事例紹介
vol.19 ユー・エス・ジェイ(LGBT-Allyプロジェクトより)
記事日付:2024/05/24
LGBT-Ally プロジェクトとは、「We are Here!! We are Ally!!」をテーマに
ひとりでも多くのアライを増やすことを目指すアウト・ジャパンとアライ企業との共同プロジェクトです。
【LGBT-Allyプロジェクト2024オープニングイベントから】
ユー・エス・ジェイさんの取組みをご紹介頂きました。
動画はこちらからご覧いただけます。
ユー・エス・ジェイの取り組み
合同会社 USJ 黒原さん
■USJの活動全体をご報告
私たち、合同会社ユー・エス・ジェイは大阪にあるテーマパーク運営の会社です。
アメリカ・中国・シンガポール・日本に、同じようなユニバーサルスタジオのテーマパークがあります。
そのテーマパークを運営しております。
まずは、ユー・エス・ジェイの活動全体をご報告させていただきたいと思います。
ユー・エス・ジェイは「NO LIMIT!(限界はない)」というスローガンを強く打ち出しております。
コマーシャルでも聞いていただいたことがあるかと思いますが、皆様に広く知っていただけているのではないかと思います。
その中で、CSR活動を3つの柱で実施しています。
1つ目が、ダイバーシティ。
2つ目が、地球環境。
3つ目が、社会貢献です。
「LGBTQ」は、「ダイバーシティ」の活動の一つとしてを取り扱っています。
ご存知の通り、ジェンダー、LGBTQ、障害者雇用、インターナショナルの採用も非常に多く行っています。それらをDE&Iとして取りまとめて、活動を行っています。
私が担当している「LGBTQ」については、「LGBTQ+フレンドリーな企業を目指そう」ということで活動をしていますので、その中身についてご紹介させていただきます。
■「LGBTQ+フレンドリーな企業をめざして」
昨年度までは「社員の理解」を1番に最優先に取り組みました。
今年度は、次の段階として「バリアブルの理解」に取り組んでいます。
1万人を超えるアルバイトクルーがいますので、このクルーにも理解をしてもらうことを、今期の目標として進めていきたいと思っています。
社員だけでなく、アルバイトクルーにも理解してもらうということは、次に続いている「ゲストへの発信」に繋がっていくと考えています。
「バリアブル」を理解をしてもらい、ゲストの中にも当事者の方が来られる時には、より気持ちよく楽しんでいただけるようにしていきたいと思っています。
それが、最終的に「社会への発信」という部分に、USJの取り組みが繋がればと考えています。
■制度、社内環境について ~2024年度の取り組み~
2024年度の取り組みは、6月のプライドマンスをメインに「社員への認知を理解を高める」ということを考えています。
その他のアクティビティについては、6月以外に行う予定です。社会貢献の一つとして、今期初めての取り組みがあるので、個別にご説明をしていきます。
まず最初に、合同会社ユー・エス・ジェイはLGBTQに関して、社内の規定と職場環境の見直しはもう完了していると考えております。
今後、時代の変化・ニーズの変化とともに、社内規定も見直しが必要だと考えているのですが、今期はより一層、社員・従業員に理解をしてもらうことをメインに取り組んでいきたいと思っています。
「誰でもトイレ」「誰でも更衣室」のように、性別関係なく入れるトイレ・更衣室があります。
アルバイトクルーは、ほとんどの方が更衣をしますので、誰でも入れるような更衣室を作っています。
弊社も、社内呼称を使えるようになっており、希望の性別で勤務をしていただくことが可能になっております。
屋成さんにもご協力いただいて、社内外の相談窓口を設けております。
トランスジェンダーの方の相談が非常に多くなっており、更衣などで困るということを相談するというケースが多く見られます。これまで通算70名ほどの方が相談に来られて、性別や社内呼称を変えて、勤務をされております。
テーマパークでは、身だしなみが非常に厳しいのでは?というイメージがあると思うんですが、ヘアカラーも柔軟な対応を行っています。ネイルも禁止とはせずに、ナチュラルなものであれば性別関係なく大丈夫としています。過去には、男女で分けていた身だしなみについては改善されております。
ワードローブ(制服)に関しても100%ユニセックス化しています。スカートかズボンか、自分で選べる ように変わっております。資料には70%と記載されていますが、現在は100%改善しております。
■社内への認知向上にむけて ~2023年度の取り組み~
昨年度の内容から簡単にご報告します。
こちらは、昨年度のプライドマンスの画像です。
社内を様々にレインボーに彩り、「これは何だ?」「何でこういう風に社内がレインボーカラーになっているんだ?」ということを知っていただけるように、昨年から社内の認知を上げる活動を行っております。
従業員の出入り口と一番従業員が通る導線の2箇所に、カラフルな6色のレインボーの花を展開しております。
従業員が入ってくるゲートには、今日からプライドマンスであることがわかるように配置を行いました。
社内の廊下には、ポスターを吊り上げ、「プライドマンスって何だろう?」と社員・従業員に気づいてもらうような活動をしておりました。
「プライドマンスって何?」と疑問に思った後には、従業員ゲートでQRコードのついたステッカーを配り、プライドマンスの周知とLGBTQへの理解について社内SNSに繋がるものを提示しました。
従業員が一番集まりやすく、ゆっくり過ごす従業員食堂では、LGBTQの理解を深めるための動画を流し、社内周知・社内認知への強化を図りました。
