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北海道が初めて、一方が「性同一性障害のある」カップルを里親に認定しました
毎日新聞によると、北海道は親元で育てられない子どもの里親について、一方が「性同一性障害のある」カップルを認定しました。11月2日、道関係者が明らかにしました。性同一性障害の当事者であることを認識した上で里親と認定したのは道内では初めてだそうです。
関係者によると、10月に開催した道社会福祉審議会の分科会で、一方が「性同一性障害のある」カップルを里親として適当と認めました。実際に子どもの委託を受けられるかは、児童相談所からの紹介やマッチングなどを経て決まります。
厚生労働省は里親委託に関するガイドラインを2011年に策定していますが、その里親の要件の中に性的マイノリティに関する定めは特になく、自治体ごとに判断しています(東京都だけが条例で同性カップルを排除していましたが、今年5月に里親認定基準を見直し、認めるようにしました)。全国的には、2017年4月に大阪市がゲイカップルを養育里親に認定してニュースになったほか、兵庫県がレズビアンカップルを認定した事例があるそうです。
厚労省は子どもの福祉の観点から、親のもとでの養育が困難な子どもたちが、できるだけ児童養護施設ではなく里親のもとで育てられることが望ましいとして、里親に預けられる割合(未就学児)を6年半以内に75%に引き上げる計画ですが、2016年度末時点で里親委託率は全国で18%、道内は約29%と、まだまだ低い現状です。「里親が不足するなか、性的マイノリティの認定に消極的な意見もある一方で、里親の担い手を増やし、多様な家族のあり方を支える上で必要とする声も多い」そうです。
性同一性障害の当事者団体「With Us」の日野由美代表は「子どもが性的マイノリティであることもあるため、性同一性障害のカップルなどが認定されることは意義がある」と語ったそうです。
このニュースに一抹の違和感を覚えた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
厚労省の里親委託に関するガイドラインにおいて性的マイノリティだからどうこうということはなく(問題視されておらず)、男女の夫婦だけでなく(性別に関係なく)単身者であっても里親になれるのに、地方自治体の側で「性的マイノリティの認定に消極的な意見」があるからと性的マイノリティを排除したり、カップルの一方に「性同一性障害がある」と里親の資格に関わることであるかのように見なしている時点で差別的であると言えるのではないでしょうか。
(なお、今回認定された「性同一性障害がある」方が戸籍上の性別変更が未済で、パートナーの方と戸籍上同性である場合は、全国的にもまだまだ事例が少ない同性カップルの認定ということになります)
そもそも、子どもを育ててきた性同一性障害の方(あるいは性同一性障害の診断は受けていないトランスジェンダーの方)はすでにたくさんいらっしゃいますし、現に子どもを育てているレズビアンカップルや、異性と結婚して子育てもしてきたレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの方々も本当にたくさんいらっしゃいます(今でもLGBの多くは既婚者です)
全国の自治体が、LGBTに里親の資格があるかどうかなどという無用な議論から解放され、一人でも多くの子どもが施設を出て里親のもとで暮らすことができるようになることを祈ります。
参考記事:
里親 片方が性同一性障害カップル、道が初認定(毎日新聞)