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レポート:京都レインボープライドパレード
2021年4月4日、京都レインボープライドパレードが初開催され、約200名の方たちが雨にも負けず、市内随一の目抜き通りを行進しました。門川市長もご来場し、参加者を激励していました。
2021年4月4日、京都レインボープライドパレードが初開催されました。午前中までは桜見物を楽しんでいた方も多かったと思いますが、パレードはあいにくの雨模様となりました。それでも約200名の方たちが集まり、市役所前〜河原町通り〜四条大橋〜円山公園という市内随一の目抜き通りを行進しました。コロナ禍ゆえ、ブース出展などは行なわれず、パレードのみとなりましたが、来年はきっと、晴天の下、もっと盛大に開催されることと思います。雨にも負けず、強い思いでパレードをやり遂げた主催者の皆さんに拍手を贈ります。レポートをお届けします。(後藤純一)
昨年10月、京都でレインボーパレード開催!とのニュースをお伝えしていました。京都では過去に立命館大学の学園祭の中の一企画として大学の周辺を歩く小規模なパレードが開催されたことはありますが、本格的なレインボーパレードが開催されるのは初めてです。
主催するのは京都でLGBTQの交流会を行なってきた「そらにじ京都」で、京都市、OUT JAPAN、三洋化成が後援し、アークレイ株式会社が協賛しました。
4月4日(日)、お昼頃までは雨も降らず、市内では観光客がお花見を楽しんだりしていたのですが、集合時間の13時には、ザーザー雨が降ってきました。それでも、集合場所の市役所前にはたくさんの方たちが集まっていました。コロナ禍でなければ、市役所前にブースを出したり、もっと本格的なイベントにしたかったそうですが、今回は集合してパレードするだけとなりました(それでも、リアル開催されただけでもスゴいこと。市の後援もあったからではないでしょうか)
出発に先立ち、簡単にオープニングセレモニーが行なわれました。パレード共同代表の岩本弥生さんは「京都でパレードをやるのが夢でした。こんなにたくさん集まってくれて本当にうれしいです」と胸がいっぱいな様子で語り、同じく共同代表の心韻(ロイ)さんは雨の悔しさをにじませながらも「これは恵みの雨です。終点に着く頃には雨も上がって虹が出ることを期待します」とご挨拶し、その健気さに温かな拍手が贈られました。
それから、雨のなか待機していた門川大作市長がマイクを握り、「お集まりのみなさん、本当にご苦労様です」とスピーチを始めました。
「京都市は、性的少数者への理解を深めていこうという取組みを進めて参りました。昨年9月には、京都市でもパートナーシップ宣誓制度を発足しました。市役所に来ていただいて、私も立ち会い、感激しました。これまでに58組になっています。もっと広がるだろうと思います」
「転居する方の手続きを簡単にしていく取組みも進めており、間もなく発表できると思います」
「京都市は、多様な人が向き合い、誇るべき都市として、多様性を重んじあうこと、人間の尊厳を認めあうこと、そして誰一人取り残さない、SDGSの理念、持続可能な社会に向かって、共々に努力して参りたいと思います」
「雨の中の出発であります。雨降って地固まるという言葉の通り、これを一つの糧にして、私たちも含めて取組みがさらに広がることを祈念して、共々に努力することを誓います」
注意事項の説明の後、パレード出発に向けて整列しはじめました。
市役所前の御池通りは3車線くらいある大通りですが、警察の方たちがあらかじめ1車線をパレード用に開けてくださっていて、機敏に交通整理をしはじめ、パレードの隊列がサっとできて、すぐにパレードが始まりました。
先頭を行くのは主催者のそらにじ京都のみなさんで、そのすぐ後ろに市長さんが続きました(河原町御池の交差点まで歩かれていました)。そらにじひめじのみなさんも参加していて、明石のパレードの時と同様、音楽も流してくれました(本当にありがたい…。スピーカーが無事だったのか心配…)。ほかにも、和歌山レインボーフェスタの方々、OUT JAPANの皆さん、三洋化成の皆さん(本当にたくさん参加されてました)、2018年に琵琶湖でLGBTパーティクルーズ「Love on the Lake」を開催した末継佳大さん、元TRP共同代表の山縣さん、時々パレードをレポートしてくれるVENさん、「結婚の自由をすべての人に」大阪訴訟の原告の麻智さん&テレサさんカップルなども歩いていました。
みなさんご存じのように、河原町通りは京都でもいちばんの目抜き通りです。アーケードの商店街を行く大勢の方たちのなかには手を振って応援してくれる方も少なくありませんでした。やがて、京都の中心地である四条河原町(てっきり阪急デパートがあるかと思いきや、工事中でした。調べたら、だいぶ前に無くなってたのですね…)の交差点を曲がり、四条通りを東山方面に進み、四条大橋を渡り、南座の前を通って、八坂神社へと進みました。これ以上はないくらいのベスト・コースでした。
残念ながら、雨がやむことはありませんでしたが、それでも参加者のみなさんは、それぞれの感慨を胸に、元気にパレードを楽しんでいました。最後尾は撮影禁止ブロックとされていたため、後ろのほうはあまり見ていないのですが、おそらく全体で200名近いパレードだったのではないかと思います(京都新聞の記事でも約200人と書かれています)
約2kmを歩き終えて円山公園に到着し、主催者の方々が感謝の言葉とともに「また来年もやります!」とご挨拶し、解散となりました。
ここで少し個人的な思いを。私は高校卒業後すぐに鬱屈とした青森の田舎を出て京都に行き、予備校・大学の5年間を京都で過ごしました。大学合格が決まった後、初めて好きな人に告白し(ストレートの人だったので、気持ち悪いと思われたらどうしよう、生きていけない…と怖くなり、話しを切り出すまで小一時間ほどかかりました。「いい友達でいよう」と言ってもらえました。彼は今どうしていることやら…)、ゲイ雑誌の文通欄を通じて初めて自分以外のゲイの人と知り合い、初めてゲイバーに行き、初めてハッテン場に行き、初めて彼氏ができ(同じ大学の方でした)、といった、いろんな「初めて」を経験した、たくさんの思い出が詰まった町です。一方で、その当時は、周囲へのカミングアウトなど考えられなかった時代であり、大学でもバイト先でもバレないように必死でした。二重生活みたいな感じでした。
京都自体も、学生が多い街とはいえ、ベースは保守的だと思います。そういう意味で、市の後援でパレードが開催され、市長さんが挨拶する日が来たということは、いろんな意味で、感慨深いものがありました。
パレードの最中、お子さんを抱っこした末継さんとちょっとお話したときに、やはり「感慨深い」とおっしゃっていて、ストレートの方も同じように感じてるんだなぁと、なんだか、そこで思いが通じ合った気がして、それもまた感慨深かったです。30年前には京都でのパレードを一緒に喜んでくれるアライの友人ができるなどとは夢にも思いませんでした。そのことが今回、いちばんの喜びだったかもしれません。
雨じゃなければ、コロナ禍じゃなければ、もっと晴れやかに、盛大に開催できたことでしょう。
それでも、傘をさしたり、雨合羽を着たりしながら、マスクをしながら(メガネが曇る曇る)200名もの人々が駆けつけたのは、ジェンダーやセクシュアリティにかかわらず、京都という素敵な街でパレードが開催されることの嬉しさ、喜び、祝福の気持ちを多くの人々が感じたからこそだったと思います。
主催の皆さん、参加された皆さん、本当におつかれさまでした。
来年また、晴天の下で、笑顔でお会いしましょう。
- INDEX
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