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同性パートナーを殺害された方が、犯罪被害遺族給付金の支給を認めなかった愛知県公安委員会を訴えました

 昨年末のニュース「愛知県公安委員会が、同性パートナーを殺害された方に対し、遺族給付金の支給を認めない決定を下しました」でもお伝えしましたが、パートナーを殺害された名古屋市在住のゲイの方が、犯罪被害者給付金を申請して愛知県公安委員会から支給を拒否されました。この方が、名古屋地裁に訴えを起こしました。弁護団は「同性パートナーへの支給は聞いたことがなく、全国で初めての訴訟ではないか」としています。
 
 2014年12月、名古屋市中村区の水野英明さん(当時52)が自宅で刺殺されました(犯人は懲役14年の刑が確定しています)。内山靖英さん(43)は水野さんと約20年間同居し、生計を共にしてきました。2010年からは要介護の母親も含めて3人で暮らしていました。夫婦同然で生活しており、支給対象となる事実婚の関係に該当するとして、2016年12月、内縁関係でも支給される犯罪被害者給付金※の支給を申請しました。しかし、2017年12月、愛知県公安委員会は不支給の裁定を下しました。内山さんは裁定を不服として国家公安委員会に審査を申し立てるとともに、7月9日、裁定取り消しを求める訴訟を名古屋地裁に起こしました。

※犯罪被害給付制度:犯罪で亡くなった被害者の遺族や負傷した被害者本人を支援するため、国が一時金を支給する制度。申請者が犯罪を知った時から2年以内か、犯罪の発生から7年以内に申請する必要があり、各都道府県の公安委員会が支給の可否や額を決めます。遺族給付金の場合、死亡者の第一遺族=配偶者(事実婚や内縁関係を含む)と子、父母、孫、祖父母、きょうだいが対象で、年齢や収入、遺族との関係などによって320万~2964万円が支払われます。2015年度の申請は256件で、支給決定は242件(過年度申請分含む)、平均給付額は510万円です。

 内山さんと代理人弁護士は提訴後に記者会見し、弁護士は「二人は内縁関係。支給法に性別に関する文言は一切なく、差別に基づく裁定だとしたら許されない。訴訟は年金など別の問題にも影響を与えるだろう」「なぜ、男女の(夫婦)関係では支給されるのに、ゲイとレズビアンには認められないのか。大切な人の命を突然奪われるつらさに、性別は関係ないはず」と述べました。
 内山さんは「同じ境遇の同性愛者にも大きな影響がある」として実名で記者会見をしました。「大切な人が突然、命を奪われるつらさは性別に関係ないはず。夫を殺されたつらさを差別しないで」と訴えました。

 実名での記者会見、本当に頭が下がります。内山さんの勇気が報われることを望みます。
 


参考記事:
遺族給付金 同性パートナー提訴(NHK東海)
事件被害者の同性パートナーが給付金支給を求め愛知県を提訴(CBC)
「同性も配偶者」と提訴 犯罪被害遺族給付求め、名古屋(日経新聞/共同通信)
犯罪遺族給付金 「不支給は違法」 同性パートナーが提訴 名古屋地裁(毎日新聞)
名古屋の男性、同性パートナーの遺族給付求め提訴(中日新聞)

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