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レポート:やまがたカラフルバレード
2022年10月30日、山形市で初のプライドパレード「やまがたカラフルバレード」が開催され、全国から集った約170名の方々が市内をカラフルに行進しました。(VENさんによるレポート)
山形でのパレード開催を祝い、JR北山形駅の小便小僧がレインボーに「衣替え」というニュースでもお伝えしたように、10月30日(日)に山形市で初となるプライドパレード「やまがたカラフルバレード」が開催されました。このパレードは、山形県初というだけでなく、東北六県の全県でパレードが開催される(全国的に見ても、全県で開催された地方はまだなく、東北地方が初めて)という素晴らしい偉業の達成をも意味します。編集部の後藤が行けなかった代わりに(日本でいちばんたくさんパレードに参加している)VENさんが参加し、レポートを届けてくれました。
VEN
岐阜県在住のゲイ(50代)で、1994年の日本初のプライドパレードから現在に至るまで、全国で開催されるプライドパレードのほとんどに参加し、自身のPRIDEを示しながら地方のパレードも応援してきた方で、その参加回数は100を超えています(おそらく日本一)。2006年の第10回レインボーマーチ札幌のステージでは、全10回に参加したとして「皆勤賞」を授与されています。「愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会」や「性別や性的指向・性自認に基づく差別を根絶する愛知アクション」にも参加しています。
今年は東北各地でパレードが開催されました。そのトリとなる「やまがたカラフルバレード」が10月30日に山形市で開催されました。山形県での開催は、初めてとなります。
今年のいわてレインボーマーチに参加した際、山形市議の松井愛さんから「どうしても今年、山形で開催したい」とお聞きしていました。山形のLGBTQコミュニティでご活躍されていた方が今年の春、亡くなられ、悲しみのなか、その方の思いを引き継いで、パレードを開催したかったとのことでした。
松井さんは今年東北地方で行なわれたパレードに参加していただけでなく、「東北アライ議員ネットワーク」を結成し、アライとして日々、LGBTQのために頑張ってくださっています。
なお、「やまがたカラフルバレード」は松井さんと、山形大学学生・教職員有志による「多様な性」について知る・話す・聞くための交流会「カラフルcafé」を主宰している池田弘乃山形大准教授のお二人が立ち上げました。
10月30日(日)13時、集合場所である山形駅近くの第二公園に到着。東北各地の団体の方々、新潟プライドパレードの方々、東京トランスマーチの方々、ぷれいす東京の方、「キリストの風」集会の方、カップルらしきお揃いの上着を着た方々、大阪の岸和田で「レインボーカフェin岸和田」という当事者支援の場をつくっている産婦人科医の方(来年3月5日、パレードも企画しているそうです)など、全国から様々な方たちが集まっていました。
空には重い雲が立ち込め、雨がポツポツと降ってきました。天気を心配しながらも、オープニングイベントが始まりました。共同代表の方たちがご挨拶し、注意事項の説明などがあり、パレードに向けて整列を始めました。
14時にいよいよ、パレードがスタートしました。その頃には雨も上がり、青空が広がり、陽射しが出てきました。
参加者のみなさんの笑顔が輝いていました。
パレードの一行は花笠祭りでも使われるメインストリート・国道112号線を意気揚々と行進します。沿道からレインボーフラッグや手を振ってくれる方もいらっしゃいました。
パレードで掲げられていたのぼりの「同性パートナーシップを山形に」「多様な性を認めあえる社会をめざして」という言葉は、松井さんの亡くなった友人の方がいつもおっしゃっていたことだったそうです。松井さんは、その方が作られた衣装を着てパレードに参加していました。
沿道の方にお話を聞くと、「山形でこのようなパレードを見て、驚いています」「私は当事者ですが、地元で参加はできないので友達と見に来ました」といったコメントが返ってきました。
新宿から来てパレードに参加していたカップルのうちのお一人は、「故郷の山形でパレードがあることを知り、うれしくてパートナーと参加しました。山形の友達も誘いましたが、地元で顔出しができない人が多く、その友達の分も自分たちが歩きました。パレードの最中、マンションの高層階のベランダから手を振ってくれる人もいて、嬉しかったです。それから、今日は母も一緒に参加してくれました」と語っていました。
そのお母様は、「息子のパートナーさんともお会いでき、今日はパレードにも一緒に参加でき嬉しかったです」と語りました。パレード前夜はご実家で一緒に過ごされたそうです。
パートナーさんも、パレードを楽しそうに笑顔で歩いていらっしゃいました。
みなさんのお話を聞いて、心が温かくなりました。
いろんな方たちの思いや笑顔が詰まったパレードも、文翔館前広場でゴールとなりました(文翔館は大正期に建てられた英国近世復興様式の建物で、国の重要文化財です。もともと山形旧県庁舎および県会議事堂でしたが、修復後、山形県郷土館となっています。映画の撮影に使われたこともあるそうです)
美しい文翔館の建物をバックに、エンディングイベントが行なわれました。東北各地をはじめ、新潟、東京の団体の方たちや、ご参加いただいた議員のみなさんが一言ずつスピーチしました。それから山形市男女共同参画センター「ファーラ」のみなさん、松井さん、実行委員の方々、共同代表の方などがスピーチしました。最後に参加者みんなで記念撮影を撮りました。
松井さんはスピーチの中で「当事者かそうでないかという線引きや分断を越え、誰にとっても住みやすい山形になることを願っています」とおっしゃっていました(パレードを開催するにあたり、「実行委員会に当事者はいるのか」と言われたこともあるそうです…。地元ではまだまだパレードに参加できる当事者の方は少ないかもしれませんが、「参加できなくても、パレードが開催されるだけで心強い」とおっしゃる方もいらっしゃいますし、そんな方のためにもパレードが開催され、続いていってほしいと思いますし、今回、パレード開催を実現してくださった松井さんと池田さんには、心から敬意を表します)
パレードの後は、場所を変え、アフタートークも行なわれました。その場に参加した方々には、今回のパレード開催にあたり、山形の老舗和菓子屋「乃し梅本舗 佐藤屋」に特注した「虹ノムコウ」というお菓子もプレゼントされたそうです。
最後に、私事ではありますが、山形のパレードへの思いについて、お伝えさせていただきます。
1994年の日本初のパレードやレインボーマーチ札幌などで一緒に歩いていた山形在住の友人が、2020年に亡くなりました。もし生きていたら(地元なのでもしかしたら歩くことはしなかったかもしれませんが)きっと開催を喜んでいただろうなと思います。彼はきっと空の上から応援してくれているだろうなと思いながら、今回のパレードに参加しました。
(取材・文・写真:VEN)
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