GLOSSARY
LGBTQ用語解説
バイセクシュアル
性的指向が両性に向く(男性にも女性にも性的に惹かれ、恋愛感情を抱く)人のこと。日本語では両性愛者と訳されます。
思春期の頃は多くの人が男性にも女性にも関心を示すという俗説が流布していますが、キンゼイ・レポート(『Sexual Behavior in the Human Male』,1948)では、実にアメリカの成人男性の46%が男性と女性の両方に性的に反応し、37%は少なくとも1度以上同性との性的経験を持っていたと記述されています。
ゲイコミュニティにもバイセクシュアル男性の方たちがいますし、レズビアンコミュニティにもバイセクシュアル女性の方たちがいます。
「今はバイだって言ってる人も、きっと最終的にはゲイ(レズビアン)になるはず」といった誤解をされることもありますが、バイセクシュアルは決してゲイ(レズビアン)だと自覚するまでの過渡期の状態ではありません。
また、「バイセクシュアルの人はストレートのように結婚できるし、表立って行動を起こしたりLGBTQの運動に参加しない」といった偏見を持たれることもあるようですが、それはセクシュアリティの問題ではなく、個々人のスタンスの問題です。現に、LGBTQコミュニティで活躍しているバイセクシュアルの方もたくさんいらっしゃいます。
欧米では9月23日がバイセクシュアル可視化の日(Bi Visibility Day)またはバイセクシュアル・プライド・デーとされ、バイセクシュアルコミュニティを祝福しながら、その社会的課題についての意識を高めるきっかけとなっています。9月16日~23日はバイセクシュアル啓発週間(Bi Awareness Week)とされています。
以下に、バイセクシュアル可視化の日が生まれた経緯をお伝えします。
米国で初のバイセクシュアルの全国組織「BiNet USA」は1990年に結成されました。同年、サンフランシスコで初のカンファレンスが開催され、20の州と5つの国から450名が参加し、当時のサンフランシスコ市長は「社会公正のためにリーダーシップを発揮してきたバイセクシュアルの権利擁護のコミュニティを称え」、6月23日をバイセクシュアル・プライド・デーとしました。
1999年、ヨハネスブルグで開催されたILGA総会に(BiNet USAを立ち上げた)Gigi Raven Wilbur、Wendy Curry、Michael Pageという3名のバイセクシュアルの活動家が参加し、「ストーンウォール以降、ゲイ&レズビアンコミュニティは結束力を高め、可視化されてきたが、バイセクシュアルコミュニティはまだ不可視化されています」「私たちは皆、偉大なバイセクシュアルのフレディ・マーキュリーを愛していて、彼の誕生日は9月だし、Gigiの誕生日は9月23日なので、この日をCelebrate Bisexuality Day(バイセクシュアルを祝福する日)としませんか?」と提案しました。
2012年、カリフォルニア州バークレー市が初めて正式に9月23日をBisexual Pride/Bi Visibility Dayとして承認しました。
2013年9月23日、ホワイトハウスは約30名のバイセクシュアルの活動家を招待し、バイセクシュアルコミュニティが直面する社会的課題について話を聞くミーティングを催しました。
同日、英国政府の女性平等担当大臣のJo Swinson氏は、「バイセクシュアルの人々が直面する社会的課題について気づきをもたらし、LGBTのBにフォーカスした多様性を祝う機会として、Bi Visibility Dayを歓迎する」との声明を発表しました。
2021年にはペンシルベニア州のトム・ウルフ州知事が、米国で初めてBisexual Pride Dayを承認する声明を発表しました。
2014年にはBiNet USAが9月16日から23日までの1週間を「バイセクシュアル啓発週間」とすることを提唱しました。
GLAADなど多くの団体は現在、Bisexuality+ Dayというように「+」をつけることが多くなっています。それは、バイセクシュアルコミュニティにポリセクシュアルやパンセクシュアル、オムニセクシュアルなどの人たちも包摂した、より広いコミュニティのことを指しています。
参考記事:
Bi Visibility Day
https://bivisibilityday.com/about/
Celebrate Bisexuality Day(Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Celebrate_Bisexuality_Day