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レポート:第10回青森レインボーパレード
6月25日に開催された第10回青森レインボーパレードをVENさんがレポートしてくれました。全国から駆けつけた212名の方たちが青森駅前をPRIDEとともに行進しました
2023年6月25日(日)に開催された第10回青森レインボーパレード。2014年、たった3名で歩きはじめたパレードですが、「故郷を帰れる街にしたい」という思いが共感を呼び、今では200名を超えるまでになりました。沿道で応援してくださる方も年々増えてきています。VENさんによるレポートをお届けします。
2023年6月25日、青森市で10回目となる青森レインボーパレードが開催されました。この日は世界各地でプライドパレードが開催されるプライド月間最終日曜日。日本では青森だけでなく、小樽プライド、西湘レインボープライドも開催されました。
今年のテーマは「まだ、黙らない」。このテーマに込められた思いがすごく伝わってきます。今の状況を物語っているテーマだと感じました。
2014年、3名から始まった青森レインボーパレード。回数を重ねる度に参加者が増え、今年は212人の参加者となりました。「故郷を帰れる街にしたい」という思いが共感を呼び、ここまで来たのだと思います。
今年は地元青森のRABラジオがパレードを生中継。直接参加できなかった方もパレードの様子をラジオを通じて感じることができました。
それから、今年はパレードの前に「そらにじあおもり」が開催され、プラカードを作りながらみんなでワイワイ過ごしました。
13時前、予定時間より少し早めに受付が開始されました。次々と参加希望の方々が登録しました。公式グッズのレインボーねぶた、クリアフォルダー、宇佐美翔子さんの語録集なども販売されていました。
13時30分、オープニングイベントが始まり、共同代表の岡田実穂さん、ハルさんが開会の挨拶をしました。青森県知事からのメッセージに続き、県内の18の市町村長からのメッセージが紹介されました。今年、10年目にして初めて地元・青森の市長からもメッセージが届きました。政党関連でも、立憲民主党、社民党、共産党、公明党、連合青森からメッセージが届いていました。
それから、撮影禁止ゾーンの説明(撮影されたくない方への配慮として、パレードだけでなく集会でも撮影禁止ゾーンが設置されていました)、プレスの方々の挨拶と続き、ゲストの坂本サトルさんがライブを披露しました。共同代表の岡田さんが坂本さんの大ファンとのことで、駆けつけてくださったそうです。パレードの前にパワーがもらえるような熱いステージでした。
そして、先日、朝日新聞「ひと」に紹介いただいたということで、私にマイクが! 宇佐美さんが生前おっしゃっていた「今日、参加したくてもできなかった人の気持ちと一緒に歩きたいと思います」という言葉を捧げ、コメントとさせていただきました。
各地から参加したプライド団体の方々がスピーチしました。9月9日山形県酒田市で初開催の庄内レインボーマーチ、11月4日開催のふくしまレインボーマーチ、10月29日開催のやまがたカラフルパレード、11月19日開催のみやぎにじいろパレード、10月22日開催の岡山レインボーフェスタ、11月19日開催の東京トランスマーチの方たち、そして毎年「故郷を帰れる街にしたい」というのぼりを持って参加しているダイバーシティラウンジ富山のなかがわさん。名古屋レインボープライドの樹梨杏さんは「青森の友達から自分の代わりに歩いてほしいって頼まれて名古屋から参加しています」と書いたプラカードを持ってスピーチしていました。
続いて議員さんたちの挨拶。石川大我参議院議員をはじめ、県議会議員、市議会議員の方々が応援に駆けつけてくださいました。
また、次期衆議院議員選挙に出馬予定の尾辻かな子さんもいらしてました。ぜひ国会に戻ってほしいですね。
最後に、青森レインボーパレード恒例のラジオ体操が行なわれました。今年も津軽弁バージョンのラジオ体操に合わせ、みんなで元気に体を動かしました。
14時、いよいよパレードがスタート。3列に整列し、スタートの合図とともに元気に歩き出しました。
雲はありましたが、晴れ間が広がり、レインボーフラッグが青空に映えました。
