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宮城県男女共同参画基本計画案に初めてLGBTへの配慮が明記されました
2月6日、宮城県が第3次男女共同参画基本計画案(新年度から4年にわたって適用)を発表し、初めてLGBT(性的マイノリティ)へ配慮する内容が盛り込まれました。中間案に寄せられた県民の意見を反映したものです。
計画案では、性的な問題で差別されるなど、困難な立場の人が安心して暮らせる環境を整備する必要性が明記されました。
具体的な取組みとして、相談対応の態勢の整備、偏見をなくすための普及啓発のほか、教育現場での教職員によるきめ細かい対応や安心して住み続けられる地域づくりなどを掲げます。
昨年12月から実施された中間案への意見公募(パブリックコメント)では、LGBTやその理解者が偏見や差別、いじめに苦しみ、自殺に追い込まれる危険性についての指摘があったそうです。計画案には、理解を広めるために「性同一性障害」など言葉の説明も加えられました。
計画案は宮城県議会2月定例会での議決を経て、正式決定されます。県共同参画社会推進課は「個性と能力を発揮し、生きがいを持って暮らす社会の実現には性的少数者も含まれる。困難を感じる人に配慮できる社会を目指したい」としています。
東日本大震災以前、東北のLGBT団体は9つしかありませんでしたが、現在は50ほどに増えています。東北の夏祭りの季節には「東北レインボーSUMMERフェスティバル」という市民に理解を呼びかけるようなイベントも開催されるようになり、行政や企業への働きかけも行われるようになりました。
仙台市のLGBTグループ「Anego」の代表・キャシーさんは、市営地下鉄の駅の構内にチラシを掲示してもらえるよう市交通局に掛け合った際、「レズビアン」「ゲイ」などの文字を目にした職員が「ちょっと引いているように見えた」ものの、趣旨を説明するとすぐに応じてくれたと語ります。「少しずつだが、理解が広がってきている。積極的にアプローチしていくことが重要」。(河北新報「<LGBT>仙台圏 対応の動きまだ鈍く」より)
昨年3月には、性的少数者が東日本大震災の際に直面した問題から教訓を考えるトークイベントが仙台PITで開催されました。性的少数者や支援者らが集団生活を求められる避難所で苦痛を感じた事例が報告され、配慮ある対応を可能にするにはどうすべきなのかなどについて意見が交わされました。(毎日新聞「LGBT 配慮を 東日本大震災からの教訓考える 仙台でイベント」より)
昨年5月には、仙台市を拠点にレズビアンやバイセクシュアルの交流会を開いている団体「♀×♀お茶っこ飲み会・仙台」がフリーペーパー「KakkoH!(カッコー)」を発行し、せんだいメディアテークなど市内の公共施設や飲食店、東北各県の男女共同参画センターなどに配布しました。LGBTの小説やエッセイなどを掲載し、多様な性のありかたを問いかける内容だそうです。(河北新報「<LGBT>多様な性知って 無料冊子刊行」より)
そうした様々な方たちによる、地道な活動の甲斐もあって、仙台市は「男女共同参画せんだいプラン2016」に、性的少数者に関する記述を初めて盛り込みました。今回の宮城県の対応も、県民の意見が寄せられたからこそ、と言えるでしょう。
福島県に続き、宮城県もLGBT支援に動き始めたことは本当に喜ばしく、希望が感じられるニュースでした。
参考記事:
LGBTに配慮初明記 県男女共同参画基本計画案(河北新報)ほか