社内のあちこちにもポスターやフラッグを配布し、「アライ」の方に協力してもらって「私たちはアライですよ」と表示してもらうことも強化してきました。
ブルボンヌさんに来ていただいて社内講演をしていただきました。従業員約200名ほどが参加し、さらに弊社のパートナーシップ企業の担当者の方々にも、一緒にオンラインで講演会を聞いていただきました。
ブルボンヌさんの講演会は非常に満足度が高く、参加者の皆さんからは「自己肯定感」という言葉がすごく心に残ったというアンケートが多くありました。
もう1つは、右側の写真でお揃いのTシャツをみんなで着ているのですが、LGBTQをテーマにしたTシャツを社内で作り、そのTシャツを社内全体、経営陣・社長も含めて着用して仕事をする日を作りました。
LGBTQのアライであることを、会社全体として、個人としても表現していくように努めました。
■社内への認知向上にむけて ~2024年度の取り組み~
ここからは、今期(2024年度)の社内の認知を上げる施策についてご紹介させていただきます。
今期の社内講演は、屋成さんにご紹介いただいた、鈴木茂義先生に講演会に来ていただく予定になっています。
昨年度までの内容に加えて、社内のいたるところにレインボーの装飾を行っていきたいと思っています。従業員のクルーは、テーマパークの裏で移動する際には必ずバスを利用しているので、従業員用のバスの中もレインボー一色に装飾する予定です。
こちらの画像はサンプルのイメージ図です。
従業員が集まる食堂に、イベントごとがあったら、こういった大きい装飾を作ります。
こちらは、スパイダーマンのアトラクションが終了する際の装飾でした。
昨年度もこちらの取り組みをしようかと思いましたが、目がチカチカして、従業員が落ち着く食堂にそぐわないのでは?と考え、取り組みませんでした。
しかし今期は、もう少しアピールしようということで、LGBTQに関しても大きな装飾を行い周知を広げていこうと考えております。
■その他のアクティビティについて
その他のアクティビティですが、屋成さんにお手伝いいただきまして、このような内容で2か月に1度LGBTQの講習会を実施しております。
もう1つはLGBTQについて、いつでも勉強できる機会があるということを訴求していきます。
アルバイトクルーを含めて、トータルで1万4~5000人ほどの従業員がおりますので、一人一人にそういった機会があることを知らせていきたいと思います。
弊社では、入社オリエンテーションというものが、毎日のように行われております。
正社員も、もちろん入社するのですが、アルバイト従業員が何十人、何百人という人たちが、オリエンテーションに参加していますので、入社してすぐのタイミングでLGBTQに関する活動をしているということを理解してもらうように努めます。
こちらも同様に、LGBTQに関する活動をしていることを、ホームページ上にも大きく情報を公開しておりますので、もしよければご覧ください。
今期の大きな取り組みとしては、小学校へ授業をしに行こうと考えています。
これは、弊社のCSR活動の大きな柱の一つである「社会貢献」にも含まれております。
一部の学校から、子どもたちが「テーマパーク・USJ」という部分に、興味をもって話が聞けるので、キャリアについての授業をしてほしいという声や多様性について教えてほしいという声、会社の取り組みについて教えてほしいという声をいただいています。
今期はLGBTQの活動の中でも、その声に応えていこうとチャレンジする予定です。
こちらもサンプルイメージですが、レインボーカラーで「LOVE」と描かれ、USJのロゴが入ったTシャツを従業員用に販売しようと考えています。
最終的に、売上金の全てを寄付に回せるような計画を進めている所です。
弊社の資本の多くはアメリカにあるので、社会貢献や寄付に対して強化していきたい考えがあります。
アメリカでは、すでに従業員だけではなく一般のゲストにも販売したグッズの売上金を寄付に回しているものもあるそうなので、日本も追従していきたいと思っています。
■大阪パレードへの参加、そして東京パレードへ
最後になりますが、昨年度初めて大阪のレインボーパレードに社内のボランティアメンバーで参加しました。
残念ながら雨でしたが、USJで販売している、カラフルなポンチョを配布して、頭には様々なキャラクターのカチューシャを付けて歩きました。
非常にUSJらしさが表現できて、私たちも良かったなと感じています。
今回初めて、4月の東京レインボープライドに参加しますが、東京のパレードを見て勉強したいと思います。そして、10月の大阪でのレインボーパレードに向けて、引き続きLGBTQへの理解を深められるような活動を行いたいと思っています。
そして、大阪のレインボーパレードにも伺いたいと思っています。
以上です。ありがとうございました。
あわせて読む
インタビュー:vol.8 サントリー
これまでのLGBTの取り組み内容、東京レインボープライド出展に関して社内外の反応などお話を伺いました。
>>続きを読む
インタビュー:vol.7 スターバックス コーヒー ジャパン
東京レインボープライド2018に出展されたスターバックス コーヒー ジャパンさん。出展のきっかけ、事前準備、当日行ったこと、社内外の反応などについて、広報部の林絢子さんにお話を伺いしました。
>>続きを読む
インタビュー:vol.2ソニー
2017年9月に「ソニー・ダイバーシティ・シアター2017」を開催されたソニーさん。開催のきっかけや、開催への想いなど、ソニーコーポレートサービス株式会社取締役 執行役員 人事センター センター長の望月賢一さんにお話を伺いました。
よく見られている情報