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台湾が同性カップルに結婚とほぼ同等の権利を認める特別法を閣議決定、5月24日施行を目指す
台湾の行政院(内閣)は2月21日、同性カップルの婚姻を法的に保障する特別法案を閣議決定しました。立法院(国会)での審議を経て5月24日の施行を目指します。
「異性愛であれ同性愛であれ、互いの違いを受け入れ尊重しあってほしい」。蘇貞昌行政院長(首相)は21日の行政院会議(閣議)でこのように呼びかけました。「この一歩は歴史に記録される」
今回閣議決定された特別法案では、同性カップルが婚姻の形で行政に登録でき、合法的な財産承継権や医療行為の同意権など婚姻に付随する種々の権利や相互扶養の義務のほか、カップルのどちらかに血縁関係がある子どもを養子にすることも認めるそうです。一方、同性カップルが婚姻しても双方の親戚と親族関係が生じないなど、一部で異性婚と同じではない部分も残りました。
「特別法は婚姻の自由と法的保護の平等を前提にしている」ものの、蔡清祥法務部長(法相)は「解決すべき課題は残っている」と述べ、成立後さらに特別法の改正を検討する可能性も示唆しました。
これまでお伝えしてきたように、2017年5月、台湾の司法院大法官会議(憲法裁判所)が同性婚を認めないのは自憲法の趣旨に反するとの判断を下し、2年後(2019年5月)までに同性婚法を整備することを求めました(国会で制定されない場合、自動的に同性婚できるようになる、とも)。民法改正で結婚の前提を「一男一女」とする条文を削る案が浮上していましたが、保守派が「従来の結婚や家庭の概念が崩壊する」などと猛反発、そして昨年、一部の保守派が動いて国民投票が実施されることになり、結果、民法改正による同性婚(婚姻平権)ではなく同性パートナー法を別に作る案が採択されました。
この結果を受けて蔡政権は、いわゆる同性パートナー法として一部の権利を保障する案を出してくるだろうと見られていましたが、民法にほぼ準じる形の、「同性間の婚姻関係」をも認める、踏み込んだ法案を提出しました。保守派からは反発も出ているものの、同性カップルの権利自体を否定する意見は多数派ではなく、法案は立法院を通過すると見られています。
LGBTの権利擁護などを訴える団体「婚姻平権大平台」は、この法案の閣議決定を受け、まだ不十分としつつも「努力が見える」と評価する声明を発表しました。
世界ではこれまでに25ヵ国が同性婚(結婚の平等)を承認しています。台湾と同様にタイでも「市民パートナーシップ法案」(同性婚ではなく、結婚に準じる様々な権利を認めるもの)が閣議決定されていますが、総選挙を控えて審議が保留になっています。アジアで初めて同性カップルの権利を承認するのは台湾になるのか、タイになるのか、まだわかりません。
いずれにせよ、台湾では今年5月、同性カップルに婚姻とほぼ同等の権利が認められることになりそうです(おめでとうございます!)
参考記事:
台湾で同性婚合法化へ、アジア初の可能性(共同通信)
台湾、同性婚法制化へ=関連法案を閣議決定(時事通信)
台湾、同性婚合法化を閣議決定 アジア初、蔡政権リベラル志向鮮明に (日経新聞)
同性婚特別法案を閣議決定 国会通過後5月24日施行へ/台湾(フォーカス台湾)