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レポート:「work with Pride 2024」カンファレンス

11月14日、経団連会館・国際会議場で開催された「work with Pride 2024」カンファレンスの模様をレポートします。4時間の中にたっぷりとセッションが盛り込まれ、いま大切な様々なトピックについて学んだり考えたりできる、充実したセミナーとなっていました

 work with Pride(以下wwP)は2012年、LGBTQ+の人々が自分らしく働けるような職場づくりを推進するべく日本IBMと国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチが共同でセミナーを企画したことから始まりました。のちに認定NPO法人グッド・エイジング・エールズとNPO法人虹色ダイバーシティが加わり、現在は、2023年に法人化した一般社団法人work with Prideが運営を行なっています(詳細はこちら
 今年も「企業から変える。〜LGBTQ+コミュニティとの新しい協働へ〜」をテーマに「work with Pride 2024」カンファレンスが開催され、「PRIDE指標2024」の発表だけでなく、いま大切な様々なトピックについて学んだり考えたりできる濃い内容のセッションがたくさん盛り込まれていて、とても充実した4時間となりました。
 レポートをお届けします。
(取材・文:後藤純一)
 

 初めに小池都知事からのメッセージが代読されました。令和4年11月に東京都パートナーシップ宣誓制度を開始しました、事業者の皆様には、この制度を事業活動や福利厚生などに生かしていただければと思います、東京都は性的マイノリティの方々が暮らしやすい環境づくりを進めていきます、といったメッセージでした。

◎スペシャルトークセッション1
 続いて、スペシャルトークセッション1として歌手/俳優の中村中さんが登場し、wwPの松中権さんと対談しました。
 中村中さんはずっと前からLGBTQイベントに登場してくださっていますが、今年は東京レインボープライドのステージでライブを披露したり、8月放送の『虎に翼』に当事者の役として出演したことでも大きな反響を呼びました。
 中村さんは2006年デビューだそうですが、当時からの変化、例えばいまは映画やドラマの現場に専門家が入って監修してくださることが多いのではないかとの質問に対し、中村さんは「作品の中に当事者の役があるとき、脚本家が知人を伝って経験談やシェアしてほしい、どういうことに生きづらさがあるかと聞かれたことがあります。監修が入ったり、社内研修を行なっている企業もあると思いますが、それは変化ですよね。同時に、より良くなっていくといいと感じるのは、『専門家に任せているから、うちの現場は大丈夫だよ』と言われると、現場の一人ひとりが理解しているのだろうか、と思ってしまいます」とか、「知人の音響会社から聞いたのですが、すごく優秀なトランス女性が面接に来たけど、採用されなかった、その理由を尋ねたら、他のテレビ局とかに派遣したとき、先方にどう思われるかわからないからという理由で、ショックでした。あなたの会社が採用して活躍させてほしかったと思いました」と語っていました。
 トークの後に、ギターの弾き語りで『友達の詩』を歌ってくださいました。


◎スペシャルトークセッション2
 今年2月、テレビ業界で初めての多様性テーマの番組横断キャンペーン「Colorful Weekend」の企画責任者を務め、大企業の経営層としておそらく初めてカミングアウトを果たした日テレの山田克也取締役が登壇し、ロバート キャンベルさんが聞き手となって、セッションを行ないました。
 キャンベルさんによると、山田さんは大学の卒論ですでに「同性愛と経済との歴史的な関係」をテーマにしていたそうで(80年代に。画期的なことです)、日テレに入社して、叩き上げで地位を築き、17年間『スッキリ』に携わり、『news every.』や『news zero』を立ち上げた方で、大きな仕事をしてきた方だそうです。山田さんは、社内では言わないのが当たり前という時代を生きてきましたが、今年、仲間が一生懸命「Colorful Weekend」に取り組んでいる姿を見て、「そういう仲間に当事者性を言わなくていいのか」と思い、放送終了後のインパクト測定(番組がどういう風に社会に影響を与えたか)に関するインタビューの場で、カムアウトしたんだそうです。 
 山田さんは『news every.』の企画書には「みんなが生きやすく」というテーマを書いたそうで、それは、「我々マイノリティが生きやすい社会はマジョリティも生きやすいはず」という考えからだったそうです。キャンベルさんは「天地がひっくり返るくらいのことじゃないかと思ったんですが」と称えながら、経営者として、メディアの人としてLGBTQについてどういうふうに発信していくことを気をつけているかと尋ねました。山田さんは、昔のLGBTQを嘲笑するようなバラエティはよくないけど、言葉狩りとかもよくない、と語り、『月曜から夜ふかし』(マツコデラックスさんが出演している人気番組)の演出家が、すごく抗議を受けるけど、「すみません、と。僕は、絶対にテレビに出てこないような、足立区で朝からお酒飲んでるおじさんを紹介したいんです。身体的な特徴を笑ったりしないよう気をつけながら、生き方や話が面白いという人を取り上げたいという志を持ってる」と言ってて「バラエティの矜持があると思った」と語っていました。
 キャンベルさんが「日本に足りないのは、近所で、会社で仕事をしていて、目立たないまま、当事者の姿が見えないこと。周りにいないと思わせてしまう」と語ると、山田さんは、「難しい問題。周りには、言えない人がいっぱいいる。私の会社でも、たぶんカミングアウトして活動している人は1割」と、「それでも仲間がいる。うちの取締役もゲイなんだよと言えるようになるといい」と語りました。また、人権や差別について扱う番組にはなかなかスポンサーがつかない、トップランナーの方には各社の志ある番組を応援してほしいとも語っていました(素晴らしいお話でした)

