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レポート:第3回岸和田レインボーパレード
2025年3月2日(日)、大阪府岸和田市で第3回岸和田レインボーパレードが開催されました。日本でいちばん早い、これからのプライドシーズンの幕開けを告げるようなパレードでした。VENさんによるレポートをお届けします
2025年3月2日(日)、大阪府岸和田市で第3回岸和田レインボーパレードが開催されました。今年も日本のプライドパレードのスタートは岸和田からです。(主催する「レインボーカフェin岸和田」についてはこちらをご覧ください)
10時30分過ぎに集合場所の岸和田市立福祉総合センターへ行くと、スタッフの助産師さん達が調理室で恒例のおにぎりを作ったり、懇親会の準備をしていました。できたてのおにぎり、美味しかったです。
懇親会会場の大会議室では、パレード前の説明のための音響と映像の準備が進んでいました。そこへ、全国のパレードでお馴染みの(大阪のレインボーフェスタ!の実行委員を務める)ゆいにゃん・サルヴァトーレ・忍者さんがいらして、メイクを始めました。「メイク完了まで1時間かかるんですよね」とパレードに向けて嬉しそうに話していました。
今年も、岸和田市立福祉総合センターの隣のビルで、代表の津田さんがパーソナリティを務めるラヂオきしわだ「あなたのそばにいつも助産師がいます」パレード直前生放送が行なわれました。ゲストは留学生のシャンシャンさんとゆいにゃん・サルヴァトーレ・忍者さんで、私も出演させていただきました。それぞれのパレードへの意気込みをお聞きしたほか、シャンシャンさんには、研究のために調査している「プライドパレードのバリアフリー」についてお伺いし、ゆいにゃん・サルヴァトーレ・忍者さんには今年6月に初開催の「レインボー・フェスタかわちながの」についてもお話いただきました。集合場所の大会議室でも放送を聴いていただけたようです。
生放送が終了した後、急いで岸和田市立福祉総合センターに戻り、津田さんとスタッフの深井さんがご挨拶し、パレードの注意事項の説明や、掛け声の「HAPPY PRIDE」に込められた思いや意味についての説明がありました。パレードコースは昨年と同じ、岸和田市社会福祉センター→岸和田駅→天神宮前→沼町→岸和田市役所→岸和田城→城見橋→岸和田駅→岸和田市社会福祉センターでした。
13時50分、岸和田市立福祉総合センターの敷地の入口に移動し、警備をお願いする警察の方からの注意事項をお聞きして、スタートを待ちました。
小雨がパラつくなかではありましたが、いよいよパレードがスタートしました。てるてる坊主を作ってSNSにアップしてくれていた参加者の方もいました。きっとそのおかげもあって、大雨にはならずにすんだと思います。
パレードの先頭は、レインボーフラッグを持った津田さんと深井さん。その後ろに、メガホンを持ったゆいにゃん・サルヴァトーレ・忍者さんと、レインボーフェスタ和歌山のQちゃんが続きました(二人は関西アライモでモデルも務めています)。今年も津田さんのマイク無しの「岸和田にもLGBTQ+当事者はいます」「あなたのすぐそばにいます」「HAPPY PRIDE」のコールが岸和田の街に響きます。深井さんやゆいにゃんさんも交代でコールをします。
それから、参議院議員の石川大我さん、岸和田市で相談支援員をしている方、京都レインボープライドのみなさん、チーム紀伊水道のみなさん、PRIDE IN KYOTOを運営するみなさん、「Smash Shukatsu Sexism」の方、大阪司法書士会のみなさん、ハピネスお茶会のみなさん、TransgenderJapanのみなさん、にじいろアンブレラのみなさんなど、グループでの参加も目立ちました。それぞれにフラッグやプラカードを持って歩いていました。
デモカメラマンの秋山理央さんも沿道からカメラを構えていました。今年も各地のパレードを映像におさめてくれると思います。
関西だけでなく、遠くは北海道や東京から参加している方もいらっしゃいました。2025年最初のプライドパレードへの期待も大きかったのかもしれません。
LGBTQ+をはじめ、車椅子の方や様々なマイノリティの当事者の方やアライのみなさんが連帯して歩いていました。こんな時代だからこそ、連帯は大切です。
