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朝日新聞がボーイズラブを「禁断の」などと表現し、非難を浴び、謝罪しました
朝日新聞社が5月22日、Twitterの公式アカウントで、ボーイズラブ作品を集めたブックサイトを紹介する投稿をしましたが、「禁断の」「のぞいてみたい」などといった不適切な表現があったため、炎上を引き起こし(批判が相次ぎ)、翌日、謝罪しました。
マスメディア(特に週刊誌やスポーツ新聞、ゴシップ系メディアなど)は昔から、同性愛者についての記事で「禁断の」という侮蔑表現を多用し(「禁断の愛」「禁断の二丁目」など)、多くの当事者を辟易させてきました(傷ついたというよりは、バカにされて怒っている感じです。この言葉を蛇蝎のごとく忌み嫌ってきた方も少なくないはずです)。LGBTについての世間の認知がずいぶん進み、東京都がLGBT差別禁止を条例で謳い、企業での社内LGBT施策も当たり前になってきた時代に(この令和の新時代に)、まだ「禁断の」と言いますか?という話です。上川あや世田谷区議が「差別的で古すぎる」とバッサリ切り捨てたのをはじめ、多くの当事者から一斉に、非難の声が上がりました(「のぞいてみたい」という言葉も同罪です)
翌日、このツイートにコメントする形で、「【おわび】このツイートの「禁断のボーイズラブ」などの表現は不適切でした。「禁断」は固く禁止するという意味で、ボーイズラブは決してそうではありません。皆さんのお気持ちを傷つけたことをおわびします。」との謝罪コメントが上がりました。
しかし、例えばジェンダー研究者の堀あきこ氏が「ええ?「禁断」がボーイズラブっていう創作物だけにかかってるんじゃないでしょ? 男性間の性愛を「禁断」とみなす規範があったから、ボーイズラブがそう表現されてきたわけで。気持ちを傷つけたことでなく、「禁断」という異性愛中心な見方で人権侵害したことを反省すべき」と鋭く指摘してくださっているように、ポイントがズレている、との声も上がっています。
朝日新聞は大手新聞の中でも最も熱心にLGBT関連の良質な記事を発信してきた新聞の一つですし、社内LGBT施策も進めているはずです。たいへん残念です。
今回の件は、たまたまTwitterに投稿した担当の方が不見識だったのかもしれませんが、これまでせっかく良い読者でいてくれた当事者の方たち(結構多いと思います)の怒りを買って朝日新聞離れを起こすというリスクを回避する意味でも、この機会に徹底した社内教育(研修)を行ったほうがよいのではないでしょうか。
参考記事:
差別的で古すぎる」朝日新聞、批判相次いだ「禁断のBL」ツイートを謝罪(BuzzFeed)
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/kindan-no