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京都府亀岡市議選でトランスジェンダーの候補がトップ当選
1月27日に投開票された京都府亀岡市議選で、戸籍の性別を男性から女性に変更したMtFトランスジェンダーの無所属新人、赤坂マリアさんが、2270票を得てトップ当選を果たしました。赤坂さんは「同じ境遇で悩む人たちの希望になりたい」と語りました。
赤坂さんは、大阪府高槻市出身で、子どものころから男性であることに違和を覚えていました。転機が訪れたのは、飲食店の管理職として多忙を極めていた27歳の時。自動車の居眠り運転で壁に激突し、3日間の意識不明となり、九死に一生を得ました。「これからは自分らしく生きよう」と決意し、性別適合手術を受けました。大阪でショーパブやバーを経営し、事故のリハビリを兼ねて習ったダンスを生かし、タレント活動も始めました。
10年前に祖父母の介護のため亀岡市に移住しました。そして、自身の介護経験から、2013年にサービス付き高齢者住宅の経営を始めました。一方で、街の見回りの活動、子どもや高齢者に100円で食事を提供する催しなどに参加し、地域との関わりを深めました。その中で知り合った若者たちが、市外に転出していく現状に危機感を持ちました。
「たくさんの人を呼び込んで街を盛り上げ、誰もが楽しく暮らせる街に」。昨年3月、市議選への立候補を決めました。女性として出馬するため、戸籍の性別を変えました。
選挙では自転車で市内一円を回りながら、人を呼ぶイベントのアイデア、高齢者も楽しめる施設の計画などを訴えたそうです。
赤坂さんがずっと心に刻み続けてきたのは、生きづらさゆえに自殺したLGBTの友人たちのことです。「田舎ではLGBTと知られたら後ろ指を指される。そんな街を変えていきたい」。誰でも悩みを相談できる「マリアの部屋」を自分の事務所に作り、将来は市役所にも窓口を設けたいと思っているそうです。
27日の22時40分ごろ、事務所で支持者に囲まれ、赤坂氏は「地盤が無いなか、みなさんのおかげで多くの支持をいただくことができた」と涙ぐみながらお礼を述べました。「私はパワーもある。人脈もある。亀岡に人を呼び、できるだけ早く高齢者が楽しめる居場所をつくる。今日を亀岡の新しいスタートにしたい」と力強く語りました。
LGBT自治体議員連盟によると、現在、全国にLGBTの地方議員が8人いて、赤坂さんは9人目となるそうです。
参考記事:
LGBTの候補、市議選トップ当選 「同じ境遇悩む人の希望に」(京都新聞)
LGBT公表の赤坂さんトップ当選 京都・亀岡市議選(毎日新聞)