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レポート:レインボーフェスタ和歌山2024

9月28日・29日に和歌山市で開催された「レインボーフェスタ和歌山2024」の様子をVENさんがレポートしてくれました

こちらのニュースでもお伝えしたように、2024年9月28日(土)、29日(日)の2日間、和歌山市内でレインボーフェスタ和歌山が開催されました。レインボーフェスタ和歌山は2017年から始まり、コロナ禍の間も休まずに開催されてきたイベントで、2022年に初めてのパレードが開催されました。今年でフェスタは8回目、パレードは3回目となりました。また、昨年に引き続き、1日目、2日目と会場を替えての開催となりました。その模様を(全国で最もたくさんパレードに参加している方である)VENさんがレポートしてくれました。

 
 9月28日(土)、レインボーフェスタ和歌山の1日目は、美術館やホール、ギャラリーなどから成る、和歌浦を見下ろす芸術施設「和歌浦芸術区」で開催されました。
 この日はトークショー、ライブ、映画上映などが行なわれました。トークショーは「和歌山県多様な生き方支援課×ココニハ」「和歌山で自分らしく生きる〜柴谷宗叔さん×倉嶋麻里奈さん」「プライドイベント〜ゆいにゃんS忍者さん×Qちゃん」。いずれも熱いトークが繰り広げられました。ライブでは大阪、和歌山を中心に活動するゴスペルクワイア「Orange Soul Connection」のみなさんによるゴスペルと、関西を中心に全国で活動している魔梨威さんのエネルギッシュな歌を聴くことができました。映画上映は2017年のレインボー・リール東京のコンペでグランプリを受賞した短編映画『カランコエの花』の上映でした。参加したみなさん、きっと充実した1日になったのではないかと思います。


 2日目の29日(日)は、和歌山城砂の丸広場が会場です。ステージを中心として、両サイドに本部をはじめ企業やコミュニティ、グッズ販売などのブースが並び、対面にフードブースも並んでいました。
 ステージイベントやパレードの前に、ブースの紹介をさせていただきます。












 11時にオープニングイベントがスタートしました。代表の安西美樹さんが開始のご挨拶をしました。MCはおなじみQちゃんがつとめました。セーラー調のワンピースがかわいかったです。


 続いて、南紀白浜アドベンチャーワールドから、今年もジャイアントパンダのキャラクター「すみれ(smile)ちゃん」が来てくれました! Qちゃんとのかけあいも息がぴったりで、上野動物園のリーリーとシンシンの中国への返還の話もしていました。


 それから、青森レインボーパレードで恒例の、前日も酒田レインボーマーチで行なわれた「ご当地方言によるラジオ体操」(もちろん、和歌山弁)が行なわれました。FMわかやまのご協力で、みんなでラジオ体操をしました。


 それから、地域活動支援センター櫻からジャンベチーム「アボロッサム」が登場し、西アフリカの伝統的な太鼓・ジャンベの演奏を聴かせてくれました。近くで聴いていると、太鼓の響きが直に体にも伝わってきました。来場者にも体験させてくれたのですが、音を出すのもなかなか難しい感じでした。


 続いて、よさこい演舞です。この日のために結成された合同チームが迫力ある演舞を見せてくれました。レインボーフェスタ和歌山のフラッグを持った代表の安西さんも参加して、旗振りで共演していました。安西さんはレインボーフェスタで旗を振りたいと、よさこいチームに所属している同級生の方にお願いしてチームに入り、旗振りと踊りをマスターしたんだそうです。途中のトークの際に同級生の方が「安西は、学生時代からこのままでした」とおっしゃっていました。安西さんとの友情を通じてプライドイベントに参加してくれているのが素敵だなと思い、うるうるきてしまいました。



 それから、NHKの「超多様性トークショー!なれそめ」に出演した東郷潤さん&結香さんご夫妻と、Qちゃんとのトークショーが行なわれました。潤さんと結香さんのかけあい漫才のようなトークにQちゃんが加わり、面白かったです。Qちゃんから「今、子どもの頃の自分に言ってあげたいことはありますか?」と聞かれて結香さんは、「私は私がやることを否定されることがなく育ちました。でも、それはありがたいことなんだよ、と言ってあげたい」と、潤さんは「男らしく、女らしくと言われて育ってきました。だから、そんなことを気にしないで自分らしくすればいいんだよ」と語っていました。結香さんは、潤さんの手術にも付き添い、過程を見届けてきたといいます。お二人の固く結ばれた絆を感じるトークでした。