 
◎セッション「Pride 1000と結婚の平等」
 Marriage For All Japanの寺原代表がモデレーターをつとめ、同性カップルの住民票の続柄欄について希望する人に男女の事実婚と同様に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載する運用を11月1日から都内で初めて開始した世田谷区長の保坂展人さんと、一般社団法人日本百貨店協会の多様性応援キャンペーン「11月22日は、いいふうふの日~いろんなふうふにイイね!を贈ろう~」に賛同し、新宿店でもイベントを開催する高島屋の代表取締役社長である村田善郎さんが登壇しました。
 Pride1000は、企業経営者のアライの輪を広げ、ポジティブなメッセージ発信を進めていくために昨年のwork with Prideで立ち上げられたネットワークです。
 世田谷区の取組みについて尋ねられた保坂区長は、住民票を対応しようと思ったきっかけは、今日の先進的な企業でもまだまだ福利厚生のところで事実婚と同じ扱いになってないので、一歩を超えるきっかけに、という思いです、今月から中野区も始めたので、カバー人口は110万人となる、総務省の懸念をクリアするため、男女の事実婚と間違えないようスタンプを押すこととした(システム改修はお金がかかるので)、今年、犯罪被害者給付金が同性カップルに支払われないのは差別だと最高裁で確定判決が出たが、200以上の制度があり、男女の事実婚と同性カップルの間にはまだ深い谷がある、と語りました。寺原さんは、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告の方も世田谷で続柄の申請をして「妻(未届)」と書いてもらって本当に喜んでいたという話を紹介し、同性カップルは法的保護が一切ない、この記載でも生じるわけじゃない、自治体としてはできる限り寄り添っているが、国が内実が伴う対応をしてほしいと語りました。
 高島屋の村田社長は、2020年に社内でダイバーシティの基本方針を定め、様々な活動を展開してきた、寺原さんに監査役をお願いし、意識を高めていこうと取り組んできた、現場の人たちも意識が変わり、内部から制服の話が出たり、ロゴを作ったり、社員食堂でレインボーメニューを作ったり、PRIDE1000やBMEにも参加し、今回の「いいふうふの日」キャンペーンにもつながったと語りました。寺原さんは、行動が早くて驚いている、先月の大阪の国際会議でレインボーの垂れ幕を外に飾ってくれたことに複数の知人から私宛にお礼のメッセージが来た、誰もが知ってる場所で見える形になってるのが心の安心に繋がるというご意見をいただいたと話していました。 
 続いて寺原さんは、先日の高裁判決の中で、自治体のパートナーシップ制度などの取組みや企業のBMEへの賛同が600社近くなっていることが書かれていて、社会が同性婚を受容している証として、違憲判断につながっていると語りました。保坂区長は、自治体の裁量でできることをやってきて、企業も取り組んできて、結果、国も変わらなければいけないというギリギリのところに来たと思う、と語りました。村田さんは、「法的な枠組みは行政。いわばハード面。我々は意識のソフトの部分でパワーを高めていくこと」「私は国連のコフィ・アナンがグローバルコンパクトを提唱した際、人権や環境についての職場会を1600回やりました。これが会社の底流にあります。現場の意識を変えていくことが大事だと改めて思います」と語りました。寺原さんは「企業、自治体、区民、社員、取引先、顧客、地域の方、幅広いステイクホルダーにとって、セクシュアリティにかかわらず暮らしていける社会にというのは共通の願いじゃないでしょうか。各セクターでできることをやりつつ、共同してパワーアップしていけたら」と締めました。


