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レポート:金沢プライドウィーク2022

9月16日〜19日、4日間にわたって開催された金沢プライドウィーク2022のレポートをお届けします。

昨年、北陸初のプライドイベントとして金沢プライドウィークが開催され、(コロナ禍の影響で日程変更を余儀なくされたにもかかわらず)初回にして大成功を収めました(レポートはこちら)。今年も9月16日(金)〜19日(月祝)の4日間にわたって金沢プライドウィーク2022が開催されました。2回目となる今回は、金沢が誇る伝統文化の数々とコラボし、昨年を上回る大勢の方々がパレードを歩き、ドラァグクイーンと行く観光ツアーなども行なわれ、実に楽しく、充実した、素晴らしい4日間となりました。レポートをお届けします。
(取材・文:後藤純一)



1日目:9月16日(金)

HIV/性の健康 トークセッション

 
 16日(金)の夜、昨年と同じ片町(繁華街)のパーティスペース「JIM HALL spazio」(松中権さんの親戚の方のお店で、趣旨に賛同して会場提供してくださったそう)を会場に「HIV/性の健康 トークセッション」が開催されました。「地元地域在住のHIV陽性者および陽性者支援団体、啓発団体、医療/製薬関係者の方をお招きし、HIV/STIの最新の情報や実際の治療と生活、HIV/STIへの啓発と差別・偏見の解消につながるようなトークセッション」で、後半は八方不美人のお二人のライブでした。お酒を飲みながらくつろいだ雰囲気で楽しめるイベントでした。
 初めに感染症専門医で日本エイズ学会指導医でもある渡邉珠代さんとぷれいす東京の生島嗣さんから、PrEPや月に1回の注射ですむ治療薬などHIVに関する最新の情報についてお話がありました。
 その後、松中権さんの司会で、生島さん、エスムラルダさん&ちあきホイみさん(八方不美人)、奥村兼之助さん(一般社団法人金沢レインボープライド事務局長)による「地方においてスティグマをなくしていくには」というパネルトークが行なわれました。 
 後半は、八方不美人のエスムラルダさんとちあきホイみさん(ドリアンさんは札幌に行っていたので合流できず)によるライブ・パフォーマンス。ソロ曲も含めて5曲を披露したあと、アンコールで『地べたの天使たち』というプライドソングが歌われ、ファンの方も大満足な、楽しいライブ&トークになりました。



 

2日目:9月17日(土)

LGBTQ+映画上映会

 2日目の17日(土)は、ホテル「EIGHT POINT INN KANAZAMA」のカフェ&バーで『ジェンダー・マリアージュ 〜全米を揺るがした同性婚裁判〜』『I Am Here 〜私たちはともに生きている〜』『私はワタシ over the rainbow』という3本のLGBTQ+映画の上映&トークが行なわれました。このイベントは金沢大学のLGBTQ+&アライ学生団体「SELF」のみなさんが中心になって運営していたようです。

 『I Am Here 〜私たちはともに生きている〜』のトークセッションは、「SELF」の方が司会をつとめ、監督の浅沼智也さん(トランス男性)とダイアログ瞬さん(トランス女性、「新宿ダイアログ」スタッフ)というトランスジェンダーの方たちが登壇し、映画でも伝えられていたトランスジェンダーのリアリティについて話が深められました。浅沼監督は「当事者目線の映画がないので、自分で作った。トランスジェンダーの可視化や人権、当事者のエンパワーメントが主眼」「この映画に登場した人たちが全てではありません。僕は性別適合手術を受けたけどそれで人生薔薇色になったわけではありません。いろんな問題があります」と語り、瞬さんは「トランス女性はあまり集って話す機会がないのですが、いろんな方の声を聞けて勉強になりました」「LGBTQのことを語るとき、明るく描かなきゃっていう圧のようなものがあると思いますが、自分らしく生きていけない死にそうな人たちのこと、トランスジェンダーの生きづらさを伝えていてよかったです」と語りました。最後に浅沼さんは「僕らは昔から共に生きてます。SNSでのバッシングに苦しむ方もいると思いますが、仲間がいるということを忘れないで。あなたは素敵です。自分の生き方を否定せずに胸を張って」と、瞬さんは「全ての人が自分のために生きています。周りの目とかどうでもいい。夢を叶えて。自分を労わりながら生きて」と語りました。


