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首都圏九都県市が共通メッセージを作成し、「LGBT配慮促進キャンペーン」を実施
12月1日、首都圏九都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)が、LGBT(性的マイノリティ)への「配慮促進」に向けて以下のような共通メッセージを作成し、各種啓発等で活用するとともに、人権週間(12月4日から10日まで)を中心にLGBTに関する啓発活動を実施することを発表しました。
キャンペーン特設サイトによると、このキャンペーンの趣旨として、「先進国でも類を見ない少子超高齢社会を迎えた我が国が活力を維持し、今後も発展を続けていくためには、女性・高齢者・外国人・LGBT・障害者等一人ひとりが能力を発揮できる全員参加社会の実現、いわゆるダイバーシティの推進が重要です。3年後に「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催され、国籍、人種、年齢、性的指向、障害の有無等多種多様な属性を持つ選手や家族、観戦者などの来訪が見込まれています。しかしながら、我が国の多様性社会への適応はいまだ途上であり、特に、LGBTを取り巻く環境は、大きく変化し、関心が高まりつつあるものの、理解が進んでいるとは言い難く、地方自治体においても対応を模索しているところです。このことから、九都県市でLGBTへの正しい知識の普及啓発を実施し、配慮促進を図るものです」と謳われています。
具体的な取組みは各自治体に任されています。
例えば千葉県は、12月3日に「千葉LGBT映画上映会&シンポジウム」を開催したほか(『ジェンダーマリアージュ』を上映)、12月5日の「ちばハートフル・ヒューマンフェスタ2017」において、九都県市共通メッセージを掲示するとともに、来場者へ性的マイノリティと人権に関する啓発冊子を配付しました。
横浜市では、市庁舎市民広間展示スペースでの人権啓発パネル展や男女共同参画センターで、九都県市共通メッセージの掲示を行ったほか、来年2月17日に性的マイノリティをテーマとした人権啓発講演会を実施します(詳細は別途記者発表)
川崎市では、来年1月19日に「ピープルデザインシネマ」と題した映画上映会(『彼らが本気で編むときは、』)とトークショー(杉山文野さんらが登壇)をチネチッタで開催します。
これまでは、それぞれの自治体で独自に講演会やセミナーを催したり、LGBT支援宣言を発したり、条例に性的指向や性自認のことを盛り込んだり、総合的なLGBT支援施策を実施したり、同性カップルが被る不平等を改めたり(公営住宅入居を認める、里親に認定する、証明書を発行して家族と認定するなど)、LGBTイベントを後援または共催したり(首長さんが登場したり)、といったことが行われてきましたが、今回のように、近隣の自治体が共同でキャンペーンを行うケースはたいへん珍しく、おそらく初めてではないかと思われます。しかも、首都圏の主要な自治体が足並みを揃えてLGBTへの「配慮促進」を訴えるということの意義は決して小さくありません。今後、同様のキャンペーンが各地で行われるようになると、これまで何もやってなかったような自治体が変わっていくきっかけにもなることでしょう(ただ、「お題目」だけ掲示すればよいということではなく、先に挙げたような実質的な取組みを順次、進めていくことが求められるでしょう)