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札幌市が政令指定都市として初めて同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を固めました

 札幌市が来年度から同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を固めました。政令指定都市としては全国で初めてとなります。
 NHK北海道によると、渋谷区のような条例に基づいた制度でなく、世田谷区などのように同性のカップルが互いをパートナーだと宣誓すれば結婚に相当する関係だと認める書類(宣誓書の受領証)を発行する方法が検討されているようです。書類には法的な効力はありませんが、生命保険をパートナーが受け取ることや、携帯電話の家族割引などの民間サービスが受けやすくなるなどのメリットが期待されます。

 札幌市で同性パートナーシップ証明制度が導入されるようになったのは、札幌のLGBTコミュニティの方や弁護士、大学教授、アライの方たちが共同して市長や市議会議員の方、市職員の方などに働きかけを行ってきたことが実を結んだものです。
 2016年2月29日、北大名誉教授の鈴木賢氏が代表となり、札幌市で同性パートナーシップを制度化するための団体「ドメスティックパートナーシップin札幌」への賛同が呼びかけられました。札幌市に住民票がある方という条件だったのですが、104名(うちLGBT67名、アライの方37名)の賛同を集め、4月には署名運動や、講演会、札幌市議会議員向けの「同性パートナーシップ制度に関する勉強会」なども開催しました。
 6月には札幌市の秋元市長に対して要望書を提出。秋元市長は要望を受けて「札幌という街はさまざまな多様性を認め合って自分らしい生き方ができる街でありたい。誰もが安心して暮らせる街を実現するためにどういうことができるか検討したい」と述べ、制度導入を検討する考えを示しました。
 8月には、ゲイの弁護士・南和行氏を迎えて講演会「同性パートナーシップと同性婚の未来」を開催し、札幌市副市長の板垣昭彦氏が来場してご挨拶しました。 
 また、10月には、札幌市男女共同参画課が「LGBTってなんだろう?」というパンフレットを制作し、市役所などでの配布を始めました。
 11月には北海道大学で「同性パートナーシップ制度導入を考える」という講演会が開催され、「ドメスティックパートナーシップin札幌」代表の鈴木賢氏らが登壇しました。

 もともと札幌のコミュニティは、東京と並んでいち早く(1996年から)パレードをスタートさせ、レインボーマーチ札幌は9月の連休の恒例のイベントとして全国から多くの参加者を集め、盛り上がりを見せるようになりました。2003年には上田文雄市長が日本の行政機関の長として初めてパレードに来場して「札幌はみなさんを歓迎します」と感動的なスピーチを行い、以降毎年、来場したり、メッセージを寄せたりという形でパレード参加者にエールを贈り続けました。
 2013年9月15日、レインボーマーチ札幌は、惜しまれながら、いったんファイナルを迎えることとなりました。
 しかし、ファイナルと同じ日、LGBT等の当事者(Queer)と支援者(Ally)をつなぎ、その存在をさりげなく世間にアピールすることを目的とした「あなたの隣に」プロジェクトが誕生し、レインボーマーチの意思を受け継いで活動を始めました。
 昨年12月には、北海道に住んでいる性的マイノリティ当事者への差別や偏見、社会的な孤立をなくすために、当事者とその支援者が連携して、すべての人たちが安心して地域で生活できる社会を作るために「コミュニティセンター・にじいろほっかいどう」が立ち上げられ、さまざまなコミュニティイベントを開催してきました。
 そして今年、「ドメスティックパートナーシップin札幌」が同性パートナーシップ証明制度導入に向けて活動を始め、見事に実現する運びとなりました。
 なお、現在、2017年夏に「さっぽろレインボーマーチ+」を開催することを目指して実行委員会が立ち上がっています。また続報をお伝えいたします。


参考記事:

札幌が同性カップル認める方針(NHK北海道)
札幌市、同性カップル制度導入へ 政令指定都市で初(共同通信)

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