 続いて『私はワタシ over the rainbow』ですが、5年前にレインボー・リール東京で観たときとはまた違う感慨がありました(少し出演者も追加され、上映時間も長くなっていました)。何よりも、メインアクターである長谷川博史さんが今年亡くなられたので、追悼の気持ちが強かったのですが、長谷川さんが女装して詩を朗読するシーンの「他人様に何と言われようと、世間様に後ろ指をさされようと」とか「私の血は喜びの血、生きる力を与える」「幸福の血」といった言葉には、改めて魂が揺さぶられるような感動を覚えました。
 上映後のトークショーでは、「まぜこぜの社会」を謳って活動する一般社団法人Get in touch代表の東ちづるさん、映画にも出演している「GOLD FINGER」の小川チガさん(金沢にルーツがあるそう)、「SELF」の方も登壇し、映画について語りあいました。東さんがこの映画を製作しようと思ったきっかけは「レインボーリールを観に行ったLGBTQの人たちに『自分たちをリアルに描いた映画がない、ねえさん作ってよ』と言われたこと、長谷川さんに出会って、生きているうちに撮りたいと思ったこと」だったそう。そのおかげで、こうして長谷川さんの生前の姿を映像として観ることができてよかったですし、東さんも「撮ってよかった」とおっしゃってました。それから、東さんが、とあるトランスジェンダーの方が恋人にカミングアウトした際、たまたま相手の方がこの映画を観ていたおかげで理解してもらえたという話を聞いて感動で「泣いた」と語っていたのも印象的でした。50名を超えるLGBTQが登場する『私はワタシ over the rainbow』、今後も上映され続け、多くの人に観ていただけるといいなと思いました。
 



にじのまカフェ特別版

 会場の「ハイアット ハウス 金沢」は超満員で、熱気を感じさせました。
 「にじのま」は、金沢の古民家で、多様な性について気軽に語れる場として数年前から開かれているお茶会で、特に自身のSOGI(性的指向・性自認)について、また周囲の偏見や無理解について悩んでいるような若い方たちなどが安心して集える場として大切な役割を果たしてきました(現在、この「にじのま」を常設化しようとするプロジェクトが進行中です)。プライドウィークに開催される「にじのまカフェ特別版」は、豪華ゲストを迎えたトークイベント&交流会で、今年は小島慶子さん&ブルボンヌさんがMCを務め、ロバート キャンベルさん、阿武虎さんらをゲストに迎え、開催されました。

 最初に、今回「ハイアット セントリック 金沢」「ハイアット ハウス 金沢」がPRIDEキャンペーンで提供していた「True Colors」というカクテル/モクテルが登壇者に振る舞われました。両ホテルの総支配人である高橋慶氏からのご挨拶もありました。
 トークセッション第一部。ゲストの1人目は、アライとして松中権さんに協力し、金沢でのパレード実現にも大きな役割を果たした永井みきこさん(元国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット事務局長。先の金沢市長選にも出られています)。昨年パレードに参加してみて、その楽しさやインパクト、メディアを通じての発信力などをまざまざと感じたと語っていました。
 2人目のゲストは、25年も前から(時に飲みかけのペットボトルを投げつけられたりしながら)金沢の地でドラァグクイーン文化を守り続けてきた阿武虎(アブドラ)さん。昨年初めてパレードに参加してみて、「絶対に罵声浴びると思ってたのに、意外とみんなに手を振ってもらえたりして驚いた」とのこと。「沿道でずっとフロートについてくる若い同性カップルがいて、私の子どもくらいの年で、なんか母性に目覚めちゃった。私も変わらなきゃと思った」という素敵なコメントをくださいました。「お店のお客さんも、今年は一緒に歩きますって言ってくれたり。変わりましたね」「一方で、ご年配の方の中には“余計なことをするな”とおっしゃる方も多い。私はその間をつないでいこうと思います」

