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東京・大阪の「イソップ」でLGBTQ小説を無料でお持ち帰りいただける「クィアライブラリー」イベントが開催
東京・大阪の「イソップ」でLGBTQ小説を無料でお持ち帰りいただける「クィアライブラリー」イベントが開催。新宿店の様子をレポートします。
オーストラリア創業のスキンケアブランド「イソップ」の新宿店で10月16日まで、LGBTQ+(性的マイノリティ)にまつわる小説を集めたイベント「イソップ クィアライブラリー」が開催されています。
「イソップ クィアライブラリー」は、イソップがLGBTQ+コミュニティへのサポートを示すために2021年から米国やカナダ、ドイツなどで催してきた活動で、日本では今回が初開催となります。クィアについて語り合うことが持つ変革の力、人々の心を広げ、ひとりひとりに勇気を与え、コミュニティやその仲間たちを束ねていく力を信じて立ち上げられたライブラリーです。
期間中は店舗から製品をすべて下げ、その代わりにLGBTQ+にまつわる小説を棚に並べたライブラリーを運営します。イソップのお客様に限らず、興味のある方はご自由に店頭で本をお読みいただき、気に入った本を1冊、無償でお持ち帰りいただくことができます。
店内に入ると、「これ全部、LGBTQに関する本なの?」と驚かされることでしょう。感動すら覚えるかもしれません。
当事者の方は思春期の頃、図書館でも、本屋でも、同性愛を肯定的に語る本を見つけることができず、悲しい思いをしたことがある方も少なくないと思います(辛うじて見つけた心理学の本などには「異常性欲」とか「性倒錯」、「思春期の頃の一過性の」などと書かれていたり。ランボーの『地獄の季節』を読んで、”異端者”である自分には地獄のような未来しかないのだなと思わされたり…)。そういう意味でこのクィアライブラリーはLGBTQにとっての「夢の本屋」のようなものです。
今ではLGBTQの生や性を描いた小説が世の中にたくさんあふれていて、文学賞の候補になったり、受賞したりすることも珍しくなくなっています。
しかし、このような状況になる前、同性愛がタブーであった時代から“変態”だと白眼視されることを恐れずに勇気を持って同性愛を描いてきた作家がいたということも忘れてはいけません。40代以上の方であれば、三島由紀夫の『仮面の告白』や『禁色』、川端康成の『少年』、福永武彦の『草の花』あたりをご存じの方もいらっしゃることでしょう。今回のライブラリーには、先人へのリスペクトとして、そうした作品も含まれています。日本のLGBTQの作家としてエポックメイキングな受賞となった藤野千夜さんの『夏の約束』(芥川賞、1999年)、伏見憲明さんの『百年の憂鬱』(文藝賞、2003年)なども入っています。
この「イソップ クィアライブラリー」の本を選んでいるのは、性的マイノリティが活躍する小説について語る「読書サロン」を主宰している安田葵さん。「子どもの頃は世間にあふれる異性愛前提の物語がつまらなくて、ほとんど小説を読まなかった」そうです。「でも、大学生の時に一冊のレズビアン小説に出会った。『私に読まれるために書かれた本だ』。人生が、世界が色を帯びた瞬間だった」「当事者のほとんどは幼少期から自分以外のクィアに会ったことがないなかで、『これは私の話だ』と思えることには大きな意味がある。非当事者にとっても、小説を通して他者の物語に没頭できる時間は大切なのでは」(朝日新聞「これは私の物語 日本初の「クィアライブラリー」が集めた文学作品」より)
そうして選ばれた約60冊の本が、色味なども意識しながら店内に美しく陳列されています(全作品のリストはこちら)
店内には、鮮やかな書籍のディスプレイのほかにも、中国系アメリカ人のクィア・アーティスト、ジェフリー・チャンが今回イソップのために制作した作品も展示されています。ふだんは手洗い用に使われているシンクの中に、「Aesop Queer Cities Guide」という小冊子がお持ち帰り用にたくさん置かれているのですが、そちらにもジェフリー・チャンの絵が用いられています。
新宿店は16日まで、心斎橋店は来週開催です。ぜひ足をお運びください。たくさんの本を読みながら、お気に入りの一冊を選んでみてください。
(なお、イソップ新宿店の場所はFlagsの斜め向かいです。NEWoManのほうではありませんので、ご注意ください)
イソップ クィアライブラリー
イソップ新宿店
2022年10月12日(水)~10月16日(日)
12:00-20:00
イソップ心斎橋店
2022年10月20日(木)~10月24日(月)
12:00-20:00
取材・文:後藤純一
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