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千葉市でパートナーシップ証明制度がスタート、事実婚の異性カップルを含めたのは全国初

 千葉市で1月29日、戸籍上同性のカップルや事実婚の異性カップルについて婚姻と同等であると認め、公的証明書を交付する「パートナーシップ宣誓制度」が始まりました。

 二人とも配偶者がいない成人で、いずれかが市内在住か転入予定であることなどの条件を満たし、互いをパートナーとして宣誓すれば、市が宣誓証明書を交付するもの(いわゆる世田谷方式)です。事実婚の異性カップルを含めたのは全国で初めてです。
 
 証明書に法的な効力はありませんが、市立病院でパートナーの意識がない時であっても面会が認められるようになり、市営住宅や市営霊園の申し込みもできるようになります(二人で一緒に霊園の申し込みができるというのは、感慨深いものがあります。同性カップルも一緒のお墓に入れる時代になり、また一つ、平等が達成されました)。民間業者や市民にも協力や理解を求めます。
 
 29日には市役所で、熊谷俊人市長がカップルに証明書を手渡す交付式が行われ、LGBTの4組、事実婚の2組が参加しました。市長が「より良いパートナーとしてこれからも幸せになってください」と声をかけ、証明書を手渡すと、職員から拍手が湧き起こりました。
 
 そこには、1994年から、ゲイカップルとしてカミングアウトし、セクシュアルマイノリティに関する様々な事柄を『同性愛の基礎知識』などの著書や講演活動を通じて広く訴えたり、電話相談なども行なってきた(もともと石川大我さんもそこでディレクターを務めていて「ピアフレンズ」発足のきっかけともなった)「すこたんソーシャルサービス(当時はすこたん企画)」の伊藤悟さんと簗瀬竜太さんの姿もありました。お二人はアパートへの入居を10回以上も拒まれてきた苦い経験を振り返り、「今はこうしてパートナーとして証明されたことに感激している」と喜びの表情を見せました。33年間、寄り添って生きてきたお二人の歩みは、社会の無理解との戦いでした。2011年、簗瀬さんが腹痛を訴え救急搬送され、伊藤さんが病院に駆け付けましたが、ただの“知人”と判断され、処置室へ入ることも医師から病状の説明を受けることもできませんでした。伊藤さんは「自分たちが社会のルールからはじかれていると感じて悲しかった。いかにできないことが多いか実感した」と振り返りました。お二人は千葉市がパートナーシップ宣誓制度を検討していることを知り、昨年11月、船橋市から千葉市に転居しました。住宅を借りる際、簗瀬さんが「パートナーシップ宣誓をする」と不動産会社の担当者に伝えると、契約がスムーズに進んだといいます。同居人の欄に初めて簗瀬さんの名前を書き込み、二人で契約しました。「たった紙切れ一枚のことですが、本当にうれしかった」と語ります。「これからもお互いに支え合って生きていく」と笑顔で語り、「他のLGBTの人にも諦めの気持ちを持ってほしくない」とメッセージを送りました。

 それから、市民団体「レインボー千葉の会」共同代表で、制度創設を訴えてきた上井ハルカさんは、パートナーの佐野心春さんと念願の証明書を手にしました。上井さんは「うれしい、と同時に身が引き締まる思い。今日はゴールではなくスタート。世の中の価値観を変えていきたい」と力を込めました。

 「レインボー千葉の会」事務局長の松尾圭さんは山田瑞紀さんとパートナーシップを誓いました。山田さんは「病気など今後のリスクを考えると、パートナーを主張できるのは安心につながる」、松尾さんは「人生の選択肢が多いのは大事なこと。他の自治体にも制度が広がってほしい」と語りました。

 金田由希さんは、事実婚の相手の男性と宣誓しました。「結婚制度には二人が対等ではなくなる印象があり、家どうしのもので個人対個人の関係でなくなることに違和感があった」「これまで二人の関係が事実婚だと周囲に説明するのが難しかったが、これからは証明しやすくなる」「自分を隠すように生きるのはつらかった。いろいろな家族のあり方が認められる社会になればうれしい」と語りました。

 熊谷市長は交付式のあいさつで「大学時代の仲間にLGBTがいた。カミングアウトされた時は驚いたが、普通の友人づきあいができた。多くのLGBTが不都合や不便を被っている」「制度が全ての人にとって生きやすい社会実現の第一歩になる。皆さんの人生とパートナーシップを応援したい」「われわれが率先することによって、市内の民間の皆様方にもパートナーシップの在り方を認めていただき、それぞれの方々が不都合、不便のない都市を目指していきたい」と述べました。
 
 

参考記事:
「世間の価値観変えたい」 千葉市パートナーシップ宣誓制度施行 市民や事業者にも理解を(千葉日報)
事実婚もLGBTも“パートナー”証明書 全国初 きょうから千葉市(FNN)
千葉市がパートナー証明 全国初、LGBT限定せず(日経新聞/共同通信)
千葉市でパートナーシップ制度開始 LGBTも事実婚も(朝日新聞)
千葉市、LGBTや事実婚のカップルの公認制度をスタート(毎日新聞)
千葉市、パートナー証明を開始 LGBTに限定せず(産経新聞)
同性カップル「パートナー」制度で千葉市へ 「いない」から「いる」存在に(東京新聞)

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