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福岡県糸島市が広報誌にLGBT啓発漫画を掲載

 LGBTQ(性的マイノリティ)への理解を深めてもらい、多様性を認め合う地域社会をめざそうと、福岡県糸島市の広報誌「広報いとしま」が、オリジナルの漫画を掲載した特集「赤と青の世界を虹色に~多様性を認め合う地域」を発表しました。
 大分県が製作したLGBT啓発マンガ「りんごの色」が出色の出来だったということもあるでしょう、自治体が(趣味嗜好だと誤解されやすく、なかなか理解・尊重へとつながらない)性の多様性のことを市民に向けて啓発するには漫画がいちばんだというふうに認知されつつあるようです。
 
 5月15日に3万8千部が発行された「広報いとしま」は、全体で32ページあるうち12ページを「赤と青の世界を虹色に~多様性を認め合う地域」と題するLGBTQ(性的マイノリティ)の特集に割き、9ページにわたって漫画を掲載しています。
 主人公のモデルは、真野豊さんというゲイの方。北海道出身で、周囲の差別や偏見に苦しみながら成人して、のちに糸島市の中学校に教諭として赴任し、ゲイであることをカミングアウトしながら教育現場を変える原動力になっていきました。「男か女かではなく虹色の多様性」を認める地域づくりを訴える作品になっています。
 漫画制作を担当したのは市秘書広報課主幹の田中伸治さん。4年前、地区の人権研修会に取材で参加して真野さんらと知り合い、性的マイノリテに関する啓発活動の大切さを肌身で感じたといいます。
 田中さんは、学生時代に趣味でイラストを描いていたものの、漫画の心得は特にありませんでした。それでも「親しみやすい漫画で若者たちに市政の課題を知ってもらいたい」と、昨年12月の広報誌上で初めて「公共施設マネジメント」についての漫画を描いて掲載しました。ガイド本でコマ割りの仕方やフキダシの描き方などを独習し、娘さんからペンタブレットを借り、漫画制作ソフトを使って執筆したそうです。
 今回は、真野さんに取材を重ね、「デリケートなテーマなので何度も描き直した」そうで、大型連休を費やして完成させたそうです。結果、真野さんからは「性的マイノリティの現実が忠実に再現されている」と言っていただけたとのこと。田中さんは「漫画は広報誌の表現の一つとして可能性がある。当事者以外の人にも関心や共感を持ってもらえたらうれしい」と語ります。

 今回は市職員である田中さんが休みを返上し、無償で漫画を描いてくださっていますが、これをスタンダードとして(個人に無理を強いることを)推奨するのではなく、たとえば地元のLGBTコミュニティと連携し、企業の協賛なども得て予算を確保し、当事者の漫画作家(福岡にもいらっしゃいます)の方に描いてもらえるようになるといいかもしれないですね。
 
 ちなみに糸島市では6月1日、オープンリー・ゲイの弁護士である南和行さんをお呼びして「弁護士夫夫(ふうふ)が語るLGBTのこと、そして人権~一人一人が大切にされる社会を目指して」と題する市民向け講演会を催すそうです。 


性的マイノリティの漫画が掲載された「広報いとしま」

 
参考記事:
LGBT理解は漫画で 福岡・糸島市が広報誌に掲載(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASM5H55WKM5HTIPE01T.html

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