 休憩をはさんで第二部には、あのロバート キャンベルさんが登場。ブルボンヌさんが「ドラァグクイーンもかすんでしまいそう」とコメントするほどのオシャレないでたちで登場し、今回金沢レインボープライドが頑張った伝統産業とのコラボのことを絶賛するトークを繰り広げました。曰く、「金沢に来てビックリ。東京のプライドは企業の協賛がスゴいけど、金沢は今歩み始めたばかりなのに、関心した。伝統文化とレインボーの掛け合わせを体験して、とてもチャーミングでクリエイティブで素晴らしいと感じました。400年の歴史ある和菓子屋や加賀友禅、金沢の人々のアイデンティティのコアのところ、一丁目一番地、お爺さんの世代からの空間で無理なく協働する。綺麗じゃないですか? 虹色って知ってますか?と会話が生まれる。幸せの掛け算ですね」(こちらの記事にあるように、キャンベルさんはこの日、老舗和菓子店「森八」でレインボーの上生菓子作りを体験していました)
 ブルボンヌさんがときどき笑いをとるトークをはさみつつ、小島さんはしっかりしたコメントでいろいろフォローしてくださって、とても有意義な、楽しいトークイベントとなりました。







3日目:9月18日(日)

プライドブランチ
 
 9月18日(日)、一時は雨が降る予報も出ていて、傘買わなきゃいけないかな…と思ってたのですが、当日は見事に晴れて、真夏かと思うくらいの暑さになりました(金沢のみなさんの日頃の行ないがよすぎるんだと思います)
 
 昨年に続き、しいのき迎賓館1Fにあるフレンチレストラン「Café&Brasserieポール・ボキューズ」で美味しい料理をいただきながらプライドを祝うイベント「プライドブランチ」が開催されました。
 料理が美味しいのはもちろん、シェフの方や共同代表のお二人からのご挨拶もあり、セレブ感も味わえて、とても気持ちよく過ごすことができました。






 

パレード(1)出展ブース

 金沢プライドパレード、昨年は「いしかわ四高記念公園」が集合場所だったのですが、今年はしいのき迎賓館横の「しいのき緑地」が会場でした。トイレや喫煙場所にもすぐ行けるし、キャストのみなさんも着替えてすぐに降りてこれるし、何かと便利な会場です。ここ以外には考えられない感じです(ちなみにこの会場を予約できる日程が9月18日だけだったので、札幌のパレードと重なることになってしまったんだそう。こればっかりは仕方ないですよね…)
 
 ステージに先立ち、企業や団体のブースは10:00にオープンしました。昨年はほとんどなかった企業のブースも増えて(しかも金沢市民なら誰でも知っている由緒ある和菓子屋の「森八」さんなども参加)、多彩でにぎやかでした。
 ステージが進行している最中の取材でしたので、すべてのブースを回ることはできなかったのですが、以下にご紹介いたします。













パレード(2)ステージイベント

 10:30にはステージにMCの小島慶子さん&ブルボンヌさんが登場し、北陸出身アーティストのKENJIさん、八方不美人のエスムラルダ&ちあきホイみさん、北陸出身アーティストのBLUE AREAさん、そして天道清貴さんによるライブ・パフォーマンスが行なわれました。
 そして今回、箏の明日佳さんの演奏のときに(それだけでも素晴らしい演奏でしたが)、黒留袖のファッションショーが始まり、3名のミス加賀友禅(現役・歴代)に続き、ちあきホイみさん、エスムラルダさん、そして阿武虎さんという3名のドラァグクイーンが和装モデルにふさわしい堂々とした立ち居振る舞いでショーを行ない、伝統文化とゲイカルチャーのコラボという点でも感動的でしたし、ゲイテイストでもあり(黒留袖にアガるのってゲイならではじゃないかと思います)、素晴らしかったです。金沢だからこその企画。2年目でこれを実現したこと、本当にスゴいです。拍手。
 ゲストのロバート キャンベルさんは、伝統文化とLGBTQの掛け合わせをたいそう褒めていらっしゃいました。
 金沢市長の村山卓氏、石川県知事の馳浩氏、金沢大学副学長兼ダイバーシティ推進機構副機構長の志村恵氏、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長の渡辺綱男氏によるスピーチもありました。
 石川県観光PRますこっとキャラクターの「ひゃくまんさん」が登場したり、小泉智貴さんが今年のTシャツ・デザイン・コンテストの最優秀デザインを評するシーンもありました。
 もう一点、これはとても素敵だなぁと思ったのは、日程が重なってしまったさっぽろレインボープライドとのエール交換のシーンがあって、金沢の共同代表のお二人が、さっぽろレインボープライドのスタッフTシャツを持ちながら、いただいたメッセージを読み上げていたのでした(札幌でも同じことが行なわれたはず)
 約2時間にわたるステージイベントを終えた後、参加者のみなさんで記念写真を撮り、大急ぎで整列し、13:00過ぎにパレードがスタートしました。


















パレード(3)元気にパレード!