◎セッション「企業にできる当事者エンパワメント」
 企業・団体でさまざまな取組みを進めているなか、取組みを継続し、さらなる取組みを進めていけるように当事者やアライのコミュニティとの関わりや施策など、どうやってより働きやすい会社を作っていけるか、というところで、課題や当事者の視点を踏まえ、企業のアプローチを考えるセッションでした。
 オルガノンの取締役・太田直樹さんがモデレーターをつとめ、P&Gジャパンのヒューマンリソーシスシニアディレクター・市川薫さん、dentsu Japan DEIオフィス DEIコンサルタントの杉山優さん(レズビアンの方)、東日本旅客鉄道株式会社の佐川海さん(トランスジェンダーの方)がパネリストとして登壇しました。
 太田さんが「私自身も人事でパートナーシップ制度などをやってきたが、施策が当事者のニーズに合っているのか見えないところもあって、悩んだ」と語ると、佐川さんは「社内の当事者コミュニティから、制度があるのはうれしいが、申請する際にどうしてもカミングアウトしなくてはいけないのがハードルになっている、との声が上がり、知る人を極力減らしたり、大きな壁と感じない風土づくりに努めたりした」というお話がありました。杉山さんは「制度が始まった時には、涙が出そうなくらいうれしかった。心理的安全性が高くないと制度利用につながらない。うちは半期に一度、必ずLGBTQの研修をやって、できるだけ当事者に出てもらうようにしている。とはいえ、どうしても今の日本ではカミングアウトには勇気が要るので、バレないようにしている人がほとんどで、『うちの会社にはいないよね』ということになってしまいがち…。私が企業の方に伝えたいのは『めげないで続けてほしい』ということ」と語りました。市川さんは「弊社は、制度としては、特定のマイノリティだけじゃなく、汎用的なマイノリティに向けた制度設計になっています。事実婚と同じ。性別適合手術の休みもフレキシブルに取れる。みんなが使いやすいようにする。でも、今の涙が出るほどうれしかったというお話はグッときました。もしかしたら、社内でも、制度がないと思ってる人がいる可能性 もあるので、発信しようと思いました」と語りました。
 太田さんが「ERG(従業員リソースグループ)が立ち上がってきている。社内コミュニティがある企業、これから作りたいという企業にアドバイスを」と求めると、市川さんは「社内にカミングアウした人がほとんどいなかったので、当事者がいないままアライのコミュニティを発足したのですが、それでもできることがあります。アライを増やすために全社員に絨毯攻撃のようにトレーニングを行なった。ボランティアじゃなく業務の一環に組み込み、期末にはプロジェクトのリーダーが報告、評価される仕組みを作りました」と、杉山さんは「子社によってはERGもあったものの、人数が少ない会社でカミングアウトしづらいという声があり、前者横断のコミュニティを立ち上げたところ、参加しやすくなり、グループとして情報交換できたりもして、よかったです」「弊社は業務に組み込んでいませんが、それは、業務にすると、上司に言わなければいけなくなるからです」と、佐川さんは「私が入社したときは何もなく、まず当事者のネットワークを作りたいと言って、当時の担当者が尽力して当事者の交流会ができました。弊社も時間外でやっていて、開催のお知らせも、日時や場所は申込みをした人だけに伝えるように工夫しています」と語りました。

