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民主党の副大統領候補に選ばれたカマラ・ハリス氏が、選挙スタッフのチーフに黒人レズビアン女性を選びました

 11月に迫った米大統領選挙に向けて、民主党のジョー・バイデン候補が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を指名したことがニュースになっています。カマラ・ハリス氏は人種的マイノリティの女性(父親がジャマイカ出身、母親がインド出身)として初めて副大統領候補に選ばれた人物となったことで注目されていますが、実は長年LGBTQを支援してきた強力なアライでもあります。そんな彼女が即座に選挙スタッフのチーフに選んだのは、キャリーヌ・ジャン=ピエールという黒人レズビアン女性でした。


 カマラ・ハリス氏が副大統領候補に選ばれたことに対するたくさんの祝福のコメントが上がっています。
 企業のLGBTQ施策評価指標「コーポレイト・イクオリティ・インデックス」を策定・実行している人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンは「この秋、我々は最も歴史的で、平等の達成に寄与する投票が可能になる」とコメントしました。
 『POSE』でキャンディを演じたトランス女性起業家のアンジェリカ・ロスは、「正しい選択です」とコメントしました。「私はカマラ・ハリスとともにあります」
 
 カマラ・ハリス氏はサンフランシスコ地区の検事長に選ばれた最初の女性で、その後、カリフォルニア州司法長官に就任した最初の女性かつ最初のエスニック・マイノリティの人物となりました。
 州司法長官時代の2011年、(もともと同性婚を支持するという立場を表明していましたが)同性婚を禁止するようカリフォルニア州法を修正する住民投票「提案8号」が違憲であるとする連邦裁判で、訴えを認める連邦地裁判決に対し、同性婚反対派が控訴し、控訴を受理した連邦高裁が「控訴審判決が出るまでは同性婚解禁を延期する(結婚を認めない)」旨の決定を行ったことに対し、「提案8号は違憲だとするウォーカー判事の判決が覆される可能性は低い」として、連邦高裁に対し、控訴審の判決が下るまでは同性婚禁止の措置を解除する(同性婚を解禁する)ように求めました(詳細はこちら

 2013年6月26日、連邦最高裁が、提案8号が違憲だとする訴えに対する同性婚禁止派の上告を無効だと却下し、下級審に差し戻した(連邦地裁、連邦高裁が違憲だとした判決を事実上、支持した)ことを受け、28日、連邦高裁が提案8号を無効とし、カリフォルニア州における同性婚が再び認められることになりましたが、連邦高裁が無効化(同性婚の解禁)まで少なくとも25日かかると言っていたのを、カマラ・ハリス州司法長官がすぐに判断するよう求め、即日同性カップルの婚姻届の受理が始まりました。そして、サンフランシスコ市庁舎で行われた原告のクリス・ペリーさんとサンディ・スティアさんの結婚式をカマラ・ハリス自身が務めました(詳細はこちら
 
 また、2015年には、住民投票によって同性間での性行為に対して(死刑を含む)法的な措置をとるようにする「kill the gays」と呼ばれる恐ろしい発議がなされたとき、これを「憲法違反である」としてブロックしました。

 カマラ・ハリス氏は、カリフォルニア州選出の上院議員となってからも、国会でトランスジェンダーが自認する性別に基づいてトイレを使えるようにするべきだとする法廷助言人の書類にサインしたほか、また、イクオリティ・アクトもバックアップしています。
  
 大統領選予備選の間も、彼女は「ホワイトハウスに入ったらまずイクオリティ・アクトを通す」と語っていました。
 彼女はまた、有色人種のトランス女性への暴力の広がりを終わらせると誓い、政府は「この深刻な結果への説明責任」を果たすべきだと述べていました。

 昨年10月のLGBTQタウンホールでのスピーチでは、彼女はトランスコミュニティとの協働の体験を振り返りながら、こう語りました。
「もしあなたが人種的マイノリティで、なおかつトランスジェンダーであるなら、あなたは二重に危険にさらされます」
「レイプされるという恐れを抱かずにいられる20代女性などいませんが、トランス女性も同様です」


 そして今回、カマラ・ハリス氏が副大統領候補に指名されてすぐ、選挙スタッフのチーフに選んだのは、キャリーヌ・ジャン=ピエールという黒人レズビアン女性のTVコメンテイター/政治アナリスト/研究者でした。
 キャリーヌ・ジャン=ピエールは選挙運動家として2008年のオバマ大統領の歴史的な当選に多大な貢献を果たし、オバマ政権の仕事にも携わった人です。2011年には、オープンリー・レズビアンとして政治の世界で働いた経験について「素晴らしかった」と語っています。「オバマ大統領は私がレズビアンだから選んだんじゃない。経験豊富な人物として選んだら、たまたまレズビアンだったというだけ」「LGBTQイシューにプライオリティを置いてくれた政権に参加できて、本当に素晴らしかった」
 彼女は、CNNのキャスター、スザンヌ・マルヴォーと結婚していて、娘を育てています。
 そんな彼女をカマラ・ハリス氏が選挙の要に選んだのは「経験豊富な人物として」だと思いますが、結果的にLGBTQコミュニティへの素晴らしいメッセージとなったはずです。

 
 

参考記事:
黒人女性初…米副大統領候補にカマラ・ハリス氏(テレ朝news)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000190643.html
'Pose' Star Angelica Ross Says Kamala Harris is the Right Choice(Out)
https://www.out.com/politics/2020/8/12/pose-star-angelica-ross-says-kamala-harris-right-choice
Kamala Harris Is Biden's VP Choice(Advocate)
https://www.advocate.com/politics/2020/8/11/kamala-harris-bidens-vp-choice
Kamala Harris named Joe Biden’s running mate in historic vice presidential pick. Here’s what it means for LGBT+ rights(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2020/08/11/kamala-harris-lgbt-joe-biden-running-mate-vice-president-nomination/
Kamala Harris Picks Out Lesbian, Karine Jean-Pierre, as Chief of Staff(Out)
https://www.out.com/politics/2020/8/12/kamala-harris-picks-out-lesbian-karine-jean-pierre-chief-staff


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