 昨年の金沢プライドパレードは10月開催だったにもかかわらず真夏のような暑さで(今回も暑かったです。30度近くありました)、5km以上を歩き、体力の限界を感じるレベルだったのですが、今年はコースも少し短くなり、熱中症対策も呼びかけられていて(チェリオさんの「ライフガード」がまさに命を救ってくれました)、みなさん元気に歩けたと思います。
 
 今年はフロートが3つに増えて、レインボー(DJ MAYOさん、ブルボンヌさん、阿武虎さん、ゲブ美さん)がダンスクラシック、ピンク(DJ SHOさん、バビ江ノビッチさん、エスムラルダさん、ちあきホイみさん)がクラブミュージック、トランスジェンダーフロート(DJ MiZUK!さん、DJ SYUNさん、ブッチャー・エルナンデスさん、花華院姫子さん、スプラッシュ浣子さん)がJ~POP&クラブミュージック。音楽の多様さも、乗ってる方の多様さも光るラインナップで素晴らしかったです。
 参加者のみなさんもすごく楽しそうに歩いていて、あらためて「音楽の力」というものを感じました。音が届かないエリアはほとんどなかったんじゃないでしょうか。120点のパレードでした。
 沿道のみなさんや、すれ違う車やバスの方などもたくさん手を振ってくれて、反応があたたかくて、ものすごく「受け容れられてる」感がありました。















 音が楽しくて(年甲斐もなく)路上で踊ったりとかしていたせいで、会場に戻ってきたとき、突然ふくらはぎがこむらがえりを起こしました(なので、本当はしいのき緑地の周囲をぐるっと回ってゴールなのですが、ショートカットして、用水路に足をひたして痛みを和らげていました)
 昨年は約300名が歩きましたが、今年は約480名(1.6倍)がパレードを歩き、1100人がプライドウィークに参加したと発表されました。もういちどみんなで記念写真を撮り、お開きとなりました。そのあとボランティアスタッフの方の解散式が行なわれていました(老若男女、本当にたくさんの方たちがボランティアで働いてくださって…感謝です)
 金沢のコミュニティの結束力を改めて感じさせました。





アフターパーティ

 会場から歩いて数分の「KANAME INN TATEMACHI」というホテルのテラスでアフターパーティが行なわれました(足が痛かったのですが、ゆっくり歩きながら向かいました。幸いソファに座れて、よかったです)
 参加無料であるだけでなく、「KANAME INN TATEMACHI」さんのはからいで、パレードに参加した方全員に1杯ずつドリンクを提供してくださるというサービスをしてくださって、本当にありがたかったです。
 ネットラジオ「ジョソラジ」ミニ公開収録が始まり、ブルボンヌさん、WAKUWAKUサセコさん、よしひろまさみちさんと、ゲストの肉襦袢ゲブ美さんの楽しいトークに大笑いさせていただきました。東京からもファンの方が駆けつけ(ジャニーズのコンサートのようにうちわを作ってきた方もいました)、そんなファンのために「ジョソラジ」グッズがプレゼントされたり、ほのぼの、和気藹々な雰囲気でした。
 本当は最後までいたかったのですが、足が痛かったのと、お腹が空きすぎて体力の限界を感じたので、そのあとの東ちづるさん&小川チガさんのトークセッションと明日佳さんなどのパフォーマンスを観ることなく、帰らせていただきました…(すみません!)




