FEATURES

レポート:新潟プライドパレード(長岡市)

昨年に続き、長岡市で新潟プライドパレードが開催されました。小さなパレードではありますが、プライドを強く感じるパレードだったとVENさんがレポートしてくれました

 2023年11月12日(日)、昨年に続き、新潟県長岡市で「新潟プライドパレード」が開催されました。
 新潟プライドパレードは、参加したくても住んでいるところに近いと参加できないという方も少し遠い場所でなら参加できるのではないかとの心遣いで、新潟市と長岡市の2ヵ所で開催されています。(先月新潟市で開催されたプライドパレードのレポートはこちら
 今年も昨年と同じ明治公園→498号線→殿町通→場内通→長岡駅前→大手通→明治公園というルートでした。スタート時に降っていた雨も途中で上がりました。
 
 前の週は全国的に夏日となったり、11月としては異例の暑さだったのですが(九州レインボープライドも暑かったです)、開催日の直前、急に寒くなり、「あたたかい服装で参加してください」とアナウンスされていたので、私も冬支度で新潟に向かいました。
 集合時間の13時少し前に会場へ行くと、主催者のあずささんと、参加者の方が何名かいらしてました。今にも降り出しそうな雨の中、「何とか降らないでほしいですね」と話しました。
 少しずつ参加者の方が集まってきました。全国のパレードを動画に残してくださっているカメラマンの秋山さんもやってきました。秋山さん、前日は「とくしまプライドパレード」の取材をして、フェリーで新潟まで駆けつけたそうです。脱帽です。
 13時にオープニングイベントが始まり、あずささんから注意事項等の説明がありました。

 
 いよいよ出発です。
 先頭にフラッグを持ったあずささん、その後ろに横断幕を持ったお二人(今年の新潟県で開催されたパレードに全て参加していたお二人)、その後ろに参加者の方が続きます。
 LUSHの方もいらしていました。東北でも新潟でもプラカードを持って参加してくれています。心強い存在です。
 撮影禁止ゾーンを歩いていた方の服装が素敵で、後ろから写真を撮らせていただきました。今日、参加できなかった方が、あずささんに託したものを着てくださったそうです。
 パレード隊はあずささんのスピーチ、コール、参加者の方々のスピーチとともに、長岡駅へと近づいていきます。
「新潟にも、長岡市にもLGBTQ+は生きています。ここにいます。
 こんな地方にはいないでしょう。それは都会の話でしょう。
 近くに居たらなんか嫌だ、そうやって心無い言葉を向けられて、たくさん傷つけられて、だから新潟を出て行った仲間がたくさんいます。長岡を出て行った仲間がたくさんいます。
 本当は故郷の新潟に居たかった。けれど、差別が怖いから、気持ち悪がられる目が怖いから、だから新潟を出ていかなければならなかった。
 そんな仲間たちがたくさんいます。どれだけ身を切らなければいけないのでしょう。何で身を切らなければいけないんでしょう。なぜ仲間たちが新潟を出ていかなければいけないんでしょう。
 私たちはただ自分として生きたいだけです。
 私たちは差別のない社会を生きたい。差別のない世界がほしい。そこに生きていきたい。だから、今ここを歩いています」
 ほんの一部ですが、あずささんの熱いメッセージです。
「故郷を帰れる街にしたい」と訴えた青森の宇佐美翔子さんの顔が浮かびました。
 コールはLGBTQ+のことだけでなく様々な差別に対しても訴えていました。偏見や差別は根っこでつながっています。連帯が必要な時だと感じます。自分たちでなく、差別や偏見の中で苦しんでいる人のことも考えることが大事だと思います。
 長岡駅前を通り、人通りの多い大手通に入り、アピールは続きます。
 街の反応は正直よくありません。そんな中、「頑張って」と手を振ってくれる人もいました。信号待ちの車から笑顔で返してくれる人もいました。
 スピーチやコールを聞いて、何か感じてもらえて、回数を重ねるごとに、もっと街の反応がよくなっていくといいなと思います。
 パレード隊は、明治公園に近づいてきました。最後にコールをして、パレードは無事終了しました。
 警察官の方たちの温かい誘導にも感謝します。








 少し休憩をして、エンディングイベントが行なわれました。
 あずささんの「パレードの形はいろいろありますが、新潟プライドパレードは社会運動としてのパレードにしています」というスピーチから始まりました。新潟プライドパレードへの思いがすごく伝わってきました。
 幼少期の辛い思い出を語ってくれた方は「そんな辛いことがあったからこと、ここにいると言っていきたい。今後もパレードに参加したい」とおっしゃっていました。
 LUSHの方々は、「みなさんと一緒に、今後もパレードに参加したり、結婚の自由をすべての人にと訴えていきたい」とおっしゃっていました。
 顔出しOKの参加者で恒例の集合写真を撮り、お開きとなりました。



 今回、先月の新潟市での「新潟プライドパレード」の新聞記事を読んで県内から参加したという方がいらっしゃいました。パレードには初参加とのことでした。新聞記事を読み、当事者として声を上げたい、長岡のパレードに参加しようと思い立って参加したそうです。
 
 小さなパレードではありますが、プライドを強く感じるパレードでした。
 あずささんは7月の「ひとりぼっちプライドパレード(長岡市)」、10月の「新潟プライドパレード(新潟市)」、そして「新潟プライドパレード(長岡市)」と、今年3回パレードを開催しました。頭が下がります。新聞記事を読んで参加を決意した方のように、今は参加できないとしても、パレードが開催されたということを知って勇気をもらえた方たちがきっといたと思います。
 新潟県全体で言えば、9月に「三条プライドパレード」も開催されましたので、県としては3市で4回ものパレードが開催されたことになります。
「都会だけじゃない、ここにもいる」と小さな街で声を上げることには勇気がいるし、大変なことだと思います。あずささんや三条のみなさんに拍手を送ります。

 今年も残り少なくなりましたが、この後も11月19日に仙台で、25日に松江で、12月2日に和歌山で、10日に那覇で(ピンクドット沖縄で)パレードが開催されます。お近くのイベントや、たとえ遠くても、興味のあるイベントに参加してみてはいかがでしょうか。

(取材・文:VEN)

VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。

ジョブレインボー
レインボーグッズ