FEATURES
レポート:三条プライドパレード
新潟県三条市で9月17日、三条プライドパレードが初開催されました。VENさんのレポートをお届けします。ぜひ最後までお読みください。
シルバーウィークの中日にあたる2023年9月17日(日)、新潟県三条市で「三条プライドパレード」が初開催されました。東三条商店街の「三条マルシェ」というイベントに参加するかたちでの開催でした。前日にはKABA.ちゃんや市長さんが登壇する「Sanjo Rainbow Conference 2023」も開催されました。地元の団体「PRIDE LINK」の方々がカンファレンスとパレードという2日間にわたるイベントを企画したのでした。私は三条プライドパレードのレポートをさせていただきます。
(取材・文:VEN)
9月17日、JR東三条駅近くの東三条商店街を歩行者天国にしたストリートフェス「三条マルシェ」が開催され、いろいろな出店やブースが商店街に並んでいました。レインボーフラッグを飾って応援してくれているブースや、レインボーかき氷を販売しているブースもあって、うれしかったです。手作り小物を販売しているブースや、地元食材を使ったフードブースなどもあり、バラエティ豊かなマルシェでした。
この日は、9月なのに最高気温35度を超える猛暑日となり、かなり暑かったです。
13時になり、ステージではパレード出発式が始まり、主催するPRIDE LINKの羽賀風真さんが挨拶したほか、新潟でLGBTQの居場所づくりの活動をしている「ここラテにいがた」や「上越市にパートナーシップ制度を求める会」の方もスピーチしました。パレードの説明や注意事項などのアナウンスもありました。
13時30分、パレードが始まりました。マルシェの会場を通り、市街へ抜けてパレードしていきます。
「色とりどりの世界へ」と書かれた横断幕が先頭を行きます。レインボーカラーをあしらった凧も掲げられていました(凧は三条の伝統品なんだそうです)。台車に「レインボーボックス」と称したスピーカーを積んで、音楽を流しながら歩く方もいました。それとは別に、レインボーカラーの風船を積んだトラックもありました。
県内だけでなく、近隣の県の方たち、新潟県の別の団体の方なども参加していました。マルシェに来ていたお客さん、ブースを出している方々がレインボーフラッグや手を振って応援してくれました。PRIDE LINKのブースの近くでサッカーのブースを出していた方々も一緒に歩いてくれて、明るくパレードを盛り上げてくれました。
パレードの隊列はマルシェ会場を出て、一ノ木戸商店街という繁華街へと向かいます。誘導してくれた警察官の方が「アピールポイントだよ」と教えてくれたりして、温かい雰囲気でした。パレード隊は繁華街でUターンして、再びマルシェ会場へ戻ります。マルシェ会場に入ると、「お帰りなさい」と出迎えてくれる方もいました。子どもたちも手を振ってくれました。そうしてステージ前にゴールしました。かなりの暑さだったので、みなさん汗をふいたり喉を潤したりしていました。
到着式がステージで始まりました。新潟でLGBTQの居場所づくりの活動をしている「ここラテにいがた」の方や、参加者の方たちがパレードの感想を語りました。みなさん、パレードが開催されたことにとても感動していた様子でした。
最後に、顔出しOKの方たちで記念撮影をしました。
とても暑い日でしたが、それ以上に、心が温かくなるようなパレードでした。
前日のカンファレンスに参加した方は、カンファレンスもパレードも感動したとおっしゃっていました。
PRIDE LINKの方は、来年以降もパレードを開催していきたいと話していました。
今回、(同じ日にさっぽろレインボープライドがあったにもかかわらず)三条プライドパレードに参加したのは、昨年別の団体が新潟市、長岡市でプライドパレードを開催し、今年7月には緊急行動として長岡でひとりぼっちプライドパレードを開催しましたが、県庁所在地や政令指定都市でのパレードだけでなく、小さな街にも当事者はいるということを訴えたい、参加者の一人になりたかったということがあります。
私も小さな街に住んでいます。
広島の小さな集落で毎日、ご自宅の玄関にレインボーフラッグを掲げ、週一回交流スペースを開いている方の動画を拝見し、小さな街でも声をあげる必要を感じました。
9月9日には山形県酒田市でもパレードが開催されました(私のミスで行けなかったのですが…)。どんどん小さな街でパレードが開催されるようになってきました。10月22日には福井県鯖江市でもパレードが開催されます。今後も、街の大きさには関係なく、パレードには力の続く限り参加していきたいと思います。
新潟県では、10月15日(日)13時から新潟市で、11月12日(日)13時から長岡市でも別の団体がパレードを開催する予定です。また、7月には長岡市で「ひとりぼっちプライドパレード」が緊急開催されました(レポートはこちら)。同じ年に県内の3つの市でパレードが開催されるというのは、全国的に見ても珍しいことではないでしょうか。
今年は本当に全国のいろんな街でパレードが開催されています。全部に行くことは難しいでしょうが、お近くの街で開催されるときはぜひ参加してみてください。(下半期のパレードのスケジュールについてはこちらでご確認ください)
実は、三条プライドパレードへ向かうために空港にいた9月16日、私のもとに訃報が届きました。その友人は鬱を患っていて、このところのLGBTQ+へのバッシングに心を痛めていて…自ら旅立つことを選びました。
私はこのまま三条に行くか、友人のところへ行くか、とても悩みましたが、友人は毎回、こんな素人の私のレポートを楽しみにしてくれていたので、三条へ向かうことにしました。鬱が回復したらパレードに一緒に参加しようと話していました。
その友人だけでなく、もう一人、友達のお友達も、今の状況に耐えられなくなり、自ら命を絶っていました。
心ない言葉というのは、人の命にかかわるような問題です。大人だけでなく子どもも苦しめられています。もう、こんな悲しいことは起こってはいけません。
私の力は小さいけれど、できることをやっていきたいです。
VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」などにも参加しています。
- INDEX
- 特集:11月20日は国際トランスジェンダー追悼の日
- レポート:金沢プライドウィーク2021
- 特集:11月に観たいLGBTQ映画・ドラマ
- 特集:10月はLGBTQ映画が豊作です
- 【インタビュー】ゲイカップルと地下鉄にいた赤ちゃんが家族になるまでの本当にあった奇跡の物語『ぼくらのサブウェイ·ベイビー』の翻訳出版を目指す北丸雄二さん
- 特集:大阪観光局が発足させた新プロジェクト「OPEN ARMS PROJECT」
- 【PRIDE月間企画】トランス女性を支援したいというアライとしての心意気――映画『片袖の魚』東海林毅監督インタビュー
- レポート:足立レインボー映画祭
- ゲイの劇団フライングステージが子ども向けのお芝居を上演
- 雨上がりの渋谷に虹が出ました:「0606LGBT新法制定を求めるハチ公前連帯集会」レポート