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レポート:秋田プライドマーチ2024
2024年5月18日(土)、秋田で第3回を数えるAkita Pride Marchが開催されました。気持ちのよい青天の下、約200名の参加者のみなさんが晴れやかにパレードしました
5月18日(土)は全国的に暑くなり、秋田市も最高気温22度と、汗ばむくらいの陽気となりました(油断して日焼け止めをうっすらとしか塗ってなかったのですが、見事に焼けました…)
今回のパレードの集合場所は千秋公園の向かい側のにぎわい広場でした。13時半、東北各地、そして東京や北海道などからも、パレード旗やレインボーフラッグを持った方たちが集まり、受付と整列が始まりました。
出発前に共同代表の村田葵さんがご挨拶し、「私たちがパレードのテーマをWe are here!とした理由を説明させてください」と言って、このパレードの立ち上げのとき、秋田でLGBTQがいないことにされているという実感があり、声を上げる怖さもあるけど、声を上げないと変わらない、世間の無関心に抗してまずは可視化することが大切だと思いました、と語りました。
それから、共同代表のらっしーさんが感謝の言葉を述べ、「もっと秋田のパレードのことを広めてほしいです」と語りました。
続いて、メディアの人たちの紹介、そして東北各地のプライドの主催者の方たちのスピーチが行なわれました。(いわてレインボーマーチは来週の土曜日(5月25日)、青森レインボーパレードは6月30日、庄内レインボーマーチは9月28日、ふくしまレインボーマーチは10月5日、やまがたカラフルパレードは11月3日、そして東北のパレードのトリを飾るみやぎレインボーパレードは11月16日だそうです)
「ここにいるよ!」「We are here!」というかけ声の練習をして、14時過ぎ、パレードがスタートしました。
200名くらいの方たちが参加していたと思います(秋田って結構、行くのに時間がかかる所なのですが、あんなにたくさんの方たちが各地から来られていて、そのこと自体、感動的でした)。以前はあまり見かけなかったのですが、地元のゲイの方かな?と思われる方も参加していましたし、パピーマスクの方もいらっしゃいました。お子さんを連れた方、外国人の方、それから西村宏堂さんデザインのアライステッカーを袈裟につけたお坊さんなどもいらっしゃいました。実にいろんな方たちが歩いていました。
千秋公園を右手に見ながら、駅前の大通りを川反の繁華街の方へと行進します。国道28号線で左折し、竿燈大通りを右手に見ながら進み、中央通りに入ります。秋田駅前の手前、市民広場入口の交差点を左折し、仲小路からにぎわい広場へゴール、というコースでした。
先頭と中程にスピーカーがあって、ガガの「Born This Way」とかケイティ・ペリーの「Firework」とか、ヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」、フレディ・マーキュリーの「I Was Born To Love You」といったアンセムが流れ、ノリノリで楽しく行進しました(ちなみにゴールのときの音楽はマッキーの「どんなときも。」でした。素敵)
先導するおまわりさんも、とても感じのいい方でした。
本当に晴れやかで、幸せな気持ちになれる、いいパレードでした。
集合写真を撮ったあと、少し休憩して、スタッフの方たちが一言ずつ語りました。
通訳として参加した方が、3年前に当事者の友人を亡くし、秋田をLGBTQが住みやすい所にしたいという思いで参加しました、と語っていたのが印象的でした。
胸がいっぱいになりました、地元だから来れないという仲間がたくさんいます、と語った方もいらっしゃいました。
そうして一人ひとり語るたびに「ありがとう!」というかけ声や温かい拍手が起こり、それもまた感動的でした。
パレードが終わっても、たくさんの人たちがその場に残り、友人・知人としゃべったり、広場で売ってた「ババヘラアイス」を食べたりしてました。