ラヂオきしわだの前を通り、岸和田駅前へ行くと、人通りも多くなり、人々の注目も集まります。車の中から手を振ってくれる人もいました。天神宮前を通り、下町の情緒のある街並みをパレードは進んでいきます。雨も弱くなってきました。と、そこに、自転車で中学生くらいの集団が追いかけてきて「ジェンダー平等バンザイ!」と叫びました。岸和田から少し離れたところから来てくれたそうです。心強いです。なかには気になる言葉もありましたが、その中のメンバーや参加者が穏やかに諭す場面もありました。パレードのためにわざわざ駆けつけてくれた姿勢にみなさん敬意を表していました。
市長選も間近ということもあり、岸和田市役所前では、参加者からたくさんの声が上がりました。全国のパレードでお会いする東京からの参加者は「議論は尽くした!議員は前へ進め!」というプラカードを掲げていました。
気が付くと雨が上がっていました。虹こそかかっていませんが、プライドイベントは必ず晴れるというジンクスがここでも!と思いました。
そして、観光客が多い岸和田城に差しかかります。岸和田城を一周するかたちでパレードは進みます。岸和田城から手を振ってくれる方もいらして、参加者からも声が上がります。駐車場にも観光客の方々がいて、海外からの方も見受けられました。ここぞとばかりに参加者はアピールし、盛り上がっていました。
岸和田城をあとにして、パレードも後半へ。城見橋方向へ進んでいきます。コンビニなどお店が並ぶ街道は車も多かったです。マンションの窓から手を振ってくれる人もいました。
パレードは再度岸和田駅近くを通り、大通りから一本裏の道を通り、最後のアピールをして、岸和田市社会福祉センターにゴールしました。みなさん、お疲れ様でした。
15時過ぎからは岸和田市立福祉総合センターの調理室で懇親会が開かれました。最初に記念撮影。みなさん素敵な表情でした。
それからスタッフのみなさんが用意してくれたおにぎりや甘いお菓子、お茶をいただきました。疲れた体に優しかったです。おにぎりに使用した塩は岸和田で製造されている羊水塩だそう。
懇談しながら、団体・個人の告知やスピーチを聞きました。TransgenderJapanの畑野とまとさんはプライドパレードの歴史や、今起きているアメリカでのバックラッシュについて熱く語ってくれました。
とある参加者の方は「この懇親会は参加者の方のみなさんの顔が見れて嬉しいです」と話していました。小さなパレードだからこそできる懇親会だと思います。参加者、プレス、スタッフのみなさんが口を揃えておっしゃっていたのが、警察官の方の対応が素晴らしかったということです。お子さん、車椅子ユーザーの方、その他参加者のみなさんに「がんばってね!」「大丈夫ですか?」「お疲れ様でした!」など、さりげないやさしい一言をかけてくれて、心に沁みました。今回の警察官のお一人は、2006年の関西レインボーパレードで警備に当たっていたそうで、その時のこともお話していたそうです。
宴もたけなわのなか、懇親会は終了しました。
こうして、第3回岸和田レインボーパレードは終了しました。参加者のみなさん、スタッフのみなさん、お疲れ様でした。警備を担当してくださった岸和田警察のみなさんもありがとうございました。
その後、津田さんと私は、ラヂオきしわだの「チャウのオールディーズ」という番組の生放送に出演させていただき、パレードについてお話しました。スタジオを出ると本降りの雨が降っていました。少しずれていたらパレードに影響が出るところでした。
岸和田レインボーパレードは、マイクも、音楽も、装飾などもないシンプルなパレードですが、プライドパレードの原点を忘れていないパレードでした。代表の津田さんは「地味でも継続していくことが大切」とおっしゃっていました。
岸和田からのバトンは次のパレードに渡されました(来週は松山のパレードがありますね)。これから2025年のプライドパレードやレインボーフェスタが続いていきます。
パレード参加はハードルが高いという方は、ステージを観たりブースを回ったり沿道からパレードを見るだけでもよいと思います。ぜひお近くのプライドイベントに参加してみてください。
★上半期のレインボーイベントの開催予定はこちらに掲載しています
(取材・文:VEN)
VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。
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