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レポート:はままつレインボープライド

6月11日(日)、浜松市で「はままつレインボープライド」が初開催されました。静岡県で初めてのプライドパレードです。あいにくの雨でしたが、そんなの関係ないと言わんばかりのパワーで、県内外から約350人が参加して熱い盛り上がりを見せました

雨をもはねかえす熱いパレード
 
 6月11日(日)、無情な天気予報が覆ることはなく、あいにくの雨となってしまい、残念な気持ちだったのですが、13時頃、浜松駅から程近い、会場の新川モールが見えてくると、そこでは、レインボーを身にまとったみなさんがたくさんいらしただけでなく、フロートのトラックの横でDJさんがクラブミュージック(プライドアンセム)をかけて盛り上げてくれていて、これからパレードが始まるよ!というハッピーな空気感がパーッと開けて、心躍りました(2000年代のレインボーマーチ札幌の高揚感を思い出しました) 
 新川モールは遠鉄の高架下なので、雨に濡れることなく過ごせますし、キッチンカーが出ていて飲食もできますし、ちゃんときれいなトイレもあって、素敵な会場でした。人がどんどん集まってきて、知ってる方、ひさしぶりに会う方があちこちでおしゃべりしたり、笑顔がはじけていました。「さんざめく」という言葉がふさわしい雰囲気でした。





 そんな高揚感のなか、オープニングイベントがスタート、ドラァグキングのmashiroさんがMCを務めます。
 浜松市市民部の新谷直幸部長が市長さんからのメッセージを代読しました。「パレードの開催を心よりお祝い申し上げます。浜松市は多様性や思いやりを大事にし、誰もが自分らしく生きられる社会を目指しています。静岡県初のパートナーシップ制度を2020年に導入し、これまでに71組が申請しています。浜松で県初のパレードが開催され、第一歩を踏み出したこと、本当に素晴らしいです。これからも互いの個性を尊重しあい、ダイバーシティ&インクルーシブな、この輪が広がるよう願っています」といったメッセージでした。
 しんやさんはその後、個人的に、当事者の方に向けて「みなさんは独りではありません」「胸を張っていきましょう」と語りました。
 実行委員会代表の鈴木げんさんは、「たくさんのご参加ありがとうございます。楽しんで歩きましょう!」とご挨拶しました。
 ゲストの加藤アゴミサイルさんも交え、先頭の方たちでメディア用の写真撮影をして、14時頃、クラブミュージックとともにパレードが出発しました。






 パレードの一行は、駅前の大通りに入り、板屋町の交差点で東海道に入り(ちゃんと道路標識に「東海道」って書いてありました)、ゆりの木通りの商店街にさしかかると、道の向こうに大きなプログレスプライドフラッグを振ってパレードを応援している方がいたり、沿道でも手を振って応援してくださる方がいたり。そしてパレード参加者のみなさんは、音楽に乗って、ノリノリで、笑顔で、雨も吹き飛ばす勢いで歩いていました。連尺の交差点を曲がると、道の向こう側で、やはり、お店にプログレスプライドフラッグを掲げて、手を振ってくれる方がいたり。鍛冶町通りへと入り、ザザシティ浜松やヤマハの前を通って、新川モールに帰着しました。雨にもかかわらず、300名が詰めかけて盛り上がり(スタッフも入れると総勢約350名。沿道で応援した方も合わせるともっとたくさんです)、大成功だったので、会場に戻ってきたとき、実行委員の方たちが思わず涙していて…私も感動しました。



















 
 しばらくして、クロージングイベントが始まりました。



 続いて、各地のプライドの方がスピーチしました。





 実行委員のみなさんがスピーチしました。





 

プレイベントとアフターパーティ

 広島のパレードの取材があって、参加することは叶わなかったのですが、パレード前日の10日(土)にプレイベントが開催されました。
 浜松駅前の「はままちプラス」というおしゃれスペースで「OUT IN JAPAN」写真展や、LGBT当事者の子どもをもつ親たちのトークイベントが行なわれました。浜松出身の金谷勇歩さんというゲイの方が企画し、静岡にゆかりのある方たちを中心に選ばれた写真が、通常の「OUT IN JAPAN」のような壁にパネルをたくさん貼るかたちではなく、テーブルの上に置かれて展示されていました。親御さんのトークイベントでは、勇歩さんのお母様も登場し、パワフルに語ってくれたそうです。また、同じ会場で「にじいろかぞく」の「岸田総理へ手紙を書こうプロジェクト」も展開され、同性婚実現を願うハガキが何枚も書かれていました。




 アフターパーティは、浜松で15年も続いているALL MIXパーティ「JUNON@Bartholomue」が手がけました。素敵なDJとドラァグクイーンのショーで盛り上がったほか、サプライズでプロポーズも行なわれたそうです。とある当事者の親御さんも「とても楽しかった!」とコメントしていて、クラブ慣れしていない方も、どんな方でも楽しめるようなパーティだったんだなぁと想像します。
 
 来年もこうしたイベントが開催されるようでしたら(他のパレードの取材がなければ)2日間満喫したいなと思いました。
 
 

はままつレインボープライドを振り返って 

 浜松では、約20年前に「さーくる@安場」(のちに「にじいろ安場in浜松」と改名)というLGBTQの居場所づくリ、交流会などを行なう団体が立ち上がり、勉強会や講演、HIV予防啓発活動なども行なってきました(立ち上げたのは大畑智矢さんという、学生時代にレインボーマーチ札幌の運営にも携わっていた方です。立ち上げの頃の「OUT IN JAPAN」のボランティアなどにも携わっていました)
 2010年代には浜松TG研究会というトランスジェンダーとアライの団体が立ち上がりました。代表の鈴木げんさんは2020年4月の「市パートナーシップ宣誓制度」の第1号となった方ですが、2021年、性別適合手術を受けなくても戸籍上の性別を女性から男性に変更できるよう求める家事審判を静岡家裁浜松支部に申し立て、昨年には自民党「性的マイノリティに関する特命委員会」の事務局長を務める静岡7区選出の城内実衆議院議員の「お花畑」発言に対して公開質問状を提出するなど、アクティブに活動しています(愛嬌があり、人好きのする、とても素敵な方です。地元のコミュニティでも愛されています)
 今回浜松に行ってみて、お二人以外にもたくさん、クラブイベントを開催している方だったり、アライの方だったり、コミュニティ活動に携わっている方がいらっしゃることがわかりました。初開催のパレードがこれだけ盛り上がったのは、げんさんの人柄のおかげであり、浜松のコミュニティの温かさやパワーのおかげだなと感じました。パレード前に会場で音楽をかけていたのも、DJさんたちが自発的にやってくださってたんだそうです。素晴らしいです。
 来年もきっと開催されますので、みなさんもぜひ。性別やセクシュアリティや年齢にかかわらず、どなたでも参加できます。

 
(取材・文:後藤純一)

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