 
◎セッション「メディア表現とピンクウォッシュ」
 国の政策や企業の商品などにおいて、LGBTQ+を支援する姿勢を打ち出し、良い印象を与え、人権侵害など不都合な事柄を覆い隠すピンクウォッシュは近年、国際的にも注目を集めています。
 元アナウンサーでエッセイスト/東京大学大学院情報学環客員研究員の小島慶子さんがモデレーターをつとめ、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さん、パナソニック コネクト株式会社取締役でDE&I推進担当のチーフである山口有希子さんが登壇し、企業やメディアが気をつけるべきこと、LGBTQ+にとってポジティブな表現や伝え方などについてお話しました。
 初めに松岡さんがピンクウォッシュとはどういうことかについて説明し(こちらの記事で書かれているようなことです)、山口さんは「初めてピンクウォッシュという言葉を聞いた時、企業の話かと思いました。改めて会社の本当に隅々までアライかと考えさせられるものがあります。私はどういうふうにすれば本気度が伝わるか、インパクトが作れるか、長い間かけていろんな方と話して『Pride Action30』を作りました」と語りました。「企業がみんなで言うことで、同性婚につなげたいという思い。アクションをつなげて、みんなでやっていくこと。ただ、気をつけないといけないのが、どういう表現をするかということです」
 小島さんが「批判を受ける事例」について尋ね、松岡さんはカミングアウトデーのことや、同性カップルを描きながら、いま同性婚できないのは問題ないじゃん、その中で生きようよと言わせてしまうドラマのことを例に挙げて説明しました。そして「当事者としては、失敗したくないからやらないほうがいいんじゃないかと言わず、『やろう』をぜひ進めてほしいし、発表するんだったら実が伴うようにしてほしいです」「いきなり認識できないのは仕方がない。やはりコミュニティの経緯や歴史を知っている当事者と協働してほしい。それが早い」と語りました。
 小島さんが「ふだんから企業がインクルーシブな職場環境づくりに取り組んでいるかが表現にも表れますよね」と振ると、山口さんは「そもそも企業が発信するのはいかがなものかと代表電話にもかかってきた。ご意見は拝聴しますが、企業として必要だからやっていますと。多少のクレームでは動じない、意志の強さ。経営層が意志を持つことが大事です」と語りました。小島さんが「もし経営層が退任してやる気の無い人に変わったら?」と問うと、山口さんは「こういう活動が会社のカルチャーになっていくこと、みんながそういう意志を持てるような教育システムを作っていくことではないか」「今回の施策もそう。みんなで学び合い、知見を高めていくこと」と答えました。松岡さんは「施策に反対するコメントが来た時に、この意見はこう、と判断できるのは、まさに知見。経営層をはじめ、知見が染み込んでいくといいですね」とコメントしました。
 最後に、小島さんが「世界情勢を見ると、LGBTQが安全に生きていける、平等に扱われるような方向に向かっていると思いたいが、危惧もある」と指摘し、松岡さんが「米大統領選でトランスへのバッシングが激化するのではないかと意気消沈した人も多い。企業の取組みへの逆風も吹き、進めたくないと思う人が一定いる。企業も政治とつながっているのは事実で、その中で何ができるか。私にとってセクシュアリティはアジェンダではなく、生活。安全に働ける。パートナーが守られる。生活の話。あまり議論の齟齬は生まれないはず。そこに立ち返ってほしい」と語りました。


 このように、前半だけでも怒涛のように、たいへん濃密なセッションが繰り広げられました。
 休憩をはさんで、PRIDE指標の発表と表彰式が行なわれました。
 「PRIDE指標2024」の認定企業・団体は過去最多の計966に上り、内訳はゴールド832、シルバー81、ブロンズ53となりました。このうち、自治体やNPOなど他のセクターと協働して取組みを推進する「レインボー認定」には、東京弁護士会など計36の企業と団体が選ばれました。


