同性パートナーシップ証明)を行っています。Tさんも、法律上は同性のパートナーと一緒に家族として暮らしています。
2020東京大会を控え、東京都は「五輪憲章」の理念実現などを目指し、性的マイノリティへの差別を禁止する規定を盛り込んだ人権条例を、都道府県で初めて制定しました。しかし、法律婚の夫婦や事実婚の男女カップルが受けられる慶長休暇や育児参加休暇、職員互助組合が支給する結婚祝い金、職員住宅での同居といった福利厚生を、パートナーが同性である職員には認めていません。
2人は、男女のカップルであれば法律婚でも事実婚でも利用できる制度をパートナーが同性の職員に認めないのは差別だとしています。
8月19日、2人は都庁で記者会見を開きました。
「東京都の職場の中では、依然として、私たちセクシュアルマイノリティに対する差別的な取り扱いが続いています」
「仕事はやりがいがあるし、充実してはいます。でも、事実婚をしている男女のカップルであれば、当然のように受けられる様々な休暇制度や福利厚生が、私とパートナーには一切認められていません」
「そうした現実を目の当たりにするたびに、『どんなに一生懸命に働いても、自分は結局ほかの職員と平等ではなく、差別され続けるのだ』と感じます。非常に虚しい、つらい気持ちをさせられ続けています」
教員のSさんは、職場でも、家族にもカミングアウトしていません。なぜ今回措置要求を通じて声を上げることを決意したのかというと、日々学校で接する子どもたちや次世代への思いからだそうです。
「ずっと自分は自分のことを隠して生きてきて、これからもこのまま行くのかなと思ってはいます。でも、学校の生徒たちには自分のことを大切にして生きてほしいと思っています」
「誰かがこういうことをやらなければいけないのであれば、自分はこういった形で措置要求をして、若い人たちが(制度を)使いやすく、生きやすくなればいいなと思っています」
「同時に、これから都で働きたいと思っている性的マイノリティの若者が、希望を持って就職できるような東京都であってほしいという思いがあります」
「日本の首都である東京都で、職員に平等な処遇を行うことが、その他の自治体に与える影響は計り知れないほど大きいものです」
「これから就職しようとする日本全国の性的少数者の若者に対して、大きな勇気と希望を与えるものに違いないと確信しています」
2人の代理人を務める上杉崇子弁護士は、「都の条例は明確に性的指向や性自認に基づく差別は禁止すると謳っていますが、都の内部の状況はその内容に反していると言えます。まず自分たちの組織の内部から平等を実現してこそ、条例にふさわしい都市になるのではないでしょうか」と述べました。
都人事委は「内容を審査し、適切に対応する」などとコメントしました。
参考記事:
同性パートナーも「処遇平等に」=福利厚生、都職員らが要求-東京(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019081900848
福利厚生「同性パートナー不適用は差別」 都職員らが措置要求(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190819/k00/00m/040/116000c
同性パートナーの都立高校教員ら、平等処遇を要求(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/190819/lif1908190030-n1.html
東京都「同性カップルは、育休や介護休暇の対象になっていない」 職員が改善求める(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/tokyo-same-sex-partners