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レインボーカラーのワンカップ大関が発売決定、日本酒として初
12月7日、株式会社大関がLGBTQのプライドシーズンに合わせて「ワンカップ レインボー」を世界8ヵ国で発売することを発表しました。日本酒ブランドとしてはこのような取組みは初めてです。
大関は1979年から米カリフォニア州で清酒の生産を行なってきましたが(サンフランシスコに近いホリスターという街だそう)、世界的にLGBTQのダイバーシティ&インクルージョンが進むなか、世界でも最もLGBTQコミュニティの結束力の強い地域である現地の若手社員からの提案と、米国をはじめとする海外のお客様からの強いご要望を受け、今回の「ワンカップレインボー」が誕生したそうです。レインボーカラーを背景に「One Love, One Cup」というコピーが書かれたスタイリッシュなデザインです。
2021年1月からオセアニアで(1月中旬〜3月初旬がオーストラリアやニュージランドのプライドシーズンです)、2021年5月から北米・欧州で展開されるそうです(言うまでもなく、6月がプライドシーズンです)。発売は世界8ヵ国からですが、引き続き発売地域を広げていく予定だそう(※日本では未発売です)
「今後も大関は、従来の社会の枠組みにとらわられず、多様な属性(性別・年齢・国籍・信条・障がいの有無、性的指向など)、価値や発想を取り入れることで企業の成長と個人のしあわせに繋がる架け橋となる商品を開発して参ります」とのことです。
なお、株式会社大関のダイバーシティへの取組みも併せて紹介されています。(「1996年、新卒採用活動におけるエントリーシートから性別記入欄の廃止」というのは随分早いですが、これはトランスジェンダーというよりも男女平等の観点からの取組みだと思われます)
・1996年
新卒採用活動におけるエントリーシートから性別記入欄の廃止
・2008年
ハラスメント防止規程に基づき社内相談窓口の設置
・2020年
ハラスメント防止規程を改め、性的指向・性自認を理由としたいやがらせや言動を禁止行為として明記
人事・総務業務に関わる管理職を対象にLGBTQへの理解促進を目的とした研修の実施
国内事業会社社員を対象にLGBTQ基礎知識のeラーニングの実施
LGBTQコミュニティにとってお酒の会社は、歴史的に非常に深い関わりがあります。
古くは1970年代、オープンリー・ゲイとして初めてサンフランシスコ市議会議員に当選したレジェンド、ハーヴェイ・ミルクが、組合潰しに走ったクアーズで働くトラック運転手たちに連帯し、サンフランシスコ中のゲイバーでクアーズのボイコットを起こし、彼らを守ったというエピソードが有名です(もともとクアーズがホモフォビックだったということもあるようです)
LGBTQコミュニティを支援したことで売れるようになったお酒の代表と言えば、何と言ってもスウェーデンのウォッカブランド「ABSOLUT」が有名です。「ABSOLUT」がアメリカに上陸したときは誰もその名前を知りませんでしたが、1980年代初めからLGBTQコミュニティへの支援を始め、例えばギルバート・ベイカーとのコラボで世界初のレインボーカラーのスピリッツボトルを発表したり、ゲイ雑誌などに素敵な広告を展開したり、プライドイベントに多数協賛したりして、90年代にはLGBTQコミュニティでその名前を知らない人はいないほどになりました。二丁目のゲイバーでも90年代にはすでに「ABSOLUT」が並んでいました(1997年に大塚隆史さんが書いたコラムもぜひご一読ください)
その後も様々な酒造メーカーが続々とLGBTQマーケティングに参入しますが(ゲイバーやゲイクラブでのお酒の売上は無視できませんし、ゲイシーンで流行ったものはストレートの人たちにも波及する傾向があるからです)、現在、アメリカのお酒のブランドで最もLGBTQマーケティングに力を入れているのは、おそらくバドライトです。プライドイベントだけでなく、ゲイタウンのストリートフェスやクラブイベント、他の企業があまり協賛しないようなレザーコミュニティ、ベアコミュニティのイベントにも協賛しています(素晴らしいことです)