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レポート:TRP2022「プライドフェスティバル」
3年ぶりのリアル開催が実現した東京レインボープライド2022。3日間にわたる「プライドフェスティバル」の模様をレポートいたします。
3年ぶりのTRPのリアル開催、本当によかったですね。
あの代々木公園の会場に着いたときの感慨、本当に大勢の人たちが集まってイベントを楽しんでいる様子、会場に祝福感があふれているあの空気感、ステージでのドラァグクイーンショーやライブ、そして(残念ながらの小雨ではありましたが)3年ぶりのパレード。本当によかったです。何度となく、こみあげる瞬間がありました。ひさしぶりに友人・知人に再会できた喜びの笑顔があちこちにあふれていました。今まで溜め込んできた気持ちが解放され、心から幸せな気持ちになれた方も多かったはず。いつにも増して、喜びがあふれる、素晴らしい3日間でした。
TRPの実行委員やボランティア・スタッフのみなさん、協賛してくれた企業や団体・個人のみなさん、そのほか、運営に協力してくださったすべてのみなさんに感謝申し上げます。
初の3日間開催となったTRP2022「プライドフェスティバル」のレポートをお送りします。
(文:後藤純一)
1日目:4月22日(金)
4月22日(金)、よく晴れた絶好のイベント日和でした。
改装後初めてだったのですが、原宿駅を降りて、代々木公園へと向かいます。平日だから誰もいないかなと思ったのですが、たぶんTRP参加者だなと思われる人たちを見かけました。
会場が見えてくると、ああ本当にTRPが帰ってきたんだなぁという感慨で、胸がいっぱいになりました。ゲートをくぐり、プレスの受付をして、まずは出展ブースをいろいろ回りました。最盛期よりは少ないかもしれませんが、今回もたくさんの団体や大使館、企業、それから飲食店のブースもたくさんありました。原宿側と渋谷側のゲートを入ってすぐのところにプライドハウス東京やLGBT法連合会、プライドセンター大阪などのブースがあり、(野外ステージ前のベストポジションではないものの)目立つような配慮がなされていると感じました。各地のパレードが集まったJapan Pride Networkのブースは野外ステージ前・REDエリアの大型ブースになっていて、よかったと思いました。以下、企業ブースを中心にご紹介します。
15時45分、オープニングで共同代表のお二人、杉山文野さんと山田なつみさんが登場し、ご挨拶しました(ここから最後まで、ずっと手話通訳の方が交代でお話を手話に訳して伝えていました)
16時に「LGBTQと感染症」シンポジウムがスタートしました。
世界中で効果が認められているPrEPという抗HIV薬を服用するHIVの予防法について、もうすぐ厚労省の認可が下りるのではないかと見られていますが、これがどんなものなのか、実際に使ってみた方や専門家の方、LGBTQやセックスワーカーの方たちが話し合う場でした。これまでPrEPといえばゲイ・バイセクシュアル男性のためのもの、というイメージだったのですが、どんな人でも使えるということがよくわかり、目からウロコだったのと、「陽性者も陰性者も抗HIV薬を服用すして予防する時代に」という締めの言葉がたいへん印象的でした。
17時に「LGBTQと法整備」シンポジウムがスタートしました。
(この日、院内集会もありましたが)「結婚の自由をすべての人に」訴訟について、寺原弁護士が、これまでの国の「結婚の目的は生殖だ」「同性愛者だって異性と結婚できるん」「二人で生きていけるのだからよいではないか」などのビックリな主張が、昨年の札幌地裁の憲法違反だとの判決を受けて微修正され、「社会の根幹に関わるから司法ではなく国会で」「同性カップルには生物学的な生殖可能性がない」「社会的実態や社会的承認がない」といった主張になったという解説をしてくれたほか、今後の裁判の予定などを教えてくれました。
LGBT法連合会の神谷さんは、性的マイノリティだとわかったら学校で転校を勧められたという事例や、面接でトランスジェンダーだと言ったら帰れと言われた事例などを紹介し、LGBTQ差別禁止法の必要性や、昨年の法制定をめぐるあれこれを、まるで政治家の演説のように熱く語ってくれました(ウンウン、そうだよね、と頷きながら、拍手したくなりました)。それから、パワハラ防止法にSOGIハラが入り、企業が啓発を行なう義務が生じた、ようやくスタートラインに立ったと、セクハラだって15年前から義務化されたけどまだまだだというお話もありました。神谷さんは現在、内閣府の統計性別欄の課題検討に携わっているそうです。最後に、市川房枝さんの 「運動は事務の堆積なり」という言葉が座右の銘です、と語っていたのも素敵でした。
