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レポート:東京レインボープライド2023「プライドフェスティバル」1日目

2023年4月22日(土)、23日(日)、代々木公園イベント広場で「変わるまで、続ける」をテーマに東京レインボープライド2023「プライドフェスティバル」が開催され、2日間で約24万人(主催者発表)の方々が来場し、たいへんな熱気となりました。2日目のプライドパレードは、晴天の下、39ものフロートが出走し、1万人が渋谷〜原宿の街を行進しました。1日目のレポートをお届けします。

 昨年はまだコロナ禍の影響もあって入場規制があり(入場には事前申込みが必要で、ゲートが設けられ、入るときに手指消毒し)、パレード参加も2000名という制限があり、涙を呑んだ方もいらっしゃいましたが、今年は4年ぶりに制限のないかたちでプライドが開催されました。天候にも恵まれ、暑すぎたりもせず、絶好のイベント日和となりました。というわけで、2日間で約24万人(主催者発表)と大盛況だった今年のTRPの「プライドフェスティバル」の模様をレポートします。1日目、2日目に分けてお送りします。
(文:後藤純一)


 4月22日(土)11時半頃、原宿駅を降りて歩いていると、目の前に腕を組んで歩いているゲイカップルの姿が…心の中でHappy pride!と声をかけました。代々木公園に着くと、まだステージイベントが始まっていないのに、すでに大勢の方々が会場に来られていてビックリしました。イベントが始まるとどんどん人が増えて、たいへんな賑わいとなりました。昨年もそうでしたが、たくさんの(二丁目でも見たことがないような)当事者と思われる方たちが来られていて、うれしかったです。今年はさらに、台湾や韓国など海外の方も結構多かったように感じました。(実際は会場で見かけていない、お会いしていない方も多く、あとでTwitterに「楽しかった!」「最高だった」と投稿があって、初めて来られていたことを知ったり。それくらい、大盛況でした)

 
多彩な出展ブース

 広場を埋め尽くすように建ち並ぶ企業・団体・大使館などの出展ブース。約200もあったそうです。いちおう全エリアを見て回ったつもりだったのですが、あとで「そんな素敵なブースがあったなんて知らなかった!」ってなったり、友達に「○○のブースどこにあるか知ってる?」って聞かれて一緒に迷いながら見つけたりしたくらい、本当にたくさん…王宮とかの迷路みたいでした。そんななかでも、偶然通りかかって素敵だなと思ったブースをピックアップしてご紹介します。ステージ取材もあり、何しろ公園内を移動するにも人が多くて一苦労でしたので、限られた時間のなかで、たまたま取材できたブースという感じです。ご了承ください。

「LGBTQツーリズム」ブース。有名なパタヤのショークラブ「アルカザール」のトランスジェンダーのキャストのみなさんが来日されていて、とても華やかでした

同じく「LGBTQツーリズム」ブースのグアム政府観光局のみなさん

「LGBTQ-Allyプロジェクト」に参加してくださった企業のみなさん

フードコートのところに「InterFM897」による特別番組を生放送する特設ラジオブースが出現。ごはんを食べながらブルボンヌさん&ゲストのみなさんの素敵なトークを聴いて楽しめるのが最高!でした

「RainbowPrideBeer」も販売していた二丁目の「ALAMAS CAFE」のブース。左からチッコーネさん、小原さん、ウンディーネさん

チェリオのキャンギャルをしていたのかと思いきや、ゲイメディアの取材でたまたまチェリオのブースにいただけだった渦潮つば子さん

公式フォトブースでチャリティに貢献していたクイーンの方たちも大勢いらっしゃいました。写真は松坂牛子さん(左)と、親方a.k.a穴根蛇さん(右)

「DRAG QUEEN PROJECT TOKYO」は、東京のアイコニックな12人のドラァグクイーンをフィーチャーした写真集を制作するプロジェクト。写真はたぶん日本一の高身長クイーン、セレスティア・グロウンさん(左)、そしてOKINIさん(右)

チーム台湾のブースには、とても台湾らしいドラァグクイーンの方がいらっしゃいました

吉祥寺でドラァグクイーンなどのショーを展開している「ハウスオブ外食」の演者さん

今回本当に素敵だったのは、世界的な書家のMaayaさんと一緒に筆と墨でパレード用に手書きのメッセージを書ける「メッセージブース」です。PCでデザインしてプリントアウトしたプラカードももちろんいいのですが、書という日本ならではの文化で、自分自身の作品としてメッセージを書くってとても素敵。前列はYOUTH PRIDEの方たちでした。奥にいらっしゃるのがMaayaさんです

同性婚実現を目指し、岸田総理にお手紙を書こうプロジェクトを展開していた「にじいろかぞく」。代表の小野春さん(左)は「結婚の自由をすべての人に」の原告でもあります。素晴らしい方です

