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アカデミー賞が多様性に配慮した作品賞応募資格の新基準を発表、2024年から適用
アカデミー賞を主宰する映画芸術科学アカデミーが、2024年の第96回アカデミー賞から適用する、アカデミー作品賞についての新しい応募資格を発表しました。出演者やスタッフに女性、人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障害者がいないような作品には作品賞の応募資格が与えられないことになります。
今回発表されたのは、多様性と包括性を推進する新基準「Academy Aperture 2025」に基づく、作品賞応募資格です。新基準は全米製作者組合と協議のうえ、英国映画協会が採用している基準を参考に設定されたものだそうです。
新しい作品賞の応募資格は、大きく分けて4つの基準(A~D)があり、そのうち少なくとも2つをクリアしていなければなりません。また、基準A~Dの中にも複数の条件があり、これらの1つないしは全てを網羅しなければなりません。
基準A「スクリーン上の表現、テーマ、物語」には、A.1からA.3までの条件があり、そのうち2つを満たしていることが必要です。A.1は主演または重要な助演俳優の少なくとも1人がアジア人、黒人、ラテン系、ネイティブ・アメリカンなど人種/民族的マイノリティであること。A.2は二番手または脇役の少なくとも30パーセントが「女性、少数民族、LGBTQ+、障害者」のうちの2つのグループに属していること。A.3はストーリー展開、テーマ、物語が「女性、少数民族、LGBTQ+、障害者」に沿った内容であること。
また、B〜Dでは、映画の出演者だけでなく、キャスティング・ディレクターや監督、プロデューサー、ヘアスタイリスト、メイクアップアーティストなど、リーダーシップをとる製作スタッフ、配給会社または資金調達会社が起用する見習い生やインターン、マーケティングや宣伝を担うチームの幹部などについても同様に、エスニックマイノリティや女性、セクシュアルマイノリティ、障害者を雇用する条件が明示されています。
映画産業の全体を通して、まさに多様性と包括性を推進する内容と言えます。
映画芸術科学アカデミーは、「この基準は、映画を見る観客の多様性をより適切に反映するため、スクリーンの中、外で、公平な表現を促進するように設計されています」と表明しています。
アカデミーの会長デヴィッド・ルービンとCEOのドーン・ハドソンは、新基準は「私たちの業界において、長く続く促進剤となり、本質的な変化になるだろう」と自信を見せています。
これまでアカデミー賞は、白人異性愛男性ばかりで多様性には程遠いという批判を受けてきました。
2016年には、俳優部門に有色人種が1人もノミネートされなかったことで強く非難され、授賞式がボイコットされたり、「#OscarsSoWhite(アカデミー賞はあまりに白い)」といったハッシュタグがSNSで拡散されました。このため翌年には、女性やマイノリティを中心に約700人を新しく会員にするなど、投票権をもつ会員の多様化が図られてきました。今年新しく会員となった819人も、45%が女性、36%が非白人でした。
今回の画期的な取組みにより、アメリカの映画産業は大きな変革を迫られることになりそうです。
参考記事:
アカデミー賞 人種や性別などの多様性求める新基準(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/83043
作品賞資格に「多様性」 白人偏重是正、24年から 米アカデミー(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090900907
主演・助演の1人は白人以外 米アカデミー賞が新ルール 女性、性的少数者出演も(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20200909/k00/00m/030/188000c
アカデミー賞が多様性に配慮した作品賞応募資格の新基準を発表、2024年から適用(BBC)
https://www.bbc.com/japanese/54082958
米アカデミー賞、24年に多様性の基準を導入へ(CNN)
https://www.cnn.co.jp/showbiz/35159342.html
アカデミー賞、作品賞の応募資格の新基準を発表 2024年から適用(CinemaCafe)
https://www.cinemacafe.net/article/2020/09/09/68898.html
アカデミー賞、作品賞の新基準を発表 「主要な役にアジアや黒人などの俳優」「女性やLGBTQ、障がいを持つスタッフ起用」など(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f583b55c5b62874bc158b89