GID学会の中塚さんは、トランスジェンダーの社会的課題について、トイレのことや職場ではだいぶ変わってきたが、学校では基本的に認められてほしい、本来は自分の望むトイレに入れるようになるべき、と話しはじめ、ICD-11についても説明し、今後、特例法の子なし要件は最初に変えた方がいい、手術はしなくてもいいとGID学会も声明を出した、国連もそう言っている、ただ、手術を受けたい人はできるようにするし、保険も適用すべきだ、障害者もそうだが生殖腺を強制的に除去するのを強要するのはおかしい、と語りました。
LGBTQの人権、制度的な差別の解消、様々な社会的課題について、実りあるお話が聞けたと思います。
2日目:4月23日(土)
4月23日(土)、前日よりもさらに暑い日となり、土曜ということもあり、本当にたくさんの方たちが会場に集まり、日がなイベントを楽しんでいました。
12時にステージイベントがスタート。ベビーヴァギーさん&山田なつみさんが司会を務めました(東京だけじゃなく地方のLGBTQタレントも、ということでベビーヴァギーさんが招聘されたそうです)
最初に4組の当事者アーティストがライブを披露しました。
14時からは、人力車をひっぱる現役俥夫ユニット「東京力車」のみなさんが、パワフルでカッコいいステージを披露。ゲイ・バイセクシュアル男性の方々をもトリコにしていた気がします。
15時からは、全国のプライドイベントで活躍している天道清貴さんが、『ずっと大事な人』や『あなたにスマイル』などの名曲を次々に歌ってくれました。手話をダンスに取り入れているUD DANCERSのみなさんや、男子新体操のプロパフォーマンスユニット「BLUE TOKYO」のみなさんとコラボしながらのスペシャルライブとなりました。
その後、全国のプライドのネットワークである「JAPAN PRIDE NETWORK」のみなさんがそれぞれの旗を持って壇上に上がり、次々に今年のプライドイベントのスケジュールを発表していました(速報的にお伝えすると、札幌が9/18、埼玉が秋口に開催、トランスマーチが11/20、金沢が9月の3連休にプライドウィークで9/18がパレード、大阪が10/8、10/9の2日間、岡山が10/16だそうです)。地方のプライドを応援している人としては、このように全国のプライドのみなさんが一堂に会する姿には感動を覚えました。TRPが、東京だけでなく、こうして全国のプライドをつなぎ、エンパワーしていることに、大きな意義を感じます。
15時からはENVii GABRIELLA(エンガブ)のみなさんがライブを披露。2018年のTRPにも出演していたのですが、今年めでたくメジャーデビューを果たし、ゲストとしてTRPに帰ってくることになりました。ゲイバーからそのまま抜け出てきたような三人が、歌よし、ダンスよし、見栄えよしの三拍子揃って、どんどんゲイに磨きがかかり、ポジティブなオーラを放っていたと思いました。最後、Takassyさんが「ゲイに生まれてよかったと思える彼氏と出会えたことをきっかけに、この歌を書きました」「あなたが今の友達と出会えたのも、きっとこのセクシャリティだったおかげ」と語り、『Finally Found You』を熱唱。「生まれついたこのセクシャリティ」という歌詞がジーンときました。
その後、TRPの若手チーム、YOUTH PRIDE JAPANと司会の二人によるトークが繰り広げられました。L、G、B、Tに当てはまらないようなジェンダーやセクシュアリティについて発信していくことを頑張っているそうです。ベビーヴァギーさんが「私もOLD PRIDE JAPANを立ち上げようかしら」と言って笑わせていました(私も入りたいです。笑)
ラストはこの方、青山テルマさん。すでにTRPは何度も出演してくださっているスーパーアライです。今回はエクステをレインボーカラーに編み込むという素敵ないでたちで登場してくれました。大ヒット曲『そばにいるね』も歌ってくれて、会場のみなさんも感激していた様子。本当にありがとう!
