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レポート:ふくしまレインボーマーチ2023

11月4日、福島市で昨年に続いてのリアル開催となる「ふくしまレインボーマーチ」が開催され、県内外から集まった100名超の方たちがまちなかを晴れやかに行進しました

 福島で初めてのパレードが開催!との発表があったのは2020年2月だったのですが、ほどなくして世界はコロナ禍に見舞われ、ふくしまレインボーマーチも何度も延期やオンライン開催を余儀なくされました。そうしてようやく昨年、リアル開催としては初めてのふくしまレインボーマーチが実現し、約100名の方たちが参加しました(レポートはこちら)。そして今年も、昨年に続いてのリアル開催となるふくしまレインボーマーチが、三連休の中日に当たる11月4日(土)に福島市の中心部で開催されました。レポートをお届けします。

 
 前日の3日は福島も昼間は26度まで気温が上がる夏日となり、11月の観測史上最高を記録していました。なので、4日も暑いのかな、と思ったのですが、天候が曇りだったため、そこまで暑さは感じない、けどコートは要らないかな、という、パレードを歩くにはちょうどいい感じの日になりました。

 集合場所の「まちなか広場」の向かいにある男女共同参画センター「ウィズ・もとまち」の会議室で、午前中はトートバッグ作りのワークショップが行なわれました。ふくしまレインボーマーチ実行委員会の物販の方たちが企画したもので、今年のいわてレインボーマーチでプラカード作りのワークショップが行なわれていたことにヒントを得た企画だったそうです。参加したみなさんは、トートバッグかサコッシュを選び、スタンプやクレヨンで色を着けたり、フェルトを切って貼ったり、自由にデザインしながら、同じテーブルの方とお話したり、交流を深めていました。


 13時にまちなか広場でパレード参加受付が始まり、14時にオープニングイベントがスタートしました。
 3人の若い共同代表の方たちがご挨拶しました。高橋さんは「各地から集まってくださって。会えてうれしいです」と、広瀬ゆかこさんは、「去年初めて歩いて、一人じゃなくみんなで作るものだと感じました。去年、一歩を踏み出せて、変わってきたことが確実にあると思います。これからの福島のために、今日は街をレインボーに染め上げましょう」と、かなこさんは「去年、みんなで歩けて、地域の人たちも手を振ってくれて、すごくうれしかったです。それが日常になるといいなと思います。私はいわき市で6年間、誰にもセクシュアリティのことを言えませんでした。そういう方がまだたくさんいると思います」と語りました。
 続いて、各地のプライドの方たちが順番にステージに上がってご挨拶しました。私のすぐ後ろに、福島在住で今回初めてプライドのことを知って来られたという外国人の方たちがいらしたのですが、「Oh, Iwate. Amazing!」とかリアクションしてて、素敵でした。
 最後に共同代表の方たちがもう一度ステージに上がり、パレードに向けてエイエイオー!とかけ声をかけ、会場のみなさんも一緒に盛り上がりました。








 レインボーフラッグで飾り付けられたトラック(フロート)の後ろに整列し、パレードがスタート。
 パセオ通りというちょっとヨーロピアンなオシャレストリートを歩きます。トラックからはグロリア・ゲイナーの「I will survive」などプライドアンセムな音楽が流れ、共同代表の方たちがマイクで沿道の方たちに向けて語りかけながら行進します。広瀬さんは(ほんわかしたキャラクターの方なのですが)「私たちはただ自分らしく生きていきたいだけなのに、議員の方などが差別的な発言を何度もして、何度泣いたかわかりません。社会は変わらなければいけません。私は名前も顔も出して訴えかけてきました、お偉いさんはこの声を聞き入れてください。今日、私たちは道の真ん中をパレードします。旗がとてもきれいです」といった熱いスピーチをしていて、グッときました。目頭が熱くなる瞬間がありました。
 国道310号線で左折し、さらに3号線に入り、福島駅前へと向かいます。それぞれのフラッグを掲げる各地のプライドの方々、レインボーフラッグやプラカードを掲げる方々、レインボーやピンクに身を包み、笑顔で手を振る方々(振り返してくれる方)、撮影禁止エリアで歩く方々などもいらっしゃいました。前川さんなどスタッフの方が沿道の方にレインボーフラッグを手渡したりもしていました。
 福島駅にさしかかったところで吾妻通りに入り、さんかく広場のところで右折して信夫通りを進み、最後に駅前通りを通ってまちなか広場にゴールしました。









 涙で顔がぐしゃぐしゃになった広瀬さんが司会をつとめ、クロージングイベントが始まりました。
 福島市で「よりみち」という若者(特に性的マイノリティや10代20代女性)の居場所づくりをしている高橋さん、福大にじいろサークルのみなさん、ダイバーシティふくしまのみなさん、郡山にじいろサークルの広瀬さん、多様性を認め合ういわき市を目指す会の方、いわき市でLGBTQの居場所づくりをしているさんかくのみなさんなどがステージに上がり、一言ずつスピーチしました。福島県は広いので、各地のそれぞれの活動が大事だというお話があって、本当にそうだなぁと思いました(そのときにBGMで流れていたのがクイーンの「Don't Stop Me Now」で、ちょっと素敵でした)
 最後に再び、共同代表の方々がご挨拶し、「たくさん来てくださって、ありがとうございます。今年のテーマは『True Colors ~いっしょに~』でした。以前から福島や各地で活動してきた方のおかげで、開催できたと思います。また今日から、それぞれの場所で、より自分らしく生きていけるようにと願っています」と語りました。
 今回の参加人数は100人だったそうです(もうちょっと多かった気もするのですが…きっと福島の方は欲がないので、水増しとかせずに控えめに言ってるんだろうなと思いました)








 パレード終了後、「ウィズ・もとまち」の会議室で交流会が開催されました。
 初めにテーブル毎に自己紹介し、パレードに参加した動機などをお話し、そのあとテーブルを移動し、「お悩みを相談したい」「友達がほしい」「地方のコミュニティの課題」「福島にこれがあったら生きやすくなる」などテーマ別に分かれて、話し合ったりしました。
 英語が苦手ですという広瀬さんの代わりに、参加した外国人の方が英語でアナウンスしてくれて、その度に拍手が起きたりして、あったかい雰囲気でした。
 東北のパレードはどこもそうですが、特に福島のみなさんは、みんなニコニコしてて温かい方たちばかりだなぁと感じます。

 
 個人的には、10年以上前から郡山のゲイナイトに参加したり、今は裏磐梯でのスキーツアーに関わったりもしていて、福島には縁があります。そういうゲイコミュニティの方たちとふくしまレインボーマーチの方たちの間でつながりが生まれて、より大きなイベントになったらいいなぁとも思いました。
 これからも福島(や東北をはじめとする地方の街)のパレードを応援していきたいです。
 
(取材・文:後藤純一)

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