◎PRIDE指標のこれから スポーツ版PRIDE指標に向けて
 LGBTQ+への差別・偏見解消の”最後の関門”とも言われるスポーツ分野で取組みが進んでいくようにという趣旨で、今後新たに始動するスポーツ版PRIDE指標に向けたセッションが行なわれました。
 成城大学文芸学部専任講師/株式会社Azitama代表の野口亜弥さんがモデレーターを務め、2017年からPRIDE指標に参加し7年連続で「ゴールド」認定、3年連続で「レインボー」認定を取得しているEY Japanの貴田守亮さん、株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長/株式会社メルカリ取締役の小泉文明さん、筑波大学体育系教授で日本サッカー協会常務理事の山口香さんがパネリストとして登壇しました。
 小泉さんは「メルカリでは優秀な人材を獲得するため世界50ヵ国から人が来ているし、LGBTQも多い。それが当たり前の感覚だったが、サッカー業界には全くそういう認識がない。コーチにもマネージャー以上にも女性がいない」と話しました。かつて“女三四郎”と呼ばれたソウル五輪女子柔道銅メダリストである山口さんは「スポーツは社会を映す鏡だと思うし、課題解決にも貢献できるというのがあるべき姿。しかし、ずっとスポーツ界にいると、自分たちは特別だという感じがある。“治外法権”的な。スポーツ界の常識は世間の非常識。外の世界と行き来しないと見えなくなる。開かれるべき」と語りました。小泉さんが「トップダウンに対して従順なので、上が変われば改革しやすい」と言うと、山口さんも「ルールには従順なので、今回の指標で流れができれば」と期待をにじませました。
 貴田さんは、「弊社では以前からスポーツの力に着目していた。価値の循環モデル。人づくり(引退したアスリート支援など)、場づくり(地域コミュニティを通じた経済)、ルール作り(インテグリティ)。国全体の価値を上げていくだろう」「DEIってなぜやるのかという点で、あまりスポーツも企業も違いはないと思う。イノベーションという点で日本は秀でていて、底辺から考え方を変えて、みんなが理解して法律とかも変わっていく。そういう意味で、この指標を通じて、企業と同じように変わっていくことで、国力も上がるし、生きやすい社会も実現すると思います」と語りました。
 野口さんは「スポーツクラブは地域に密着しているので、LGBTQのプライドマッチが行なわれて、大好きなクラブが取り組んでるとなると、自分もアライになりたいと思う人が増えたりする」と語り、山口さんも「アスリートが体現していくことで社会にいい影響を与える」と語りました。


◎クロージング・ご挨拶
 一般社団法人日本経済団体連合会副会長/野村ホールディングス株式会社取締役会長の永井浩二さんが登壇し、クロージングのご挨拶をしました。経団連のダイバーシティ担当の副会長をしている永井さんは、「LGBTQコミュニティとの共同、社会変革への熱意や溢れるパワーに感銘を受け、特に認定を受けた企業の皆様には、DEI実現を牽引していただき、感謝申し上げます」「経団連は2017年に「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」という提言を発表し、その後、企業行動憲章に「全ての人々の人権」と盛り込み、1700を超える会員に遵守を求めています、wwPの立ち上げにも協力しました」「理解増進法に続き、同性カップルの司法の判断が出ていて、機運の高まりを感じさせます」「本質は、一人ひとりが選択できる社会です。今後もさまざまなステイクホルダーとともに、企業も努力していく」と述べました。
 
 最後に、2025年のPRIDE指標についてのお知らせがありました。

 
 
 4時間の間に、こんなにたくさんの、多岐にわたる、かつ、いまとても重要なテーマのセッションが詰まっていて、これまでのwwPセミナーの中でも最も濃い内容になっていたと思いました。
 wwPセミナーに参加すると、たくさんの企業が本当に熱心にLGBTQ支援に動いていることが実感できます。
 こちらに示されているように、PRIDE指標の項目数は年々増えていて、ほとんどの施策をやってないとゴールド認定はされないようになっています。それをクリアして、ほぼ完璧と言えるくらい社内LGBTQ施策を完了した企業が800社超もあるわけですから、すごいことです(第1回は80社ほどでした)
 10年前を思うと、企業がこんなにLGBTQのことに取り組むようになったのは隔世の感がありますし、世の中、着実にいい方向に変わっていると確信できますし、希望が持てます。
 表彰式でも話されていましたが、認定や表彰が全てではなく、一つひとつの企業が、できる範囲で取組みを進めていったり、他の企業とも取組みを共有したり、一緒に活動したり、また、自治体やNPOなど他のセクターとも協働したりというかたちで、この輪が広がっていき、LGBTQの従業員も働きやすい職場環境が実現したり(その結果、社内でカミングアウトしやすくなったり)、ひいては、同性婚や差別禁止法、性同一性障害特例法の見直しといった法的な面での前進につながったりということが大切です(LGBTQの人権の尊重や社会的課題の解決です)。みなさんの会社が、この輪に加わってくださったり、その中で輝くような取組みを見せてくださることを期待します。

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