「にじいろかぞく」のブースでは、スウェーデン人のリカさんと同性婚して子育てをしている「ふたりぱぱ」のみっつんさんが著書のサイン会をやっていました。TRPのために家族揃って来日してくれたファミリーの貴重な写真を撮らせていただきました

「MarriageForAllJapan -結婚の自由をすべての人に」ブースで国会議員に手紙を書こうプロジェクトに参加し、一生懸命メッセージを書いていた若者の姿に心を打たれ、思わず写真を撮らせていただけるようお願いしてしまいました。なお、用意されていた600枚のハガキは、1枚残らずハケたそうです(胸熱…)。みんなの思いが届くことを祈ります

LGBT法のことをはじめ、本当にさまざま、大事な活動をしてくださっているLGBT法連合会。頭が下がります

プライドハウス東京のブースでは、できたての冊子を配布したり、協賛企業の取組みを紹介するなどしていました

レインボー・リール東京のみなさん。今年は7月15日(土)〜17日(月祝)@スパイラルホールと、7月21日(金)〜23日(日)@ユーロライブの2会場での開催となるそうです

長年映画祭やパレードにブースを出展しているレインボーアクセサリーのniji-depot。今回もラブリーな笑顔でお出迎えしてくれました

二丁目のHIV予防啓発団体「akta」のブースでは、コミュニティで大好評の、ゲイのイラストレーターの方たちが描いたカードをプレゼントしていました

いち早く同性パートナーシップ証明制度を実現した三重県伊賀市に移住した「僕らの移住生活」のお二人(この時は加納さんがいらっしゃらなくて、嶋田さんだけでした)。今回、レインボーカラーの伊賀組紐や「くみひもシューレース」を販売していました

トランス男性向けのもっこりを演出できる「エスパーダ」という男性器エピテーゼとそれに合うようなパンツ「エスパン」を販売している「SOLUNA ESPERANZA」。いつも元気なお二人です

いまLGBTQ関連の良書のほとんどを出版しているといっても過言ではないサウザンブックスPRIDE叢書の古賀さんと宇田川さん。お二人で『Over』という雑誌も作っています

日蓮宗青年会のみなさん。こんな素敵なレインボーカラーの仏様のネオンサインも作ってくれて…感激でした。上層部の人を説得して今回のTRP協賛を実現してくれたんだそう。その熱意に頭が下がります

にじモと虹色どーもくんが今年も共演!!

コアラマットレスのココちゃんも登場!

ゴルチェの生涯を描いたミュージカル『Fashion Freak Show』が5月に上演されます。衣装がとってもステキ!

『BE』というLGBTQの雑誌も作っているIndeed。社内のLGBTQネットワークで活躍している方たちがフロントで盛り上げていました

ドクター・マーチンのブースには、カナイフユキさんが来られていました

来場者にリステリンをプレゼントしていた「Johnson & Johnson」のみなさん。社内LGBTQ施策におけるリーディングカンパニーの一つですよね

American Expressのブースでは、オリジナルのレインボーカラーをあしらったピンバッジや扇子をプレゼント

いつもレインボーグッズをたくさん提供してくれているドン・キホーテ。うっかりレインボーグッズを忘れてもこちで手に入るので大助かりです

「Kiehl's」のブースでおしゃれでかわいいイラストのパネルを発見

ヒュンメルのブースでは、白いスニーカーに自分でオリジナルの絵を描く企画を展開してました

スウェーデン発の「Happy Socks」は、プログレス・プライド・カラーのソックスを販売してました

Uber Eatsのあのバッグがレインボーカラーに彩色されてました

こちらはブースではなく来場者の方の素敵なニット帽。写真では伝わりませんけども、ハートの中がピカピカ光っていて素敵でした

 
 

大盛り上がりだったステージイベント

 12時にはMCのベビーヴァギーさん&山田なつみさん(TRP共同代表理事)が登場し、ステージイベントがスタートしました。TRPの趣旨の説明や注意事項などを行なったのですが、ベビーヴァギーさんが「説明が多くてごめんね」などと気遣いながらトークしていて、さすがだと思いました。
MCのベビーヴァギーさん&山田なつみさん

 
 続いて、公募アーティスト4組のパフォーマンスが行なわれました。
 トップバッターの東京太鼓倶楽部(旧「浅草橋太鼓組」)のみなさんは、勇壮な和太鼓の演奏を披露。イケメンさんが多く、ファンの方たちも駆けつけていました(残念ながら撮影禁止でした…ので、写真はありません)
 おばけまくらのみなさん、とてもユニークな編成のバンドで、ほのぼ感もあって、可愛らしかったです。


