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エリザベス女王のいとこが英国王室初の同性婚へ

 先週末、エリザベス女王のいとこにあたるアイヴァー・マウントバッテン卿が同性結婚することを発表しました。英国王室で初めてのことです(世界的に見ても初ではないでしょうか)

 マウントバッテン卿はヴィクトリア女王の玄孫で、エリザベス女王のいとこにあたる方(現在55歳)です。1994年にペネロペ・トンプソンという女性と結婚し、3人のお子さんをもうけていたのですが、2011年に離婚しました。2016年、マウントバッテン卿がバイセクシュアルであること、スイスのスキーリゾート地ヴェルビエで出会った航空機の客室サービスのディレクターを務める男性ジェームズ・コイルと交際中であることをカムアウトしました。
「(これまでセクシャリティを隠してたのは)マウントバッテンという一族の一員だからではなく、すべての原因は生まれた時代でした。私の育った時代、同性愛は『その名を口にしてはいけない愛』と呼ばれていました。時代が変わり、多様な愛が受け入れられるようになったことは素晴らしいことです」
「カミングアウトという表現は不思議な言葉ですが、私も遠回しに、ハッピーな場所に浮上するためにカミングアウトしたのでしょう。これまでセクシュアリティで悩んだこともありますし、今でもある局面では悩むこともあります。ここまで到達するまでの道のりは決して簡単ではありませんでした」

 ちなみに、ペネロペさんには結婚前からカムアウトしていたんだそうです。
「ペニーには、私がバイセクシャルで、男性と女性の両方に惹かれることを結婚前に話しました。彼女が理解してくれたことを、これからも感謝し続けます。私たちは楽しい結婚生活を送りました。3人の素晴らしい娘にも恵まれましたし、人生何ひとつ後悔したことはありません」
「長女のエラにこのことを話したら、『あら、パパ、大したことじゃないわ。今じゃ普通のことよ』と言っていました。こういう概念に関して、彼らは冷静でいられる世代です。自分たちの父親が当事者だと、そんなに冷静ではいられないものですが、完全に理解してくれました」

 ペネロペさんは、マウントバッテン卿の結婚式で、彼の手を取ってヴァージンロードを一緒に歩くことになっている(通常、父親が行う役割を担う)そうです。娘さんからの提案だそうです。
「アイヴァー(マウントバッテン卿)が気づいてないのは、カムグアウトする前と後でどれだけ人間性に変化があったか、ね。それもすべて、楽しいジェームズのおかげなのよ。アイヴァーは、昔よりも随分とリラックスしているし、優しくなった。それに、料理も上手になったわ。自分のセクシュアリティを隠していたことが、彼自身を苦しめていたことに気づいていなかったんだと思う。公表できてからは別人のようだわ。会う人はみんな、こんなに幸せそうな彼を見たことがないと言うのよ」
 
「男性と結婚するなんて想像もしていなかったから、最高の気分です」と明かし、喜びもひとしおのマウントバッテン卿。しかも、元妻のペネロペさんと、夫となるジェームズさんは「出会って10秒もしないうちに打ち解けた」ほど仲良しなんだそうです。

 娘さんたちを含め、エリザベス女王の息子のエドワード王子やその妻のソフィー伯爵夫人ら、多くの人々が祝福してくれているそうです。もちろん英国王室も認めていますし、英国民からも概ね支持を受けているそうです。

 マウントバッテン卿とジェームズさんは、今夏、イングランド南西部のデヴォン州にある田園に囲まれた小さな教会で式を挙げる予定です。
 先月、ヘンリー王子とメーガン妃(英国王室では初となるアフリカ系の血を引くアメリカ人女性)の壮大な結婚式で盛り上がった英国ロイヤルファミリー。さらに先日はヘンリー王子のいとこ(ダイアナ妃の姪)にあたるセリア・マッコーコーデールさんの結婚式も行われ、祝福ムードが続くなか、歴史的な、ロイヤルファミリー初のゲイウェディングとなります。


 英国王室の歴史を遡ると、実は同性と恋愛関係にあった王がたくさんいました。最も有名なのが、クリストファー・マーロウが戯曲化し、デレク・ジャーマンも映画化した中世のエドワード2世(イングランド王)です。同じく中世のリチャード1世もそうだったと言われています。ほかにも、16世紀のジェームズ1世(イングランド王)や17世紀のウィリアム3世(イングランド王)が知られています。特にエドワード2世は幼友達だったピアーズ・ギャヴィストンを寵愛し、王族専用の爵位や王の俸禄配分権を与え、その過剰な厚遇(ひいき)が諸侯や王妃の恨みを買い、没落…。肛門に火箸を刺されて殺されるという悲劇的な最期を迎えます(そこには多分にホモフォビアも含まれていたと考えられます)
 英国で同性婚も認められるようになり、晴れて王族がカムアウトし、愛する同性のパートナーと結婚式を挙げることができるようになったことは、そのような英国の歴史に鑑みても、また、宮中晩餐会に同性パートナーが出席することに難色を示したり同性婚が認められていなかったりそもそも同性愛が認められていないような国・地域もあるなかで、本当に大きな意義をもつ、時代を象徴するような、輝かしい出来事と言えるでしょう。
 


参考記事:
エリザベス女王の従弟が英国王室初の同性婚へ 実娘の反応明かす(ニューズウィーク日本版)
エリザベス女王のいとこ、英国王室で初の同性婚へ(ELLE ONLINE)
感動的!英ロイヤルファミリー史上初の「同性夫夫」が誕生へ(COSMOPOLITAN)

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