17時から秋田市文化創造館の2Fの広々としたスペースで交流会が開催されました。写真を撮られたくない方や「話しかけられたくない方」への配慮もなされていて素晴らしいと思いました。広場の集会ではスピーチしていなかった団体・グループの方たちなどもスピーチしたほか、ボードにメッセージを書いたり、お菓子を食べたり、みなさん思い思いに過ごしていました。
パレードを振り返って
17日の金曜日、「結婚の平等にYES!」の記者会見で目頭が熱くなる思いをして、その後、秋田に向かったのですが、飛行機の中で、いろいろ思いがあふれてきて、パレードの出発前にたぶんメディアの紹介の時間があるので、少しだけお話しさせてもらおうかな…と思いました。
私の母は秋田県生まれで、私は青森県の弘前市で生まれ育ちましたが、遠足でマインランド尾去沢に行ったり、角館や田沢湖に旅行に行ったり、秋田は子どもの頃からとても身近な所でした。弘前で(東北で初めて)パートナーシップ制度が認められたよ!と母に意気揚々と伝えたとき、母はびっくりして、すごいね!と言ってたのですが、突然思い出したようで、こんな話をしはじめました。(たぶん40〜50年前だと思うのですが)母の同級生の親族の女性が、女性と恋に落ちて、でも周囲の人は認めてくれず、二人は無理心中した…というのです。そういう時代から比べると、今はなんといい世の中になったんだろう、という意味で話してくれたのだと思いますが、今までそんな話聞いたことがなく、驚いて、身につまされたというか、胸が痛みました…今日は、そんな、ここに来たくても来れない方の分も歩きたいと思います。「結婚の平等にYES!」の記者会見で山口レインボープライドの田中さんが、保守王国の山口で当事者が表に出にくい状況があったけれども、パレードを開催したことによってLGBTQが可視化され、メディアでも報道され、市民の理解や意識も変わってきた、と語っていましたが、地方ではまだまだ表に出ることが難しい当事者の方が多いなか、こうしてみなさんがパレードを毎年開催し、各地からも大勢来て歩いてくださることで、この秋田もきっと変わっていきます。みなさん一人ひとりの歩みが、地元のLGBTQの生きやすさへとつながる歩みです。心からの感謝を。握手。といった感じのことを話そうかな、と思ったのですが、さすがに長すぎるので、端折りに端折って、1分くらいでお話しました。
金曜の最終便で秋田に着くと、川反の繁華街の川沿いの歩道がまだ「被災のため工事中」となっていて、驚きました。去年の夏の水害の深刻さをまざまざと感じさせると同時に、まだ復興できていないのか…という思いも湧いて(能登にも通じるものがあります)。泊まったホテルも、フロントの様子が様変わりしていて、聞くと「水害で被災して、1階を工事した」とのことでした。
本当にわずかな、雀の涙みたいなものですが、秋田に少しお金を落とすことで貢献できてよかったかもしれないな、と思いました。
前の夜はそんな気持ちだったのですが、パレードの当日は、本当に気持ちよく晴れて、たくさんの人たちが広場に集まって、祝福感やハッピープライドな空気感がみなぎっていて、逆にこちらが励まされるくらいの勢いでした。
「やろっこ」のふとしさんや、去年知り合った仙台のアライの方や、全国のパレードでお会いする方たちや、いろんな友人・知人にもひさしぶりに会えましたし、今回初めて、以前青森レインボーパレードの共同代表をつとめていたツッキーさんにお会いできて、弘前に住んでいたこともあるということで、弘前にまつわる話をしたり(そういえば他の方からも弘前出身だよ、と声をかけられました。意外と多いんですね!)、現在の活動のことなどもいろいろ聞けて、よかったです(いまはレインボーはこだてプロジェクトで活動しているそう。函館でパレードをやるときは必ず行きますとお伝えしました)
飛行機の時間が迫っていたので、交流会は30分くらいしかいられなかったのですが、帰り道、2年前は雨で物悲しい気持ちになった秋田だったけど今年は(予想をはるかに超えて)明るくて幸せな秋田だったなぁ、楽しかったなぁとしみじみ感じました。
秋田はゲイバーが1軒もなくて(観光バーはできたそうです)さびしい限りではあるのですが、またパレードのときに秋田に来たいな、と思いました。
(取材・文:後藤純一)
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