4日目:9月19日(月祝)

 今年の金沢プライドウィークは、(ロバート キャンベルさんも絶賛していたように)古都・金沢の伝統産業×LGBTQのコラボに力を入れていて、それが見事に成功していました。「伝統」というと、保守的でLGBTQとは相性が悪いものというイメージがあると思うのですが、それを覆し、400年もの歴史を誇る老舗菓子司「森八」をはじめ様々な伝統産業のお店がレインボーカラーに塗り替えられ、LGBTQフレンドリーな伝統文化体験プログラムが実施されたり、老舗の銘店を巡るLGBTQバスツアーが開催されたりしました。

「森八」オリジナル上生菓子作り体験
 
 今回企画された「金沢伝統文化レインボー体験」は、「森八」のオリジナル上生菓子作り体験のほか、「加賀友禅 本格彩色体験」「レインボー水引縁起ストラップ作り」「金沢塗り体験」「誰でも簡単!型染ミニトート彩色体験」「陶芸ろくろ体験」など、実に多彩なプログラムが用意されていたのですが、バスツアーの前に、「森八」オリジナル上生菓子作り体験だけ参加させていただきました。
 寛永2年創業、約400年の歴史を誇る加賀藩御用菓子司「森八」。日本三名菓の一つに数えられる「長生殿」でも有名です。そんな「森八」が今回、金沢プライドウィークに合わせてオリジナルのレインボーカラーの上生菓子を作ったり、パレードにもブースを出店してくれただけでなく、パレードの一行が差し掛かるとお店の方たちが外に出て手を振ってくださったりと、本当にフレンドリーでビックリしました。こちらの記事にもあるように、17日には小島慶子さん、ロバート キャンベルさん、ブルボンヌさんらがお菓子作り体験に挑戦し、ニュースになりましたが、私たちも19日には同じようにレインボーカラーの上生菓子作りを体験させていただきました。
 
 取材ということで現場にいて写真を撮ったりするだけの予定だったのですが、女将さんが一緒に作りませんか?と言ってくださって、急遽、私も参加させていただくことに(そのご親切に感謝申し上げます)。名古屋から来られたASTAの方たちが混ぜてくださって、いっしょに和菓子作りを楽しむことができました。
 あらかじめ用意された丸いあんをのばしたり、形を整えたり、レインボーの6色(全てくちなしとか天然の着色料を用いているそう)のあんを細長くのばして並べ、端っこを切って上にのせて、最後に透明な丸いパーツを飾って完成、と職人さんがお手本を見せてくれたのですが、とてもできる気がしませんでした…本当に繊細な作業で、手先が器用だったりセンスがよくないと綺麗には仕上がらないなぁと思い、実際、(料理は毎日のようにしていますが)自分が作ったものは寿司か蒲鉾かという角ばった形で、全く美しくはなりませんでした。どちらかというと「工作」とか「技術」のようなスキルが必要なのかもしれないと思ったり(苦手分野)
 もう一品、ピンクを基調とした花びらのような形のお菓子に挑戦。白と黒のあんを丸めて、棒で切れ目を入れて、黄色と緑のあんを小さくちぎって花粉のようなイメージで真ん中に少しだけ載せるというものですが、切れ目も均等じゃないし、全然美味しそうに見えないシロモノになってしまい…それでも、みんなでワイワイ言いながら作るのはとても楽しかったです。
 最後に抹茶をいれていただいて、和菓子といっしょに美味しくいただきました(自分で作ったものはお土産としてお持ち帰りもできます。金沢レインボープライドのロゴが入った特別な袋を用意してくれました)
 とても楽しく、職人さんのスゴさもわかる、有意義な体験でしたし、何より、「森八」の方たちがとてもフレンドリーで、親切で、その心遣いにいたみ入りました。今度から金沢土産は「森八」にしようと心に決めました。










バスツアー「美味しい金沢プライド巡り」

 「美味しい金沢プライド巡り」は、こちらの記事でも紹介された金沢のLGBTQフレンドリーな旅行会社「UIGI(ゆういぎ)」が主催していて、社長の直海さんやブルボンヌさんがガイドをつとめ(金沢レインボープライドの奥村さんも地元金沢の歴史や文化について話してくれました)、老舗の銘店を巡りながら金沢の魅力を堪能できるような楽しいツアーでした。
 
 10:30過ぎにバスが「森八」まで迎えに来てくれて、ツアーがスタート。ASTAのみなさんやエスムラルダさん、WAKUWAKUサセコさんとその彼氏さん、よしひろまさみちさん、東京から来ていたゲイの友人なども参加していました。
 道中、金沢の街についてのガイドもためになりましたし、「金沢は20分行けば山、15分行けば海」というお話にブルボンヌさんが「ユーミンの『サーフ天国、スキー天国』を楽しめるんですね!」という素敵なコメントを返してくれたり、笑いが絶えませんでした。初めての方とも気さくに話せて打ち解けられるような、終始なごやかで和気藹々としたツアーでした。


