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レポート:Tokyo Liberation March(東京リベレーションマーチ)
4月22日(土)、渋谷でTokyo Liberation March(東京リベレーションマーチ)が初開催されました。VENさんのレポートをお届けします。
今年はTRPのプライドパレードの前日に、渋谷でTokyo Liberation March(東京リベレーションマーチ)が初開催されました。東京リベレーションマーチは、「LGBTQ差別、野宿者排除、ジェンダー不平等、在日外国人差別、貧困・格差など、人権課題の交差性(インターセクショナリティ)の重要性を可視化し、多様な人達が安心/安全に暮らせる社会の実現を目指すムーブメントです」「NYのQueer Liberation Marchなど、海外では過度に商業化されたパレードへの問題提起の意味合いをこめて企業協賛などのないプライドパレードが開催されてきました。日本においても、人権活動を行なううえでインターセクショナリティや複合差別の視点の重要さが語られるなか、何かしらのしがらみや、商業的な思惑に邪魔されずに可視化と主張を行なうことが近年のLGBTQ+に関するムーブメントの中で必要ではないのかとの声が上がり、その一つの答えとしてこのマーチが開催されることになりました。TRPの開催で街が虹色に染まるなか、ファッションやフェスティバル的なものではなく、ストーンウォー暴動1周年を記念して1970年にGay Liberation Frontが米国4都市で始めた「Christopher st liberation day march」の意思を受け継ぐようなパレードとして開催されます。TRPに対抗するものではなく、あくまでも自主的に行なわれるデモ行進です」との趣旨でした(公式サイトより)。TRPの取材に追われていた後藤に代わり、VENさんが取材・レポートしてくれました。
VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。
2023年4月22日(土)お昼過ぎ、渋谷の神宮通公園には、初開催の東京リベレーションマーチに参加するためにさまざまなフラッグや横断幕を持った方々が集まっていました。
東京リベレーションマーチは、様々なマイノリティや被差別の属性の人々と連帯する社会を目指して開催されました。渋谷区はパートナーシップ制度を日本でいち早く導入し、LGBTQ+フレンドリーな自治体として有名ですが、宮下公園を商業施設にする際にも野宿者を排除し、記憶の新しいところでは、昨年、美作公園を閉鎖し、野宿者の居場所を奪い、今も神宮通公園では、野宿者を尊重しない排除が行われています。そんな状況に心を痛めたげいまきまきさんが声をあげ、それに賛同したTransgender Japanの畑野とまとさんや浅沼智也さんらが一緒に東京リベレーションマーチを企画し、開催に至りました。賛同団体は22に上り、たくさんの支持を集めていました。
12時30分、オープニングイベントが始まりました。げいまきまきさんから開催の挨拶や注意事項についてのお話がありました。「参加者の方々にはいろんな方がいらっしゃいます、見た目で性別やセクシュアリティを判断しないでください」という、げいまきまきさんのスピーチが印象的でした。
13時、いよいよマーチがスタートしました。フロートは1台で、畑野とまとさんがDJをして、げいまきまきさんなどフロートに乗った方々が、交代でスピーチをしました。
コール(かけ声)もありました。
「渋谷の街で一緒に生きよう!」
「いろんな街で一緒に生きよう!」
「クィアな私と一緒に生きよう!」
「貧乏な人も、お金持ちの人も一緒に生きよう!」
「渋谷の街に差別はいらない!」
「排除ではなく、連帯を!」
「入管問題もひどいよね。」
などのコールで、ノリのよい音楽と一緒に沿道の人たちに呼びかけました。
パルコ前、タワーレコード前など、メインストリートも歩きました。参加者の中には『老ナルキソス』の東海林毅監督や、日本ろうLGBTQ+連盟のモンキー高野さん、セックスワーカー団体「SWASH」の要友紀子さん、アキラ・ザ・ハスラーさん、仙台で活動する小浜さん、「キリストの風」集会の方々などもいらっしゃいました。沿道からプラカードを掲げている方もいました。
一部の人に優しいだけではダメなんです。みんなに優しい街でなければダメなんです。野宿者の中にもLGBTQ+の方々もいます。他人事ではないのです。コールにもありましたが、排除ではなく、連帯する時なのです。差別はつながっています。そんなことを教えられたマーチでした。
約200人の方々が渋谷の街を行進し、神宮通公園にゴールしました。
クロージングイベントでは、げいまきまきさんの挨拶の後、参加者のみなさんで記念撮影を行ないました。
とても素晴らしいマーチでした。
今後も継続して開催していきたいそうです。
レポートを読んでいただいたみなさん、ぜひ次回は参加してみてはいかがでしょうか?
(取材・文:VEN)
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