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神奈川県小田原市が4月から同性パートナーシップ証明制度を導入、県内2例目
神奈川県の小田原市は2月22日、同性パートナーシップ証明制度を4月から導入すると発表しました。神奈川県では、横須賀市に次いで2例目です。
小田原市は「個性豊かに生きることができる環境を整えたい」として、制度スタート後も課題解消に努めるとしています。
小田原市の同性パートナーシップ証明制度は、要綱に基づくもので、対象となるのは、20歳以上で、双方が市内在住か一方が市外在住でも市内への転入を予定している、配偶者がいないカップルです。登録には住民票の写し、戸籍謄本など独身であることがわかる書類が必要です。
市に登録申請書を提出すると、市が要件を満たしていることを確認し、登録証明書と、登録を受けたことに関する事実証明書の2種類を発行するそうです(これは今までにないパターンです)。先行する自治体では窓口や別室で二人が誓う「宣誓」方式が多かったのですが、住居移転後も再び宣誓しなくても済むよう「登録」方式を採用したといいます。申請窓口は市民部人権・男女共同参画課です。
市は、昨年12月14日から実施したパブリックコメント(意見募集)で、7件のうち6件が「選択肢が増えることは誰にとっても暮らしやすい市になる」など肯定的意見だったとしています。
同課の菊地映江副課長は「制度があるだけで前向きになれるという声もあり、できるところからスタートさせて制度を研鑽していきたい」と話しています。
市営住宅への入居や、市立病院での対応など、行政側の環境も整える方針です。
小田原市では、当事者団体が市に働きかけを行い、制度が実現したというよりも、市のなかでLGBTの住民の支援が必要だという認識になり、パブリックコメントでも幸い肯定的な意見が多かったため、実現に至った、ということのようです。
しかし、全国的に見てもとても珍しい、ユニークで素敵な話があります。それは、小田原市消防職員協議会(小消協)のアライとしての活動です。2015年に海老名市議の「同性愛者は異常動物」発言が問題になりましたが、これに対して小消協の「消防とLGBT」というblog記事で「救助を求めている人がLGBTであったら、救助しませんか? 救助方法を変えますか? そんなことはないはずです!」「我々の日本の消防行政でも、LGBTの方が、その崇高な任務に命を懸けるために消防の門を叩いてくることも十分あります」「どんな人でも、安心して安全に暮らせる世の中を目指し、災害から万人を守る消防官として、是非機会を設け、LGBTについて深く勉強をしてみましょう」と熱く語られています。そして2018年には、救急救命士の成吉丈氏(これまでも多くのLGBTに出会い、実際に当事者の消防職員と正面から話をし、交流を深め、多くの講演を行い、ラジオ番組でもLGBTについてお話をしている方。座間市消防職員協議会、全国消防職員協議会の元ユース部代表)を講師に迎え、LGBT(Q)をテーマとした学習会を催しています。
この小消協のみなさんの思いが市に届いたのかどうかはわかりませんが、思わず胸が熱くなるような、当事者を勇気づけるような、いい話です。
小田原市が今後もよりいっそう、LGBTも暮らしやすい、「個性豊かに生きることができる」街になっていくことを期待します。
参考記事:
パートナーシップ制度、小田原市が4月導入 県内2例目(神奈川新聞)