 
 最初に、お寺がたくさん集まる地区の中にある発酵食品で有名な400年の歴史を誇る「四十萬谷本舗(しじまやほんぽ)」へ。歴史を感じさせる建物で、趣がありました(掛軸や日本刀などもさりげなく飾られていました。たぶん年代物だと思います)。店主さん自ら、発酵とはどういうことか?といった解説をしてくださって、かぶら寿司、クリームチーズ、大根に身欠きニシンをのせたおつまみ的なものを甘酒といっしょにいただいたのですが、どれも絶品でした。なれ寿司などの発酵ものが苦手な方でもきっと大丈夫だと思います。とてもクリーミーで美味しかったです。









 
 次に、やはり400年の歴史を誇る老舗酒蔵「福光屋」へ。
 酒蔵に入る前に、通りに面して、お水が湧き出ていてどなたでも飲めるようになっているところがありました。白山から湧き出る、地層を通って100年かかって金沢の人々に届く天然のお水です。このお水があるから、この美味しいお酒ができます。でもお水自体は自然の恵みなので、地域のみなさまにも還元したいということで、このようにしているんだそう。入り口にはしめ縄(悪い菌が入らないようにという願掛け)や杉玉(お酒の神である三輪神社の境内の杉。毎年11月に変えます。防腐効果もあるそう)も飾られていました。 
 中に入ると、最初に「福光屋」の日本酒づくりを紹介する映像が上映されたのですが、酒造りの職人である「杜氏」の方たちの中でひときわ精悍な、俳優かと思うくらいカッコいい方に目を奪われていたところ、なんと、上映後にご本人が登場し、会場のゲイの方たちから“黄色い”歓声が上がりました。
 4種類の日本酒を飲ませていただきました。蔵元限定「純米大吟醸 金澤」、「加賀鳶」純米吟醸冷おろし、有機純米酒「禱と稔(いのりとみのり)金紋錦」、純米大吟醸原酒「瑞秀 MIZUHO」という、いずれも名品であることがよくわかる、フルーティだったり、こくがあったり、たいへん高級感のある味わいでした。
 そのあと、1階のショップに移動し、お買い物タイム。「UIGI」さんが日本酒の「加賀鳶」のスパークリングをプレゼントしてくれて、みんなで乾杯しました。シャンパンよりも飲みやすくて芳醇な味わいでした。とても楽しかったです。







 
 最後に、金沢港のほうに移動し、醤油醸造店が集まる大野町という町にある老舗の割烹寿司屋「宝生寿し」へ。日本酒ですっかりゴキゲンになった一行は、贅沢な懐石コース料理に舌鼓を打ちました。こちらも板前さん(イケメンさん)が登場し、食材について説明してくれました。のどぐろ、アオリイカ、バイ貝、カレイの煮付けなど、金沢の豊富な海産物を使った、感動的に美味しいお料理でした。お食事をいただきながら、松中権さんが共同代表のダイアナさんと金沢でどのように知り合ったのかというエピソードを話してくれたり、ドラァグクイーン談義が繰り広げられたり、なごやかに談笑しました。
 「宝生寿し」は建物も趣があってとても素敵でした。
 すっかり満足したツアー客のみなさんは、お店の前で記念写真を撮ったあと、一路、金沢駅へと向かいました。









 
 今回のバスツアーは日本を代表するドラァグMCであるブルボンヌさんがバスガイドということもあって、笑いの絶えない、ゲイテイストなツアーで(ゲイだけじゃなくどなたでも楽しめると思います)、こんなに楽しくて美味しくい、「有意義」なツアーはなかなかないんじゃないかなと思いました。
 企画してくださったUIGIや金沢レインボープライドのみなさんに感謝です。



最後に
 
 これまで月1回開催されてきたLGBTQやその家族・友人、支援者の方たちなどが安心して話したり相談したりできる「にじのま」というミーティングを、金沢の町家を借りて常設化し、いわば金沢版のコミュニティセンターを作ろうとするプロジェクトが現在進行中です(このような場所があると、来年以降、パレードなどのイベントもやりやすくなります)。よろしければぜひこちらをご覧いただき、ご支援をお願いいたします。
 

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