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レポート:東京トランスマーチ2022
11月12日(土)、新宿中央公園水の広場で東京トランスマーチ2022が開催されました。昨年の倍となる約1000名の方たちが参加し、熱い盛り上がりを見せました。トランスジェンダーの方が輝き、アライのみなさんの支援の気持ちと響き合う、素晴らしくも感動的なPRIDEイベントでした。
昨年11月20日(国際トランスジェンダー追悼の日)、日本初のトランスマーチ「Tokyo Trans March 2021」が開催され、約400名の当事者+アライの方たちが新宿の街を行進しました(なぜトランスマーチが必要なのか、どのような意義があるのか、については昨年のレポートをご覧ください)
今年も11月20日に開催予定でしたが、この日、会場の新宿中央公園水の広場で都のイベントが行なわれることになり、会場を変更するのではなく日程を11月12日(土)にずらし(都内でこのような規模のパレードができる会場は限られていて、新宿となるとここ以外に選択肢がないのです)、その代わりアフターパーティは予定通り20日に行なうというかたちで開催されることになりました。今年は広場にブースも出展され、また、フロートも4台出ることになり、昨年よりも本格的な、大がかりなかたちで開催できそう、とのことで、よかったと思っていたのですが、警察のほうから、参加人数が750名を下回る場合はフロートの数を減らすというお達しがあったそうで、事前の参加登録を呼びかけるアナウンスが直前までなされていました(詳細はこちら)。主催者の方たちも気を揉んでいたことと思います。
しかし、そうして迎えた当日は、天気も最高によく、予想を超える1000名もの参加者(その多くはアライの方たちでした)が集まり、トランスジェンダーの方が輝き、アライのみなさんの支援の気持ちと響き合う、素晴らしいプライドイベントになりました。
レポートをお届けします。
(取材・文:後藤純一)
リレースピーチ&ブース出展
11月12日(土)は、よく晴れて、ちょっと暑いくらいの陽気で(あわてて夏用のキャップを引っ張り出しました)、これ以上ないくらいの絶好のイベント日和となりました。11時過ぎに会場の新宿中央公園水の広場に着くと、人出はまだそんなに多くなかったものの、広場にブースがたくさん立ち並び、ステージではリレースピーチが行なわれていました。アロムさん&大将さんのMCで、新潟プライドパレードの主催者の方や、青森レインボーパレードの岡田実穂さん、新宿区議の高月まなさんらがスピーチし、黒田美呼さんのライブが行なわれ、再びリレースピーチとしてジャンジさんやMizuki Tsuji(DJ MiZUK!)さん、一般社団法人Get in touchの東ちづるさん&キサブローさん、東海林監督、尾辻かな子さん、みどりさん、西原さつきさんらがスピーチしました。
広場には、乙女塾&スタジオさつきぽん、サウザンブックス、プレカリアートユニオン、世界のプライド関連団体、トランス関連ZINE&書籍即売会、Aixx’s-エクシス、なないろほたる、ハートをつなごう学校、トランスジェンダー生徒交流会、Label X、TransgenderJapan、super-KIKI、WAIFU、プライドハウス東京、Complex、Get In Touch、賛同団体ブース、niji-depot、SOLUNA ESPERANZA、FTMマガジン『Laph FTM』、FTM BAR 2’s CABINというたくさんの、多彩なブースが出展され、お祭り感がありました。
パレード
日差しや暑さがピークに達した13時半頃、パレードに向けて整列が始まりました。
今回は昨年とルートが異なり、出発地点が甲州街道のほう(角筈橋付近)だったため、そこまで歩いて移動し、フロートのトラックと合流して出発、というかたちでした。
第1フロートはTGJPの「PROTEST&ANTHEM」。クリスティーナ・アギレラが多様な人々の美しさを讃える名曲でLGBTQコミュニティに幅広く支持されている「beautiful」でスタートし、パレードのアンセムを次々に流しながら、フロートの上でアロムさんと「ひげガール」のベルさんが華やかに盛り上げました。
第2フロートはQueer & Femme DJ party「WAIFU」。テクノに乗せて、ドラァグクイーンが「トランスジェンダーの権利は人権です」「トランス女性は女性です」「トランス男性は男性です」「no LGB without the T」といったメッセージをコールする、とてもカッコいいフロートでした。
