GLOSSARY
LGBTQ用語解説
同性愛者
性的指向が同性に向く、同性を愛する人のこと。ホモセクシュアル(Homosexual)という言葉の日本語訳です。
「同性愛者」は19世紀に性科学者が発見し(それまでは同性間で愛し合うことは行為の問題だと考えられていました)、性倒錯の一種として位置付けられました。「同性愛者」が発見されたことを受けて「異性愛者(ヘテロセクシュアル)」という概念も生まれました。
現在でも行政の資料や学術系の文献、新聞などで「同性愛者」という言葉が用いられる傾向にありますが、同性愛者という言葉には、このような経緯から、医学的・学術的な響きが伴います。欧米の当事者たちは「同性愛者」ではなく、自分たちを名指す言葉として「ゲイ」「レズビアン」を使いはじめ、今に至ります。(日本では、ホモセクシュアルを略した「ホモ」という言葉が生まれたこともあり、なおさら「ホモセクシュアル」を使いたがらない方が多いように見受けられます)
2025年にシカゴで開催された「The First Homosexuals: The Birth of a New Identity, 1869-1939(最初の同性愛者たち:新しいアイデンティティの誕生 1869年〜1939年)」の主任キュレーターであるジョナサン・カッツは、展覧会図録に寄せた序文のなかで、展覧会タイトルに「同性愛」という用語を使用することに難色を示す者もいたことを明かし、「同性愛(homosexual)という呼称の発展と使用は、芸術分野においてさえ常に解放的であったわけではない。この言葉は解放的なイメージと共に数多くの同性愛嫌悪的なイメージを生んできた。それだけでなく、中欧起源の用語・概念として植民地征服の血塗られた道と密接に結びつき、その過程で先住民の性に対する意識を書き換えてきた。ヨーロッパ諸国の支配下に置かれる前、先住民の性に対する考え方ははるかに寛容で、尊厳あるものだった。イギリス、フランス、スペイン、オランダといった主要宗主国は、しばしば植民地の法律を文字通り改変し、同性愛に対して厳しい刑罰を課すようになった」と語っています。(ARTnews JAPAN「シカゴ「最初の同性愛者たち」展の必見作品10選。350点超の作品からクィア概念を再考する意欲展」より)
PRIDE JAPANでは、「同性愛者」をできるだけ使わず、「レズビアン&ゲイ」と言っていく所存です。