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全米初!トランスジェンダーの州知事候補が誕生
8月14日、米バーモント州知事選の民主党候補を決める予備選が行われ、トランス女性であるクリスティン・ハルクイスト氏が勝利し、史上初めてトランスジェンダーの州知事候補が誕生しました。11月の州知事戦(米中間選挙)で現職の共和党知事との一騎打ちに挑みます。
ハルクイスト氏はバーモント州の電力会社「バーモント・エレクトリック・コープ」のCEOを務めていた2015年に性別移行しており、在職中に性別移行したアメリカ初のビジネスリーダーになったそうです(ファーストネームもデヴィッドからクリスティンに変えました)。性別適合手術を受けて身体は女性になっていますが、性自認はノンバイナリー(日本で言うXジェンダー)だそうです。
ハルクイスト氏はLGBTQに不寛容な姿勢を見せるトランプ大統領への反発を立候補理由の一つに挙げていますが、政策面では農村が広がる州内の情報網整備や雇用確保など経済対策に重点を置いています。そして、民主党の州知事候補の予備選で元海軍兵士で環境活動家のジェームズ・エーラス氏、ダンスフェスティバルの総監督であるブレンダ・シーゲル氏、同州上院議員だったバーニー・サンダースに影響された14歳のイーサン・ソナボーンくんらを下し、民主党の指名候補となりました。
米東部13州のほとんどが青い州(民主党が優勢)であるのに対し、バーモント州は唯一、共和党と民主党の州知事が交代するような州です。2016年から現職の共和党フィル・スコット知事との本選は厳しい戦いが予想されているそうですが、同国初となるトランスジェンダー知事の誕生に一歩近づいた形です。
ハルクイスト氏は予備選勝利を決めた後「世界はトランスジェンダーにとっての歴史的瞬間を見ている。しかし州民は、私たちが州のために何をしようとしているのかを見ていた」と語りました。また、CNNのインタビューで「自分のような、ふだんは政治に参加しない人間が、トランプ氏が大統領になって以降、一斉に目覚めており、これこそ健全な民主主義なんだと思う。数年後、『米国の民主主義は素晴らしいじゃないか。我々は死に際で生き残った』と振り返ることができると期待している」と答えています。
ハルクイスト氏の選挙運動用Webサイトには、今回の立候補について、「バーモント州がこれまで通り特別で、寛容かつ進歩的な土地柄であるよう尽力すること、これがクリスティンが次期知事としてバーモント州民に仕える名誉と機会を求めた動機だ」と記されています。
LGBTQの候補者を支援するNGO「ビクトリー・インスティチュート」によると、今年の中間選挙にはLGBTQの候補者が400人以上出馬しているといいます。
同団体によると、LGBTQの公職者は全米で559名で、全体の0.1%に過ぎないそうです。
昨年の米地方選ではLGBTQの躍進が目立ちましたが、今年の11月の中間選挙では初のトランスジェンダーの州知事の誕生をはじめ、さらにいいニュースが聞けることを期待します。
参考記事:
“全米初”州知事候補にトランスジェンダー(日テレNEWS24)
全米初、トランスジェンダーが知事選の候補に(TBS)
トランスジェンダー公表の女性、民主候補に 米知事選(朝日新聞)
民主候補にトランスジェンダー「女性」 米バーモント州知事選(東京新聞)
米バーモント州知事選、トランスジェンダー女性が民主党候補に(AFP)
米中間選挙に向け4州で予備選、初のトランスジェンダー知事候補も(CNN)