 続いて年齢、性別、経験等、関係なくダンスが学べるスクール「ホーミーズ」によるダンスパフォーマンスが披露されました。今回は3クラスが参加し、迫力あるパフォーマンスを見せてくれました。代表の方がHIP HOPの理念「Peace」「Unity」「Love」「Having Fun」について教えてくださり、とても響きました。最後は会場のみんなで楽しく踊りました。


 続いて、和歌山県多様な生き方支援課のみなさんとQちゃんのトーク。今年の2月1日にスタートした和歌山県のパートナーシップ宣誓制度の手続きの方法など、詳細についてお話してくれました。支援課のお一人がQちゃんと学生時代の同級生で(ここにも!)、二人はLGBTQの活動の中で再会したとのことで、素敵でした。


 続いて、今年も駆けつけてくださった岸本周平県知事が、パレードに先立ち、スピーチ。『虎と翼』の話とからめながらエールを送ってくださいました。


 それから、11月10日(日)開催のレインボーフェスタ那智勝浦の代表・マルさんとQちゃんがトークしました。実はパレードも考えていたものの、今年は大々的には告知せず、実行委員で翌日の11日(月)に熊野古道の大門坂をレインボーフラッグを持って歩き、熊野那智大社でお参りし、ご祈祷をしていただくんだそうです。来年開催を考えているそうです。


 パレードの注意事項のアナウンスのあと、パレード出発に向けて整列が始まりました。

 いよいよ、パレードが出発します。MCのQちゃんと「すみれちゃん」がパレード参加者のみなさんを見送ってくれました。岸本知事がスタートから途中まで、パレードの先頭を、横断幕を持って「Happy Pride!」と言いながら歩いてくださって、心強かったです。
 和歌山城砂の丸広場を出発し、県庁前から三年坂通、屋形通、けやき大通を回って和歌山城砂の丸広場に帰着する、和歌山城を一周するようなかたちのコースでした。
 今年のパレードは、音楽もなく、マイクもなく、装飾されたトラックの後を地声でアピールするという、パレードの基本にこだわった試みでした。派手さはないですが、歩いたみなさんの元気と笑顔、たくさんの風になびくフラッグに、PRIDEを強く感じました。
 すれ違う車や自転車、歩く人たちに「Happy Pride」と声をかけると、笑顔で手を振ってくれたり、頷いてくれたりして、街の反応も素敵でした。
 東郷潤さん&結香さん、チーム紀伊水道の倉嶋さん、京都レインボープライドのみなさん、暁projectのみなさん、チェリオのみなさん、アドベンチャーワールドみなさん、よさこいチームのみなさん、石川大我さん、その他、各地のパレードでお会いする方々など、約150名が歩きました。お子さんもたくさん参加してくれました。
 そうして、あっという間にゴールが近づいてきました。最後のアピールをして、和歌山城砂の丸広場にゴールしました。















 一休みしたあと、参加者のみなさんで記念撮影をしました。みなさん、素敵な笑顔でパチリ。
 後半のステージイベントが始まります。まず、参議院議員の石川大我さんが挨拶しました。全国のパレードに足を運んでくださり、心強い存在です。新しい総理にもしっかり要望を伝えたいとおっしゃっていました。


 続いて、今年初めて「菓子まき」が行なわれました。もちまきで有名な紀伊勝浦のマルさんが中心となり、東郷潤さん、暁projectの大久保暁さんが、トラックの上からお菓子をまきます。お子さんだけでなく大人も童心に返って一生懸命拾ったりして、盛り上がりました。



 楽しい時間はあっという間。エンディングです。代表の安西さん、MCのQちゃんが閉会の挨拶をして、今年のレインボーフェスタ和歌山も無事に終了しました。 


 エンディングの後、すみれちゃんとの記念撮影のために行列ができていました。人気者のすみれちゃん、きっと来年も来てくれると思います。

 実行委員のみなさん、お疲れ様でした。素敵なレインボーフェスタ和歌山を開催していただきありがとうございました。参加されたみなさんも、お疲れ様でした。
 今年参加できなかった方も、来年はぜひ参加してみてください。きっと楽しんでいただけると思います。

(取材・文:VEN)

VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。

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