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ICU LGBT配慮の学生寮 性別不問のフロア初設置

 国際基督教大学(ICU・東京都三鷹市)がLGBTに配慮した学生寮を新築することが、2015年12月15日付毎日新聞で報道されました。トランスジェンダー(性同一性障害を含む、自認する性と身体上の性が一致しない人)の学生でも入寮できるよう、性別不問であるのはもちろん、男女別の浴室を利用したくない人のために個室のシャワーブースを備えています。2017年4月にオープン予定だそうです。  

同大では2003年度にトランスジェンダーの学生に学籍簿上の名前と性別の変更を初めて認めるなど、LGBTへの対応をいち早く進めてきました。2004年度には学内にジェンダー研究センターを設置し、対応を強化。定期健康診断を個別に受診できるようにするなどしています(性別移行途中の方や、見た目の性別と戸籍上の性別が異なって見える方など、トランスジェンダーの中には人前で服を脱ぐことに抵抗を覚える方が少なくありません)。設備面では、男女の別がない多目的トイレを設置し、個別に利用できる更衣室も常設にしました。  

キャンパス内にある学生寮は現在、9寮。このうち、2001年度に完成した国際寮「グローバルハウス」で初めて男女が同じ寮で生活するのが一般的な欧米方式を採用。これ以降に建てられた4寮は男女とも入居可能にし、同じ棟をフロアごとに男女別にしています。そのほかは、1寮が男子寮、3寮が女子寮、1寮が大学院生対象の夫婦寮となっています。  

今回新築する2棟ではさらに、上層階に性別を問わないフロアを初めて設置します。LGBTだけでなく希望する学生は誰でも受け入れます。また、上記のような理由で大浴場に入浴したくない学生のために、各フロアに個室のシャワーブースも設置します。新寮は建築家の隈研吾氏と日本設計が監修しました。  

日比谷潤子学長は「同性カップルに公的書類を発行する自治体が増えるなど、今後、LGBTへの対応がますます求められる。学内のジェンダーフリーをさらに推進していきたい」と語っています。  

ICUのジェンダー研究センターによると、今回の決定は「これまでの学生が積み重ねてこられたカミングアウトや、学生同士のサポートの蓄積の上に成り立ったものでもある」そうです。  

ICU内のLGBTIサークル「シンポシオン」は、2007年に学生生活全般に関する要望書を、2009年には新寮(現 欅寮・銀杏寮・樫寮の3寮)建設に建関する質問書を提出し、学務副学長や学生部長との面談も行いました。大学行政に対しての学生からのカミングアウトを伴う交渉の結果、2010年に開寮された3寮では、個別のシャワーブースが導入されることになったのだそうです。(詳しくはこちらhttp://web.icu.ac.jp/cgs/2015/12/201512_dorm.html)  

トランスジェンダーにとって、会社や公共施設のトイレや更衣室が男/女しか想定されていない場合、どちらにも入れず、大変苦しい思いをすることがあり、問題となっています(中には会社でトイレに行けず、排泄障害を患う方もいらっしゃいます)。国際基督教大学の対応は、当事者とも話し合いながら寮の設備の改良を進めてきたという点で、企業人にとっても非常に参考になる事例であると言えます。

参考: ICU LGBT配慮の学生寮 性別不問のフロア初設置 2015年12月15日付毎日新聞

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