第3フロートは「乙女塾&スタジオさつきぽん」。軽快な音楽に乗って、西原さつきさんやダイアログ瞬さんがメッセージを読み上げていくスタイルの、かわいらしくも素敵なフロートでした。
第4フロートは性同一性障害特例法の子なし要件が最高裁で「合憲」とされたことを契機に始まった「#ありえないデモ」。「私の性別は私が決める」「非婚要件ありえない」「子なし要件ありえない」「手術要件ありえない」「生きてるうちに差別をやめろ」といったメッセージを力強くコールしながら行進しました。最もデモ(PROTEST)色の濃いフロートながら、最もたくさんの方が参加し、プラカードを掲げたりしながら歩いていました。
どのフロートも当事者の方が乗り、権利回復や差別禁止を訴えるメッセージを発信していたのが素晴らしく、これぞPRIDE!と感動を覚えました。
出発地点辺りで、ちょっとお年を召したトランス女性の方が「みんなありがとう!」と書いたプラカードを参加者に向けながら手を振っていた姿を見て、胸が熱くなりました。様々な事情で歩くことはできなかったのだと思われますが、トランスジェンダーのために歩いてくれる方にせめてお礼を言いたいという気持ちが伝わってきました。
新宿駅の南口(ルミネ、NEWoMan、バスタの辺り)はものすごい人出でしたし、歌舞伎町もそうでした。道行く人々にアピールするという点でたいへん効果があり、また、二丁目近くを通るという意味でも、いいコースだったと思います。
フィナーレ
帰着後、主催者と賛同団体のみなさんがステージ(トラックの荷台)に上がり、一言ずつ話し、終幕となりました。主催したTransgenderJapanの浅沼智也さんは「去年400人も来てくださったのもうれしかったけど、今年は1000人も…本当にありがとうございます」と、畑野とまとさんは「自分たちではできないこともありましたが、たくさんの方の協力・応援で実現しました。本当に感謝しています」とご挨拶しました。たくさんの賛同団体の方々も一言ずつ語っていたのですが(すべてを紹介できなくてすみません)とあるトランスジェンダー団体の方が「独りじゃないって思えました」と感慨深げに語っていらしたのが沁みました。MCをつとめたアロムさんは「トランスジェンダーという傘の下にいろんな人がいること、ドラァグクイーンとトランスジェンダーは切っても切れない関係の歴史があることを教えていただき、私もトランスジェンダーと自認できるようになりました」と、大将さんが「意見が食い違うところもあるだろうけど、目標はそんなに違わないだろうし、連帯できるところでは連帯し、大きな力と闘っていきましょう」とおっしゃっていて、とても素敵でした。
本当の最後の最後に、ボランティアスタッフのみなさんがステージ前に並び、感謝の言葉と温かな拍手が贈られました。おそらくストレートだと思われる男性の方たちが(アンチの人たちが攻撃してくる懸念もあったので)警備に当たってくれたりもしていて、素晴らしいと思いました。
例えばこれまで開催されてきたプライドパレードのほとんどは、実行委員会にせよボランティアスタッフにせよ、LGBTQ(性的マイノリティ、クィア)の当事者が中心になって運営されてきたわけですが、トランスマーチに関しては、トランスジェンダーの当事者よりもシスジェンダーのアライの方たちのほうが多かったと思います(LGBなど同じ性的マイノリティのアライはもちろん、ストレートのアライの方もたくさん見受けられました)。ネット上で悪意のコメントや誹謗中傷に晒され続けているトランスジェンダーの方たちを守ろう、支援しようという気持ちで、こんなにもたくさん集まり、こんなにも大きな、意義あるイベントを実現し、無事に終えることができたということ、本当に素晴らしいと感じます。あの場に来られた全てのみなさんに拍手&握手。しみじみと感動しながら、帰路につきました。
2回目となる東京トランスマーチは、めでたく大成功に終わったと言えそうですが、トランスジェンダーの方々の日々の苦境や困難は続いていきます。こちらの特集でもお伝えしていますが、今月はトランスジェンダーへの理解や共感、支援の気持ちを深められる映画上映イベントなども多数開催されますので、ぜひみなさん、ご参加ください。できるだけ当事者のリアルにふれていただき、悪質な差別主義者の声に惑わされないよう、よろしくお願いいたします。
<関西でもトランスマーチが開催>
11/20(日)、兵庫県明石市で「トランスマーチ明石」が開催されます。
13:00明石公園東芝生広場集合、13:30東門出発、15:00解散予定
※雨天決行・荒天中止
詳しくはこちらをご覧ください
- INDEX
- 特集:11月20日は国際トランスジェンダー追悼の日
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