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横須賀市職員がLGBTに「制度があるほかの市に引っ越せばいい」と発言し、炎上
今月、LGBT団体が神奈川県横須賀市の市役所を訪れ、同性カップルを結婚に相当する関係と認める同性パートナーシップ証明制度の導入を要望したところ、対応した職員が「制度があるほかの市に引っ越そうと思わなかったのか」と発言していたことが明らかになりました。
8月15日、横須賀市の性的マイノリティの団体「よこすかにじいろかれー」のメンバーが同性パートナーシップ証明制度の導入を要望するために市の男女共同参画課を訪ねたところ、職員からそのような発言があり、翌16日にTwitterへ投稿したことで公になりました。
NHKの取材に対し、このメンバー2人は、「制度がない横須賀にわざわざ来ることなく『出て行けばいい』と言われたようで、とても残念でした。要望を面倒だと思われているのかなと感じました。横須賀市はLGBTに配慮した施策をホームページでたくさん紹介しているのに、制度をつくる担当の課の職員が…。素朴な疑問だったにしても人権意識が低いと思います。私たちについてもっと知ってほしい」と語りました。
市は、配慮を欠いたとしてメールで謝罪しました。
横須賀市男女共同参画課の福原剛課長は「配慮のない発言で傷つけてしまったことを大変申し訳なく思っています。今後は、寄り添った施策を団体のご協力を頂きながら進めていきたいです」と語っています。
このニュースに対し、「配慮がなかったということではなく、公僕である市役所の職員が、市民への公正な公的サービスの実施を否定・放棄し、あまつさえ『出て行け』という発言をしたから、大問題になっている。これは明らかに差別だ。差別なのに「配慮」という言葉が使われていることも問題ではないか」といった声が上がっています。
横須賀市は、市のホームページの「人権・男女共同参画」の中に「性的マイノリティ」という特設サイトを設け、市民への理解を求めるとともに、相談体制の充実、正しい知識の周知など、横須賀市のLGBT施策を紹介しています(石川大我豊島区議の調査によると、横須賀市が全国で最もLGBT施策の数が多いとされています)。にもかかわらず、LGBTからの相談に対して最も親身に対応してくれるはずの男女共同参画課の職員が、「出て行け」と言わんばかりの差別的な発言をしてしまうというのは、どういうことなのでしょうか…。
たった1人、このような差別的な人がいるだけで、あっという間にニュースが広まり(炎上し)、これまで築いてきた輝かしいイメージ(ブランド)が地に落ちてしまいます。これは企業も同じことです。
もし日本にもLGBT差別禁止法案があれば、こうした差別発言を防ぐことはもっと容易になることでしょう(「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」などとして無罪放免・おとがめなし、といったことにはならないでしょうから)
今回のニュースは、そのようなことを考えさせてくれるものとなりました。
参考記事:
LGBTへの配慮欠く発言で謝罪(NHK)
LGBTへの配慮欠く発言 横須賀市職員、団体に謝罪(共同通信社)