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ギャレス・トーマスが来日、「(今回のW杯は)歴代No.1の大会」「全ての人を受け入れてくれた」と語りました

 ラグビー元ウェールズ代表としてW杯4回を含む国際マッチ100試合に出場し、世界を舞台に活躍、ウェールズとブリティッシュライオンズではキャプテンをつとめ、レジェンドと呼ばれる名プレイヤーで、2009年にゲイであることをカミングアウトし、つい先日、HIV陽性であることを公表したギャレス・トーマスが、W杯に合わせて来日し、インタビューに応じました。日本で「スポーツ界におけるダイバーシティ(LGBT)」について公に語るのは、今回が初めてのことです。

 
 ギャレス・トーマスは2009年12月、英『デイリー・メール』紙のインタビューで、自身がゲイであることをカミングアウトし、英国のみならず世界に大きなインパクトを与えました。
 2010年3月、ギャレス・トーマスの所属する「Crusaders」と「Castleford Tigers」との間でラグビーの試合が行われ、その最中に「Castleford Tigers」のサポーターからギャレス・トーマスに対してホモフォビックな侮辱発言が行われるという事件がありました。ラグビー・フットボール連盟(RFL)はこの侮辱を「受け入れがたい言動であり、RFLに対する尊重の欠如であり、スポーツの利益に反する行動をとった」と非難し、侮辱を止めさせなかった「Castleford Tigers」を訴え、先月、裁判所が4万ポンド(約534万円)の罰金を支払うよう命じました。ホモフォビアが根強く残るスポーツ界で、ギャレスのような勇気あるカミングアウトこそが、状況を変えていく偉大な一歩となったのです。
 2010年、ロンドン五輪組織委がLGBTコミュニティへのサポートの意を示すゲイプライド・ピンバッジを発表した際、ギャレス・トーマスは「五輪委員会がかつてないほど多様な人々をスポーツに参加させることができるよう、このピンバッジをつけよう。プライドを胸に」と呼びかけました。
 同年、10代のゲイの自殺が相次いだことを受けて立ち上げられた「It Gets Better」のプロジェクトにギャレスも参加し、動画で当事者の若者へのエールを贈りました。
 2010年末には、ミッキー・ローク主演でギャレス・トーマスの生き様をベースにした映画の製作が検討されていると報じられました(結局、実現はしなかったようです)
 2011年には、英国のウィリアム王子とキャサリン(通称ケイト)・ミドルトンさんの結婚式に招待されました。
 同年10月、ギャレス・トーマスはラグビーを引退しました。
 ラグビー界のレジェンドは、引退後もLGBTについて発言したり、リアリティ番組に出演するなどして活動を続けてきました。
 昨年11月には、ギャレス・トーマスがヘイトクライム(憎悪犯罪)の被害に遭い、ラグビーのウェールズ代表などの選手たちが試合でレインボーカラーの靴紐を着けてギャレスへの支援を表明するという出来事がありました。
 そして今年9月、HIV陽性者であることを公表し(イギリス人アスリートのHIV陽性カミングアウトは初めて)、その直後、アイアンマンレースを見事に完走し、拍手で迎えられました。また、ヘンリー王子から「あなたはレジェンド」と讃えるコメントが贈られました。
 
 
 そんな「レジェンド」であり「鉄人」であるギャレスがW杯に合わせて来日し、プライドハウス東京で、田亀源五郎が描いたラグビーのアートワークを背にして、「これまでのところ、歴代No.1の大会だと思う。(日本人は)世界中から日本にやってきた人々や、あらゆる宗教の人々、全ての人を受け入れてくれたと思う」と語りました。
 カムアウトした当時の思いについて聞かれると、ギャレスは「公表する前は、頭の大部分を占めていたのは恐怖だった。周りから僕の能力ではなく、セクシュアリティで僕を判断されるのではないか、みんな突然、僕を嫌いになるんじゃないか。友人もチームメイトも、背中を向けるんじゃないかとね」と語りました。
 数カ月前にHIV陽性であることをカムアウトしたことには、どんな意味があったのかと尋ねられると、「僕の人生は常に進化している。僕はHIVに関して、うそをついて生きてきた。すごく個人的なことだし、人に話す必要はないと思っていた。でも公表して、あらためて実感したのは、人々が誠実さを讃えてくれたということだ」と語りました。
 公表から10年、彼は「今も進化の過程だと思う。まだまだ道のりは長い」と語ります。
「世界には今も障壁があって、人々はLGBTの問題に触れることを恐れていると思う。世界のスポーツでは、LGBTはマイノリティ。そのことが大きな障害になっていると思う。自分が公表したあと、どうなるのか、想像することはとても難しいと思う」
 クラブの支援やスポンサーを失う恐怖がある?と聞かれ、「いつも失う恐怖はある。環境をつくるべきだと思う。彼らがスポンサーを失わないと確信できる場所が必要だと思う」と語りました。
 最後に、スポーツ界が、LGBTアライになるためには、どうしたらよいのか、と意見を求められ、ギャレスは「ラグビーワールドカップは素晴らしかった。特にオリンピックが行われる国だし。多くの国から人々が日本に来れば、文化や特徴の多様性に、より寛容になっていくと思う。私は、人々がセクシュアリティに関して、もっとオープンに話すべきだと思う。バーの端の方や、LGBTの人だけの場だけで話すのではなく、開かれた議論、カフェや道で議論を重ねることにより、理解を持つ人も増えていくと思う」と語ってくれました。



参考記事:
スポーツ界とLGBTの課題 ラグビー界のレジェンド語る(FNN)
https://www.fnn.jp/posts/00426526CX/201911010500_CX_CX
 

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