3日目:4月24日(日)
4月24日(日)、天気は一転して、小雨模様に…。3年ぶりのパレードに雨が降るなんて…という悲しい気持ちで会場に向かったのですが、前日を上回るような、本当にたくさんの方たちが集まり、ハッピーな熱気に包まれていました。
12時45分、TRPや全国のプライドの代表のみなさん、司会のクイーンさんらが出発地点に並び、フォトセッションが行なわれました。
(トップ画像)
13時、3年ぶりとなるプライドパレードがスタートしました。今回は参加人数が2000人に制限されていて、事前申込をした方の中から抽選で参加権が与えられるという、今までにないかたちのパレードでした。フロートは主催者グループ4、YOUTH PRIDE JAPAN、JAPAN PRIDE NETWORK、企業フロート2の全部で8つのフロートに絞られていました。
レディ・ガガの『Born This Way』などLGBTQのアンセムが流れブルボンヌさんやベビー・ヴァギーさんが「ハッピープライド!」と沿道に手を振るゴージャスなフロート、人力車にダイアナ・エクストバガンザさんや肉乃小路ニクヨさんらドラァグクイーンの方々が乗ったフロートなどが順番に出走していきました。
14時過ぎにすべてのフロートが出発し終えたのを見届けて会場に戻ったところ、パレードの帰着地点でたくさんの人が「おかえりなさい」とパレード参加者をお出迎えしていました。ハイタッチこそしないものの、ああ、これがパレードのもう一つの良さだったと思い出し、あたたかい気持ちになりました。
(パレードの写真は渋谷駅前の様子です)
15時からステージイベントがスタート。
「NEOかわいい」「コンプレックスはアートなり」を掲げ、世界的な活躍をしているガールズバンド「CHAI」のみなさん。実はその存在を知らなかったのですが、海外で受けるのも納得の、オリジナリティあふれるカッコいいパフォーマンスでした。
続いて八方不美人のみなさん。『愛なんてジャンク!』『沼』などの恨み節ソングを立て続けに披露し、MCでドリアンさんが「これが私たちの繋がり方、見え方、変わり方なんです」と言って笑わせたあと、今度は真面目にエスムラルダさんが世界情勢について語り、応援ソング『その日を摘め』を披露。そして最後に、プライドのステージで歌えるような曲もないとね、と言って用意したものの、コロナ禍で歌えず、ようやくTRPのステージで歌えるようになったという『地べたの天使たち』を爽やかに歌って締めました。観客のみなさんが雨にもかかわらず心からの笑顔で楽しんでいる様子が印象的でした。
お待ちかねのミラクルひかるさんが登場。広瀬香美さんや渡辺真知子さん、そして宇多田ヒカルさん(一部椎名林檎さん)などのモノマネを披露し、会場を大いに盛り上げてくれました。(この頃には野外ステージ前のエリアは超満員に。そして会場は入場規制がかかっていました)
そして二丁目が誇るドラァグクイーンのみなさんによるショータイムが繰り広げられました。一口にドラァグクイーンと言っても本当にいろいろだし(多様性)、ドラァグクイーンのショーってただのエンタメじゃなく生き様が表れるものだし、だからこそ素晴らしいということが、ストレートのみなさんにもよく伝わったんじゃないかと思いました。
そして大トリ、星屑スキャットのみなさん。『ご乱心』『半蔵門シェリ』など、小粋で大人な歌謡曲をプロフェッショナルに歌い上げ、オーディエンスをトリコにしていました(私もいっしょに踊ったりしながら楽しみました)。『聖母たちのララバイ』は初めて聴いたかも。本当に素敵なライブでした。最後にはドラァグクイーンのみなさんも登場し、華やかなフィナーレとなりました。
こうして、3日間にわたるTRP2022「プライドフェスティバル」は幕を閉じました。TRPに参加したすべてのみなさんに「ハッピープライド!」とハイタッチしたい気持ちでしたし、困難を乗り越えてTRPのリアル開催を実現した主催者のみなさん、協賛・協力してくださったすべてのみなさんにも心から感謝申し上げます。おつかれさまでした&ありがとうございました!
<Special Thanks: LGBT-Allyプロジェクトにご参加くださったみなさん>
LGBT-Allyプロジェクト参加企業のみなさん、TRPの期間中、LGBT-Allyプロジェクトのブースにお立ち寄りくださったみなさん、雨のなか、私たちといっしょに歩いてくださったみなさん、本当にありがとうございました!
来年はきっと、再びみなさんといっしょにLGBT-Allyプロジェクトとしてまとまってパレードを歩けることと思います。記事にも書きましたが、全国各地でまだまだプライドイベントがたくさん開催されますので、もしよろしければ、地方のプライドもいっしょに応援していただければ幸いです。
本当にありがとうございました。ハッピープライド!
- INDEX
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- 特集:10月はLGBTQ映画が豊作です
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