 Siraskaのお二人は公私ともにパートナーだそう。割と見た目とのギャップがすごい、ハードめなロックだったのが印象的でした。

 LIONESSESさんはタイミングを逃して紹介できず…すみません。

 そのほかにも、短編映像作品も2日間にわたって上映されました。
 演劇集団LGBTI東京のみなさんが語る映像、アセクシュアルであったり多様な当事者の方たちが、自身の思いを演劇に重ね合わせて活動している様子がとても生き生きと伝わってきて、とてもよかったです。


 昨年の「レインボーマリッジフィルムフェスティバル」でも上映された短編映画『手のひらのパズル』も上映されていました。


 15:40からは、大人気DIVAユニット「八方不美人」のみなさんが素晴らしい歌とトークを披露しました。TRPのために作った「地べたの天使たち」で幕を開け、「愛なんてジャンク!」「罰をくらえ愛で」というご自慢の恨み節ソングで満場の拍手を浴びたあと、ライブでしかやらないという「夜明けの詩」というしっとりしたバラードを歌い上げ(うっかり感動)、3人がそれぞれパレードへの思いを語ったあと、最後に「そこどいて!」というソウルフルな歌で盛り上げました。


八方不美人のみなさんのライブ、とても素晴らしかったです。超満員で盛り上がってました!


 16:20からは青山テルマさんともコラボしているクィア・アーティスト、Aisho NakajimaさんがTRPのステージに初登場。周囲のホモフォビアゆえにシドニーに渡り、その自由さやLGBTのカルチャーに救われた経験を持つAishoさんは、「未来の子どもたちのために闘い続けたいです」と語りながら、自身のオリジナルの楽曲を(途中で「You Can Light my fire」のパラパラも交えたりというお茶目さも見せながら)パフォーマンスし、時代の先端を行くPRIDE QUEER ARTISTとしての面目躍如となりました。
TRP初登場のAisho Nakajimaさん。クィアでGlamorousなパフォーマンスを披露してくれました(写真提供;TRP2023)

 
 16:50、おもむろにスタッフの方がステージ上の長机にたくさんのヅラを並べ(笑)、お待ちかねのミラクルひかるさんが登場。工藤静香さんのモノマネをしながら「Cocomiも(ステージ横に設置された)『変わるまで、続ける』の裏でフルート吹いてくれてます」と言って笑わせたり、ユーミン、JUJUさん、広瀬香美さんなどみんなの大好きなアーティストのモノマネを次々に披露してくれて、大いに楽しませてくれました。
今回も大いに笑わせてくれたミラクルひかるさん、ありがとう!(写真提供;TRP2023)

 
 17:30、本日のトリをつとめる東京ゲゲゲイが登場しました。スケジュールの都合もあってTRPになかなか出演できず、今回が5年ぶりだそうです。以前一緒に出ていた女性のダンサーさんたちは卒業し、今回はMikeyさんと新しいダンサーさんたちでしたが、独特な世界観は健在で、「かもめが翔んだ日」など歌謡曲のカバーを中心にしたパフォーマンスをハイクオリティな映像とともに披露してくれました。特に「生産性がどうらたこうたら言うけど/しなくちゃいけないことなにもない/今夜SEXしようよ/生産性なくても/僕たちは今夜/SEXしようよ」という(新曲の「SEXしようよ」)が素敵でした。シビれました。
東京ゲゲゲイのMikeyさん、今年も最高!でした。(写真提供;TRP2023)

 

渋谷の街で開催されていた展覧会

 ずっと立ちっぱなし、歩きっぱなしで「足棒」でしたが、TRPの余韻に浸りながら、渋谷の街に向かいました。

 渋谷パルコは、大きなレインボーフラッグを何枚も、公園通りに面した(たぶん正面の)エントランスに掲げてくれていて、素直にうれしかったし、元気が出ました。B1の(昨年、カナイフユキさんの個展が素晴らしかった)GALLERY Xに行くと、「あいとあいまい」プロジェクトの一環として森栄喜さんの作品が展示されていました(会期中には森さんの朗読をはじめ、「夜へ急ぐ人」の友川カズキさんやドラァグクイーンのMoche Le Cendrillonさんなど、様々な表現者が会場を訪れ、ライブ・パフォーマンスを披露したり、カンファレンスを開催したりしていたそうです)




 
 渋谷モディにもレインボーフラッグが掲げられ、1階の入口を入ってすぐ左手のスペースで「私たちだって "いいふうふ" になりたい展 ㏌ 渋谷2023」が開催されていました。昨秋は南青山でKANE&KOTFEのお二人の結婚式も含めた大々的なイベントを行なっていましたが、今回は小さめのスペースで、ダイジェスト的な感じの展示でした。ちょうど、主催するカラフルブランケッツのお二人にもお会いできたのですが、場所柄、ものすごくたくさんの方に観ていただけているそうで、とてもよかったです。



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