駅前の公園から左折して、商店街を進んでいきます。先導車のトラックから流れる音楽をバックに、岡田さんたちがマイクアピールします。参加者のみなさんが持ったプラカードのメッセージや、寄せられたメッセージも読み上げられました。今年は特にトランスジェンダーやノンバイナリーへの差別に関するメッセージが多かったように感じました。
商店街では、ポスターやチラシを貼ってくれているお店、店員さんがレインボーフラッグを振ってくれたお店、毎年メッセージを張り出して店主さん自らフラッグを振ってくれる「ナンデモヤ」さん、2階の店舗からお客さんやお店の方々が応援してくれた喫茶店「ぐるっぺ」さん、店頭のメニューボードにレインボーフラッグを飾ってくれたカフェなどもあり、街中のあちこちでパレードを応援してくれていて、うれしかったです。年を追うごとに応援してくださる人たちが多くなってきています。
パレードの一行は県庁のところで左折し、目抜き通りの新町商店街へと進んでいきます。新町商店街でもレインボーフラッグを振ってくれるお店の方がいらっしゃいました。ウインドウにレインボーフラッグと一緒にLGBTQ関連書籍を目立つように置いてくれている本屋もありました。ご当地アイドル「青森ナイチンゲール」のみなさんは、ステージの合間にこちらまで来て笑顔で手を振ってくれました。
パレードに参加した方たちのなかには、オープニングイベントに登壇した方たちのほかにも、そらにじひめじのみなさん、SWASHの要友紀子さん、足立区「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」宣誓第1号となった長村さと子さん&茂田まみこさんとそのお子さん、星公一郎さん&竜也さんのカップル、いわてレインボーマーチにも来られていた三沢基地のGay Straight Allianceグループ「Rainbow weasels」の方たちなどの姿もありました。
実は私事ですが、昨年は一緒に参加した青森の友人が、やっぱり住みにくいとお母様を残して青森から出て行ったという現実がありました。せめてそんな友達がこのパレードの報道を見て、戻ってこなくても、少しでも帰省したいと思ってくれたらいいなという気持ちでいました。
いろんな方たちの思いが込められたパレードは、晴れやかな笑顔とともに、駅前公園にゴールしました。
エンディングで共同代表の方たちがご挨拶し、最後に、恒例の記念撮影が行なわれました。
みなさん、素敵な笑顔でした。
私は確認できませんでしたが、今年も夕方、虹がかかったそうです。
10回目の青森レインボーパレードも無事に終わり、みなさん、のっけ丼など青森の名産を堪能したり、観光したり、お風呂に入ったりして、帰路に着きました。
青森レインボーパレードは来年以降も開催されるそうです。青森が「帰れる街」になるまで、これからもパレードを通してメッセージを届けていきます。私もできるかぎり参加しようと思っています。今回参加したくてもできなかった方など、ぜひ来年は参加してください。
最後に、今回がパレードデビューだったという方に、感想を聞かせていただきました。
「青森レインボーパレードに初めて参加して、まず感動したのが、パレードの情熱です。4月に社会と接するようになってから、コミュニティスペースで過ごしてきて、実はそれほど不便を感じてこなかったのですが、今このような環境にいられることは諸先輩方の活動に支えられているものだと強く感じました。また、200人以上の参加者の方と一緒に歩けたことで、こんなにも仲間がいるということを肌で感じられて、勇気をもらえました。このようなイベント一つ一つが自分は独りじゃないと感じられるものなんだなと思いました」
初めて参加したパレードで、こんなふうに感想を語れることが素敵で、私もうれしく感じました。これからの生活でも、独りじゃないと、前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。
(取材・文:VEN)
VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。2023年6月21日の朝日新聞「ひと」にも登場しました。
- INDEX
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